2018年01月12日

Os Mutantes『Jardim Eletrico』

元祖ブラジリアン・ロック・バンド、変化の兆しの4thアルバム☆Os Mutantes『Jardim Eletrico』
Jardim Eletrico
発表年:1971年
ez的ジャンル:元祖ブラジリアン・ロック・バンド
気分は... :ジャケは不気味だけど・・・

今回はブラジルを代表するロック・グループOs Mutantesの4thアルバム『Jardim Eletrico』(1971年)です。

Os Mutantesの紹介は、サイケなデビュー・アルバム『Os Mutantes』(1968年)、中心メンバーRita Lee在籍のラスト作となった『Mutantes e Seus Cometas no Pais do Baurets』(1972年)に続き3回目となります。

また、グループの紅一点Rita Leeについて、『Build Up』(1970年)、『Bossa'n Beatles』(2001年)の2枚を紹介済みです。

『Jardim Eletrico』(1971年)は、グループにとって4thアルバムとなります。しかし、本作の前に、グループは幻のアルバム『Tecnicolor』をレコーディングしています。

『Tecnicolor』セッションは1970年のフランス滞在中にレコーディングされたものですが、その後お蔵入りとなってしまい、2000年のリリースまで日の目を見ることはありませんでした。

『Tecnicolor』(2000年)
Technicolor

『Tecnicolor』セッション後、ブラジルに戻り制作されたのが本作『Jardim Eletrico』ですが、『Tecnicolor』収録予定曲から5曲が本作に収められています。

本作におけるメンバーは、Arnaldo Baptista(vo、key)、Sergio Dias(vo、g)のDias兄弟、紅一点Rita Lee(vo、per)というオリジナル・メンバー3名に、Liminha(b)、Dinho Leme(ds)を加えた5人編成です。Arnaldo Baptistaがプロデュースを手掛けています。

サイケ・ロックの印象が強いOs Mutantesですが、本作では本格的なへヴィ・ロックなども収められ、グループに変化の兆しが感じられます。

また、Beatlesライクな楽曲、スパニッシュ・ギターを強調した楽曲など気になるサウンドのエッセンスを積極的に取り入れる雑食ぶりも本作の特徴かもしれません。

Alain Vossが手掛けた不気味なイメージのジャケのせいで、手を出しづらい方もいるかもしれませんが(笑)、内容的には案外最も聴きやすいMutantes作品かもしれません。

ジャケに惑わされず、ぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Top Top」
Arnolpho Lima Filho/Mutantes作。このグループらしいミクスチャー感覚を楽しめるロック・チューンがオープニング。どこか人を食ったヴォーカルとグルーヴィーなオルガンが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=ai-rk1ngofo

「Benvinda」
Arnaldo Baptista/Sergio Dias/Rita Lee作。UKロック調なミディアム・バラード。このグループのメロディアスな側面を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=xHexScRhRcE

「Tecnicolor」
『Tecnicolor』セッション曲その1。Arnaldo Baptista/Sergio Dias/Rita Lee作。完成度ではUSロック調の本曲が一番かも。バンドの成熟を感じる1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=x-BYs7d20Ak

「El Justiciero」
『Tecnicolor』セッション曲その2。Arnaldo Baptista/Sergio Dias/Rita Lee作。スパニッシュ・ギター+メキシカン・サウンドをバックに、スペイン語で歌われます。
https://www.youtube.com/watch?v=r71H8WqFnHo

「It's Very Nice Pra Xuxu」
Arnaldo Baptista/Sergio Dias/Rita Lee作。オルガン・ロック・バラード。Dinho Lemeのパワフル・ドラムがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=lPz0LBYrJnU

「Portugal De Navio」
Arnaldo Baptista/Sergio Dias/Rita Lee作。小粋なセンスでアルバムにアクセントを加えています。
https://www.youtube.com/watch?v=zNXrd4oqQfc

「Virginia」
『Tecnicolor』セッション曲その3。Arnaldo Baptista/Sergio Dias/Rita Lee作。Beatlesライクなミディアム・バラード。『Tecnicolor』セッションでは英語で歌われていましたが、ここではポルトガル語で歌われています。
https://www.youtube.com/watch?v=fcr2NBBH2k4

「Jardim Eletrico」
Arnaldo Baptista/Sergio Dias/Rita Lee作。タイトル曲はパワフルなヘヴィ・ロック。Sergio Diasのギターが唸りを上げます。LiminhaとDinho Lemeというリズム隊強化の効果が表れた1曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=Y3NrtimlzC0

「Lady Lady」
Arnolpho Lima Filho/Mutantes作。Paul McCartney的なセンスを感じる1曲。終盤にはMutantesらしいミクスチャー・サウンドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=XzwLo7F8C7U

「Sarava」
『Tecnicolor』セッション曲その4。Arnaldo Baptista/Sergio Dias/Rita Lee作。Mutantesのロック魂を実感できる1曲。格好良さではドライブ感のある本曲が一番かもしれませんね。「Virginia」と同じく『Tecnicolor』セッションでは英語で歌われていましたが、ここではポルトガル語で歌われています。
https://www.youtube.com/watch?v=LdiEScEtcD8

「Baby」
『Tecnicolor』セッション曲その5。ラストはCaetano Veloso作の名曲カヴァーで締め括ってくれます。デビュー・アルバム『Os Mutantes』(1968年)でもカヴァーしていた曲の再録。『Os Mutantes』ではポルトガル語によるサイケ・モードな仕上がりでしたが、ここでは英語によるメロウ・ボッサな仕上がりとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=CKYihAiz-lE

「Baby」については、トロピカリズモの金字塔アルバム『Tropicalia: ou Panis Et Circencis』収録のGal Costa & Velosoヴァージョン、『Gal Costa』収録のGal Costaヴァージョンも紹介済みです。

Rita Lee在籍時の)Os Mutantesの他作品もチェックを!また、Rita Leeの過去記事もご参照ください。

『Os Mutantes』(1968年)
Os Mutantes

『Mutantes』(1969年)
Mutantes

『A Divina Comedia Ou Ando Meio Desligado』(1970年)
Divina Comedia Ou

『Mutantes e Seus Cometas no Pais do Baurets』(1972年)
Mutantes E Seus Cometas No Pai

Rita Lee『Build Up』(1970年)
Build Up

Rita Lee『Bossa'n Beatles』(2001年)
Bossa N Beatles
posted by ez at 02:34| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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