発表年:2017年
ez的ジャンル:NZ出身次世代ジャズ・ピアニスト
気分は... :スティール・パンが効いています!
今回は新作ジャズ作品からAron Ottignon『Team Aquatic』です。
Aron Ottignonはニュージーランド出身のジャズ・ピアニスト。
祖母や父がミュージシャンであった影響で幼少期からジャズに親しみ、父の人脈で実力派ジャズ・ピアニストAndrew Hillの手ほどきを受けたこともあるようです。
2000年に自身のジャズ・ユニットAronasを結成し、2006年にはアルバム『Culture Tunnels』をリリースしています。
現在はパリとベルリンを活動拠点とし、2015年には「Starfish EP」、「Waves」、2017年には「Nile」といったEPをリリースしています。そして、Blue Note Franceからリリースしたソロ名義の初アルバムが本作『Team Aquatic』です。
プロデュースはAron Ottignon自身とRodi Kirk。
レコーディングにはAron Ottignon(p、beats & electronics、per)、Rodi Kirk(beats & electronics、per)、Samuel Dubois(steel pan、per)、Kersley Sham(per)、Aziz Sahmaoui(per)といったミュージシャンが参加しています。
特にスティール・パンの音色が随所で聴こえてくるのが印象的です。また、生音とプログラミング&エレクトロニクスのバランス感覚が新世代ジャズ・ピアニストですね。こうしたスティール・パン、プログラミング&エレクトロニクスを駆使した独自の今ジャズを満喫できる内容となっています。
さらにフロアライクな曲もあり、今ジャズ好きのみならずクラブジャズ好きの人も楽しめるはずです。
USの今ジャズ作品とは異なる風合いの今ジャズ・サウンドはかなり新鮮だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Starfish」
スティール・パンの音色が印象的なオープニング。生音のスティール・パン&パーカッションとエレクトリック・サウンドをバックに、Aronのピアノが疾走するスリリングな演奏です。
「Waterfalls」
Rodi Kirkによるビーツ&エレクトロニクスに、Aronのピアノが絡む今ジャズらしい1曲。USの今ジャズとは異なるフィーリングの進行形ジャズを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=Q1peHz4fsUg
「Waves」
EP「Waves」(2015年)収録曲。
再びスティール・パンを取り入れたトロピカル感覚の今ジャズ。生音とエレクトロニクスのメリハリが絶妙な独自のジャズ・ワールドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=ulX0sA6fxRM
「The Jungle」
EP「Waves」(2015年)収録曲。ピアノ&エレクトロニクスによるダーク&ミニマルな演奏が印象的です。
「Ocean」
生音とプログラミングを融合させた今ジャズらしいジャズ・ピアノを楽しめる1曲。ゆったりとした中に大海の神秘のようなものを感じるサウンドです。
「Team Aquatic」
タイトル曲はエレクトロニクス、スティール・パンを効果的に駆使したダイナミックなサウンドが魅力です。
「Hot Tub」
ジャズ・ピアニストらしいAronのピアノ・タッチとスリリングなビートが織り成すフロアライクな仕上がりはクラブジャズ好きの人もグッとくるのでは?
「Rivers」
ピアノとスティール・パンが織り成すトロピカルな今ジャズにグッときます。ワールド・ジャズ好きの人も楽しめるのでは?
「Stonefish」
フロアライクなサウンドで疾走します。アンダーグラウンドなハウス・サウンドが好きな方も気に入るのでは?
「The Nile」
Aron Ottignonの世界観がよく分かるサウンドは、ナイル河のように壮大です。それでもしっかりジャズしているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=phEP1t2dHCE
「Rothesay Bay」
ラストはピアノ・ソロによる美しい演奏で締め括っています。
ご興味がある方はAronas時代の『Culture Tunnels』(2006年)もチェックを!
Aronas『Culture Tunnels』(2006年)