発表年:2017年
ez的ジャンル:アルゼンチン・コンテンポラリー・フォルクローレ
気分は... :バルサ完勝!
サッカー注目のエル・クラシコ、レアル対バルサはアウェーのバルサが3対0で完勝しました。
前半は完全にレアルが主導権を握っていただけに、後半のバルサの攻勢は意外でした。1人退場になった時点でレアルの勝機はなくなってしまいましたね。前半は死んでいたかのようなメッシが後半は尻上がりに調子を上げたのはさすがでした。やはり役者が違う!
毎週日曜は新作アルバムを紹介していますが、大晦日は恒例の『ezが選ぶ2017年の10枚』をエントリー予定のため、今回が年内最後の新作紹介となります。
セレクトしたのはメッシの母国アルゼンチンのコンテンポラリー・フォルクローレ作品Lucas Heredia『Sinfin』です。
Lucas Herediaはアルゼンチン、コルドバを拠点に活動する、現在30代半ばの男性シンガー・ソングライター。アルゼンチン・コンテンポラリー・フォルクローレを代表するAca Seca Trio等とも交流があるようです。
これまでソロ名義では『Adentro Hay Un Jardin』(2010年)、『Luz De Cerca』(2012年)の2枚、Julian Venegasと共同名義で『Puente Invisibles』(2014年)といったアルバムをリリースしています。
僕の場合、当ブログでは未紹介ですが、1stアルバム『Adentro Hay Un Jardin』(2010年)を保有しており、良質のコンテンポラリー・フォルクローレ作品として愛聴していました。
しかしながら、Lucas Herediaというアーティスト名はしっかりインプット出来ておらず、最近ではすっかり忘却していました。本作『Sinfin』はCDショップで試聴し、気に入って購入したのですが、今回記事のエントリーに際して、下調べをしているときに初めて『Adentro Hay Un Jardin』と同じアーティストであることに気づいた次第です。
なので、『Adentro Hay Un Jardin』も聴き直しながら、本作『Sinfin』の素晴らしさを再認識しています。
レコーディングにはLucas Heredia(vo、g、p、el-p、org、syn、vibe、charango、bombo、cajon、etc)以外に、Julian Venegas(vo、g)、Jorge Fandermole(vo)、Gustavo Bustillo(poetry reading)、Vicky Nycz(viola)といったアーティストが参加しています。
楽曲はすべてLucas Herediaのオリジナルです(共作含む)。
コンテンポラリー・フォルクローレがお好きな人であれば、間違いのない1枚だと思います。シンプルながらも美しいサウンドと、繊細かつ優しいLucasのヴォーカルが創り出す音世界は、静けさの中にもポジティブなものを感じます。
個人的にはAndre Mehmari/Juan Quintero/Carlos Aguirre『Serpentina』と並ぶコンテンポラリー・フォルクローレ作品だと思います。
国内盤CDには1曲毎にLucas本人の解説の日本語訳が付いているので、歌詞内容も踏まえて聴くと、感動が倍増すると思います。
心の奥まで浄化してくれる美しいフォルクローレ・ワールドをぜひ!
全曲紹介しときやす。
「Este Tiempo」
ピアノ、ギターのみのシンプルなバックとLucasの歌のみで深遠な音世界を紡ぎあげるオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=81Y7Jt3o1dQ
「Raiz」
オススメその1。この曲を試聴し、本作の購入を即決しました。コンテンポラリー・フォルクローレらしい軽快さと透明感のある仕上がり。美しいメロディを歌い上げるLucasのヴォーカルに生きる力のようなものを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=9a45blH2vIc
「Descalzo」
オススメその2。子供時代の思い出を回想した歌のようですが、美しいフォーキー・サウンドとLucasの歌い回しが時空を超えていくようでいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=r2SEfT3SQpg
「Atrapa Sueno」
Julian Venegasとのツイン・ヴォーカル&ツイン・ギターによるメロディアスなフォーキー・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=C_DtLRbYINY
「Murmullo De La Ciudad」
ロサリオの街の喧騒を歌ったもの。フォルクローレらしい美しくも愁いを帯びた仕上がりがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=1mb7mTG6eOQ
「Asi Sin Mas」
オススメその3。2012年に逝去したアルゼンチン・ロック界のレジェンドLuis Alberto Spinettaに捧げられた曲。アルバム・タイトル『Sinfin』は"終わりなきもの"を意味するらしいですが、Spinettaの死を「生と死のサイクル」という視点から捉え、歌っています。アーティストが死しても、その作品は死なず!といったニュアンスですかね。アルバム・ジャケの大樹も、この生と死のサイクルを表現したもののようです。肝心の音の方も感動的で透明感のある素晴らしい1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=tcOQV9QSsnc
「Estrella De Fe」
本作の共演者の一人であるVicky Nyczに捧げた曲。どうやらLucasの公私のパートナーのようですね。二人の永遠の愛を優しく歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=hQXPmj05xe0
「Hijos De La Flor」
Gustavo Bustilloの詩の朗読と共に始まり、本編ではJorge Fandermoleとデュエットする美しいアコースティック・チューン。子供たちへの慈愛に満ちた1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=sGTsgt6sS4I
「Nuestras Casas」
Lucasの3人の姉妹の人生を歌ったもの。紆余曲折ありながらも3人の姉妹が再会するというヒューマン・ドラマ仕立ての感動的な1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=2qXFqDQOybc
「Razon De Manana」
オススメその4。僕の一番のお気に入り。最愛のパートナーについて歌った素敵なラブ・ソング。美しいサウンドとLucasの優しい歌声が聴く者の心をホッコリさせます。
https://www.youtube.com/watch?v=7DvfFEAtoh4
「Pan De Cielo」
静かな語り口の中にも力強いメッセージを感じる社会派ソング。何処となくアルゼンチンらしさを感じるサウンドも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=0qZB68EegVQ
「Todos Tus Nombres」
オススメその5。落ち込んだとき、孤独を感じたときに聴くと、くじけずに前向きに生きる勇気をもらえそうな1曲です。こういう曲好きだなぁ。
https://www.youtube.com/watch?v=Yzk4A3Q95A8
「Dias De Aire」
ラストは感動的なピアノの弾き語りで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=I2FYNFvYLns
Amazonで『Adentro Hay Un Jardin』(2010年)がの取扱いがないのが残念です。
Julian Venegas/Lucas Heredia『Puente Invisibles』(2012年)