2017年10月09日

Caetano Veloso『Joia』

実験的ながらも穏やかな音世界☆Caetano Veloso『Joia』
ジョイア+2
発表年:1975年
ez的ジャンル:ミニマルMPB
気分は... :一糸まとわぬ姿・・・

ブラジル音楽界の牽引者Caetano Velosoが1975年にリリースした『Joia』です。

これまで紹介したCaetano Veloso関連作品は以下の8枚。

 『Tropicalia:Ou Panis Et Circencis』(1968年)
 『Caetano Veloso』(1969年)
 『Caetano Veloso』(1971年)
 『Qualquer Coisa』(1975年)
 『Outras Palavras』(1981年)
 『Cores, Nomes』(1982年)
 『Caetano Veloso (1986)』(1986年)
 『Caetano』(1987年)

本作は以前に紹介した『Qualquer Coisa』(1975年)と同時期にレコーディングされた作品であり、両者は兄弟アルバムと位置づけられます。

The Beatles『Let It Be』のジャケを模した『Qualquer Coisa』に対して、本作のジャケは自身と妻Dede、息子Moreno(現在、ブラジル新世代アーティストとして活躍するMoreno Veloso)という家族の一糸まとわぬ姿をCaetano自らが描いたものです。ただし、検閲に引っ掛かり、Caetanoの股間は鳥で隠されることになりましたが。

この家族ジャケに象徴されるように、穏やかなアコースティック・サウンドが印象的な1枚です。その一方で、実験的&ミニマルなアプローチも多く一筋縄ではいかぬ、独特の雰囲気を持ったアルバムだと思います。

レコーディングにはGilberto Gil(g)、Quarteto Em Cy(vo)、BendegoAntonio Adolfo(org)、Perinho Albuquerque(g、per)、 Djalma Correa(per)、 Bira Da Silva(per)、 Eneas Costa(per)、
Moacyr Albuquerque(b)、 Eneas Costa(ds)、 Perna Froes(p)、 Tuze Abreu(p)、 As Gatas(vo)、 Tuty Moreno(ds)、 Cream Crackers(per)等が参加しています。

Quarteto Em Cy参加の「Gua」、フルート・アンサンブルが印象的な「Pelos Olhos」Gal Costa『Cantar』提供曲のセルフ・カヴァー「Lua, Lua, Lua, Lua」、フォーキー・グループBendegoをフィーチャーした「Canto De Povo De Um Lugar」、透明感のある「Na Asa Do Vento」、As Gatasをフィーチャーしたサンバ・グルーヴ「Escapulario」あたりがオススメです。

アルバム全体に貫かれたミニマルな美学を楽しみましょう!

全曲紹介しときやす。

「Minha Mulher」
Caetano Veloso作。盟友Gilberto Gilが参加しているオープニング。妻Dedeに捧げた穏やかなアコースティック・チューンですが、コード進行のせいか不思議な空気感があります。
https://www.youtube.com/watch?v=ULCXhxAinTQ

「Gua」
Perinho Albuquerque/Caetano Veloso作。Quarteto Em Cyが参加。素朴なトライバルなサウンドをバックに、CaetanoとQuarteto Em Cyが素敵なヴォーカル・ワークを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=F7R3XK4bz_Y

「Pelos Olhos」
Caetano Veloso作。複数のフルートを配したアンサンブルが不思議な音世界を生み出しています。
https://www.youtube.com/watch?v=iWSlOowQwaY

「Asa, Asa」
Caetano Veloso作。Djalma Correaのパーカッションとヴォーカルのみのデモ・テープのような素朴な仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=hZxTCmWtDpQ

「Lua, Lua, Lua, Lua」
Caetano Veloso作。Gal Costa『Cantar』提供曲のセルフ・カヴァー。ここではAntonio Adolfoのオルガンをバックに、ソフトリーに歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=tLCCzTPJ0-g

「Canto De Povo De Um Lugar」
Caetano Veloso作。ブラジルのフォーキー・グループBendegoをフィーチャー。ゆったりと時が流れていく牧歌的フォーキー・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Uj-kQGdK1q8

「Pipoca Moderna」
Sebastiao Biano/Caetano Veloso作。美しいストリングスと素敵なヴォーカル・ワークが織り成すビューティフルな仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=YRYxYAl724k

「Joia」
Caetano Veloso作。タイトル曲はトライバルな小曲。
https://www.youtube.com/watch?v=AP81yfUemzk

「Help」
Beatlesの名曲カヴァー(John Lennon/Paul McCartney作)。シンプルなアコースティック・バラードですが、なかなか味わい深いです。
https://www.youtube.com/watch?v=ZeySOG1QQZc

「Gravidade」
Caetano Veloso作。本作らしい不思議な音世界が展開されます。余計なものをそぎ落とした独特の味わいがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=Q3osMDYfUzU

「Tudo Tudo Tudo」
Caetano Veloso作。息子Morenoへの子守歌をヴォーカル&ハンドクラップのみで聴かせてください。
https://www.youtube.com/watch?v=ZeIgQrFbH3U

「Na Asa Do Vento」
Luiz Vieira/Joao do Vale作。シンプルな弾き語りですが、透明感のあるヴォーカル&ギターが心地好いです。
https://www.youtube.com/watch?v=vT1grr5ecZk

「Escapulario」
Oswald de Andrade/Caetano Veloso作。ラストはAs Gatasのヴォーカルをフィーチャーしたサンバ・グルーヴで華やかなに締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=wWMam99r4J4

最近の国内盤CDには「Let It Bleed」The Rolling Stonesのライブ・カヴァー)、「Encantado (Nature Boy)」(Eden Ahbez/Caetano Veloso作)の2曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。

Caetano Velosoの過去記事もご参照下さい。

『Tropicalia:Ou Panis Et Circencis』(1968年)
Ou Panis Et Circensis

『Caetano Veloso』(1969年)
Caetano Veloso (Irene)

『Caetano Veloso』(1971年)
Caetano Veloso (A Little More Blue)

『Qualquer Coisa』(1975年)
Qualquer Coisa

『Outras Palavras』(1981年)
Outras Palavras

『Cores, Nomes』(1982年)
Cores & Nomes

『Caetano Veloso (1986)』(1986年)
Caetano Veloso

『Caetano』(1987年)
Caetano (Jose)
posted by ez at 02:44| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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