発表年:1977年
ez的ジャンル:インド音楽系アコースティック・フュージョン
気分は... :民族フュージョンの妖しい魅力・・・
エレクトリック・マイルス作品への参加や、Mahavishnu Orchestraで知られる超絶技巧派ギタリストJohn McLaughlinがインド人ミュージシャンと結成したアコースティック・ユニットShaktiの『Natural Elements』(1977年)です。
Shaktiは、McLaughlinがL. Shankar(Lakshminarayana Shankar)(violin)、Zakir Hussain(tabla、per)、Vikku Vinayakram(ghatam、mridangam)、Ramnad Raghavan(mridangam)という4名のインド人ミュージシャンと共に1975年結成。
Mahavishnu Orchestraとの大きな違いは、McLaughlinがエレクトリック・ギター主体のサウンドからアコースティックなサウンドに全面移行した点です。
Shakti結成に伴い、McLaughlinは『Inner Worlds』(1976年)でMahavishnu Orchestraとしての活動に終止符を打ちます。
Shakti名義としては、『Shakti With John McLaughlin』(1976年)、『A Handful of Beauty』(1977年)、『Natural Elements』という3枚のアルバムを短期間に集中リリースし、活動に区切りをつけています。
その後McLaughlinは1999年にRemember Shakti名義でShaktiを再結成しています。再結成といってもMcLaughlin、Zakir Hussain以外は新メンバーですが。
さて、本作『Natural Elements』(1977年)はShakti名義のラスト作ですが、3枚のアルバムの中では最も聴きやすいかもしれません。ShaktiというユニットでMcLaughlinがやりたかったアコースティックな民族フュージョン・サウンドが本作で結実しているのでは?
本作のメンバーは上記の結成メンバーからRamnad Raghavanを除いた4名。
プロデュースはJohn McLaughlin。楽曲はすべてJohn McLaughlinおよびL. Shankarによるオリジナルです。
僕の場合、タブラの妖しげな響きが放つグルーヴが大好きなのですが、そういった人にはかなりフィットする1枚だと思います。また、民族フォーキーとでも呼びたくなるインド・テイストのフォーキー・グルーヴも魅力的です。
独創的な民族フュージョンは今聴いても新鮮です。
全曲紹介しときやす。
「Mind Ecology」
McLaughlinのアコースティック・ギター、タブラを始めとする打楽器のパーカッシヴ・リズム、L. Shankarのコズミックな弦の響きが一体化した強烈なグルーヴに圧倒されるオープニング。つかみはO.K.です。
https://www.youtube.com/watch?v=s6O-Z_x_-Pk
「Face to Face」
McLaughlinのアコギの美しい響きに、打楽器やヴァイオリンの音色が折り重なる民族フォーキーな仕上がり。秋の季節が似合いそうな民族フォーキー・サウンドなのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=eUy9SXBQZNM
「Come On Baby Dance with Me」
作者であるL. Shankarのヴァイオリンが主役の1曲。2分にも満たない演奏ですが、実に小気味良く聴き応え十分です。
https://www.youtube.com/watch?v=2Wj_R3yjNfo
「The Daffodil and the Eagle」
緩急をつけたメリハリのある演奏で、アコースティック・ギター、ヴァイオリン、インド打楽器という編成の面白さを存分に伝えてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Dcpdjwn3DEU
「Happiness Is Being Together」
開放的なアコースティック・グルーヴは、タイトルの通り幸福感に満ちたサウンドです。ラテンな隠し味も効いており、インド音楽+ラテンな民族フュージョンを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=oda9LF00pFw
「Bridge of Sighs」
ミステリアスな雰囲気が支配する民族フォーキー。ロード・ムーヴィーのBGMとかにフィットしそうですね。
https://www.youtube.com/watch?v=bDfMFPle3ac
「Get Down and Sruti」
タブラが妖しく響くインド的なサウンドですが、モロにインド音楽ではなくMcLaughlinらしいフュージョン・サウンドに仕上がっています。McLaughlinのギターとL. Shankarのヴァイオリンの応酬も聴き応えがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=XG7kHV_Fw-M
「Peace of Mind」
タイトルの通り、美しいピースフル・サウンドでShaktiの歴史が幕を閉じます。
https://www.youtube.com/watch?v=j2AZ_OBhJWY
Shaktiの他作品やRemember Shaktiの作品もチェックを!
『Shakti With John McLaughlin』(1976年)
『A Handful of Beauty』(1977年)
Remember Shakti『Remember Shakti』(1999年)
Remember Shakti『The Believer』(2000年)
Remember Shakti『Saturday Night in Bombay』(2001年)