発表年:1968年
ez的ジャンル:凄腕ドラマー系ビッグバンド
気分は... :ビッグバンドの魅力!
今回はジャズ・ドラマーBuddy Richがビッグバンドを率いたライブ作品The Buddy Rich Big Band『Mercy, Mercy』(1968年)です。
凄腕ドラマーBuddy Richの紹介は、『The Roar Of '74』(1973年)に続き2回目となります。
本作『Mercy, Mercy』(1968年)は、ラスベガスCaesars Palaceでのライヴ・レコーディングです。
参加メンバーは、Buddy Rich(ds)以下、Art Pepper(as)、Walter Namuth(g)、Gary Walters(b)、Joe Azarello(p)、Charles Owens(as)、Pat LaBarbera(ts)、Don Menza(ts)、John Laws(bs)、Jim Trimble(tb)、Rick Stepton(tb)、Peter Graves(btb)、Al Porcino(tp)、David Culp(tp)、Kenneth Faulk(tp)、Bill Prince(tp)といった面々。
注目すべきは1950年代ウエストコースト・ジャズを代表する白人アルト・サックス奏者Art Pepperの参加です。当時、ドラッグやアルコール依存で音楽シーンから殆ど姿を消していたPepperをビッグバンド・メンバーで音楽監督の役割を実質的に担っていたDon Menzaが声を掛け、ラスベガスでのショーに合流した模様です。
The Kenny Clarke-Francy Boland Big Bandあたりと同じく、従来のビッグバンドのイメージを覆すビッグバンド・サウンドが本作の魅力です。勿論、大暴れするリーダーBuddy Richのドラミングも随所で楽しめます。
Richによる格好良いドラム・ブレイクがサンプリング・ソースとしても人気のタイトル曲「Mercy, Mercy, Mercy」、クラブジャズ好きの人も楽しめる「Channel One Suite」、鮮やかなアレンジの「Goodbye Yesterday」、ワイルド&エキサイティングな「Ode to Billie Joe」あたりが僕のおススメです。
Buddy Richならではの豪快なドラミングが牽引するエキサイティングなビッグバンド・ジャズを満喫しましょう!
全曲紹介しときやす。
「Mercy, Mercy, Mercy」
Joe Zawinul作の名曲カヴァー。オリジナルは当ブログで紹介したCannonball Adderley『Mercy, Mercy, Mercy!』(1968年)に収録されています。Richの格好良いドラムブレイクと共に始まり、ビッグバンドらしい重厚なホーン・アンサンブルを楽しめます。Walter Namuthのギター・ソロもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=N8WAvTmJuKk
本曲に関して当ブログではOsmar Milito、Heraldo Do Monte、Willie Bobo、Rusty Bryantのカヴァーを紹介済みです。
また、本演奏のRichによる格好良いドラム・ブレイクはDeee-Lite「I.F.O. (Identified Flying Object)」、Pizzicato Five「Pizzicatomania」、「Darlin' of Discotheque」、DJ Format「English Lesson」、Micatone「Got to Give It Up」、Keaton & Hive「Resolution」、Soopasoul feat. Nikeya Booker「Brand Nu (Lack of Afro Remix)」のサンプリング・ソースとなっています。
Deee-Lite「I.F.O. (Identified Flying Object)」
https://www.youtube.com/watch?v=rbrupJLEZaE
Pizzicato Five「Darlin' of Discotheque」
https://www.youtube.com/watch?v=VKHlyXGrGW4
DJ Format「English Lesson」
https://www.youtube.com/watch?v=yf-6aTiTnoc
Micatone「Got to Give It Up」
https://www.youtube.com/watch?v=RX2BBUOw-m0
Soopasoul feat. Nikeya Booker「Brand Nu (Lack of Afro Remix)」
https://www.youtube.com/watch?v=gkRnwyldgG0
「Preach and Teach」
Johnny Burke作。このバンドならではのビッグバンドの美学を感じる演奏です。決して野暮ったくならない、ヴィヴィッド感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=6wEUfKP-2Ks
「Channel One Suite」
Bill Reddie作。緩急織り交ぜた組曲。スリリングかつ重厚なビッグバンドならではの演奏とメンバーのソロを楽しめます。特にクラブジャズを先取りしていたかのような格好良いアンサンブルに魅了されます。ここでもRichのドラムが大暴れし、楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=SB3mI6lMpuw
Showbiz & A.G.「Silence of The Lambs(Remix)」、L*Roneous「No Limitations」のサンプリング・ソースとなっています。
Showbiz & A.G.「Silence of The Lambs(Remix)」
https://www.youtube.com/watch?v=LqssdJ6L_Is
L*Roneous「No Limitations」
https://www.youtube.com/watch?v=F2YhyS5nbMM
「Big Mama Cass」
Don Sebesky作。ここでもRichの格好良いドラム・ブレイクと共にスタート!ダイナミックなホーン・アンサンブルを満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=L1uyXNAfq7M
「Goodbye Yesterday」
Don Piestrup作。ビッグバンドならではのアンサンブルを重視したアレンジの妙が光る華やかな演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=1WIUqyZp3ak
「Acid Truth」
Don Menza作。ここではブルージーな演奏で少しアクセントをつけてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=etEFn8AWyis
「Alfie」
Burt Bacharach/Hal David作。Dionne Warwickが歌った映画『Alfie』の主題歌となった名曲のカヴァーです(オリジナル・レコーディングはCilla Black)。Vanessa Williamsなどのカヴァーでもお馴染みですね。当ブログではDelfonics、Christopher Scottのカヴァーも紹介済みです。Art Pepperのアルト・サックスを主役に据えたロマンティックな演奏です。
「Ode to Billie Joe」
女性カントリー・シンガーBobbie Gentry、1967年の大ヒット曲をカヴァー。ラストはRichらしい少しワイルドなビッグバンド・サウンドでエキサイティングな気分にさせて締め括ってくれます。当ブログでは本曲に関して、Lou Donaldson、Nicola Conte、Ellen McIlwaineのカヴァーも紹介済みです。
https://www.youtube.com/watch?v=qGXXaApWiiw
再発CDには「Chavala」、「Mr. Lucky」、「Chelsea Bridge」の3曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。
Buddy Richの他作品もチェックを!
『Big Swing Face』(1967年)
『A Different Drummer』(1971年)
『Stick It』(1972年)
『The Roar Of '74』(1973年)
『Very Live at Buddy's Place』(1974年)
『Big Band Machine』(1975年)
『Speak No Evil』(1976年)
『Buddy Rich Plays and Plays and Plays』(1977年)