発表年:1973年
ez的ジャンル:孤高の男性シンガー。
気分は... :苦闘のハイウェイ....
今日は孤高の実力派シンガーVan Morrisonの『Hard Nose The Highway』(1973年)です。
これまで当ブログで紹介してきたVan Morrison作品は以下の9枚(発売年順)。
『Astral Weeks』(1968年)
『Moondance』(1970年)
『His Band And The Street Choir』(1970年)
『Tupelo Honey』(1971年)
『Saint Dominic's Preview』(1972年)
『Veedon Fleece』(1974年)
『A Period Of Transition』(1977年)
『Into The Music』(1979年)
『Avalon Sunset』(1989年)
70年代前半の諸作は非常に評価の高いVan Morrisonですが、その中で本作は評価が分かれる1枚ですね。
精神的支柱であったJanet Planetとの離婚によるVan自身の気力の問題、これまでのVan作品には少し奇異なイラストのジャケ、オープニングを飾る「Snow in San Anselmo」での合唱団への違和感などにマイナス・イメージを持つ人がいるのかもしれませんね。
確かに、イラストやオープニング「Snow in San Anselmo」には少し戸惑いますが、個人的には他の70年代前半の諸作と同様に、十分楽しめる1枚だと思います。
ライブ・アルバムとなった次作『It's Too Late to Stop Now』(1973年)にThe Caledonia Soul Orchestraとして参加したミュージシャンがレコーディングの中心です。
レコーディング・メンバーはVan Morrison(vo、g)、John Platania(g)、Jeff Labes(p)、David Hayes(b)、Rick Schlosser(ds)、Jack Schroer(ts、as、ss)、Bill Atwood(tp)、Jules Broussard(ts、fl)、Gary Mallaber(vib、ds)等。また、Jackie DeShannonがバック・コーラスで参加しています。
名曲の誉れ高い「Warm Love」、味わい深いジャジー・ソウル「Wild Children」、カレドニア・ソウルを満喫できるタイトル曲「Hard Nose the Highway」、今の時期にフィットする「Autumn Song」、アレンジが素敵な「Purple Heather」あたりがオススメです。
プロデュースはVan本人。「Bein' Green」、「Purple Heather」以外はVan Morrisonのオリジナルです。
全曲紹介しときやす。
「Snow in San Anselmo」
The Oakland Symphony Chamber Chorusのコーラスと共に始まるオープニング。>Vanのヴォーカルもドラマチックでスリリングな展開のバッキングもかなり良いと思いますが、合唱団の歌声はやはり違和感があります。
https://www.youtube.com/watch?v=lpcsThJEgWM
「Warm Love」
本作のハイライト。Van Morrisonファンには「Crazy Love」と並ぶ名曲として人気のラブ・バラードです。シングル・カットもされました。バック・コーラスはJackie DeShannon。Janetと別離の後に歌われるラブ・ソングなので余計に胸にグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=0kl_CIiQXVs
個人的には本曲と「Crazy Love」、「Tupelo Honey」、「Have I Told You Lately」の4曲をセットで聴くのがお気に入りです。
「Crazy Love」(From 『Moondance』)
https://www.youtube.com/watch?v=oeE7BOLB8Jc
「Tupelo Honey」(From 『Tupelo Honey』)
https://www.youtube.com/watch?v=3DbTIKHYwog
「Have I Told You Lately」(From 『Avalon Sunset』)
https://www.youtube.com/watch?v=J789GId1kaY
「Hard Nose the Highway」
この時期のVan Morrisonらしいジャズ+ソウルなカレドニア・ソウルを満喫できるタイトル曲。いぶし銀な雰囲気がたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=afKE03xVSB0
「Wild Children」
タイトルのようにVanの子供〜少年時代が歌われたもの。歌詞にはJames Dean、Marlon Brando、Rod Steigerといった憧れの映画スターの名前も登場します。Van Morrison節に小粋なセンスが加味された味わい深いジャジー・ソウルです。
https://www.youtube.com/watch?v=Y1YF_W4S2Xw
「The Great Deception」
このジワジワくる感じもVan Morrisonならではの魅力です。聴け重ねるほどに味わいが増すのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=F1X6K8lcnjc
「Bein' Green」
US子供向け教育番組『セサミストリート』に登場するカエルのマペットKermit the Frogの歌をカヴァー(Joe Raposo作)。シングルにもなりました。子供番組の人気曲はオトナのソウル/R&Bチューンに変貌させています。お見事!
https://www.youtube.com/watch?v=fnCQTNriVlE
「Autumn Song」
10分超の大作。タイトル通り、今の時期にフィットするセピア色のジャジー・ソウル。Vanのヴォーカルも演奏も実に穏やかなです。
https://www.youtube.com/watch?v=lX9UTWh4VDw
「Purple Heather」
ラストはスコットランドのトラディショナル・カヴァーで締め括ってくれます。素敵なストリングスをバックに、Vanが素晴らしいヴォーカル&スキャットを披露し、アルバムは幕を閉じます。
https://www.youtube.com/watch?v=JcQDK3cc-0U
Van Morrisonの過去記事もご参照下さい。
『Astral Weeks』(1968年)
『Moondance』(1970年)
『His Band And The Street Choir』(1970年)
『Tupelo Honey』(1971年)
『Saint Dominic's Preview』(1972年)
『Veedon Fleece』(1974年)
『A Period Of Transition』(1977年)
『Into The Music』(1979年)
『Avalon Sunset』(1989年)