2018年02月11日

Zara McFarlane『Arise』

UKジャマイカンとしてルーツを探求した1枚☆Zara McFarlane『Arise』
Arise [帯解説 / 国内仕様輸入盤CD] (BRBW162)
発表年:2017年
ez的ジャンル:UKジャズ・ジャマイカ
気分は... :ミッション!プライド!バリュー!

今回はUK女性ジャズ・シンガーZara McFarlaneの3rdアルバム『Arise』です。

昨年秋のリリースなので新作と呼ぶには結構経っていますが・・・

Zara McFarlaneはUKジャマイカンの女性シンガー。これまでGilles PetersonBrownswood Recordingsから『Until Tomorrow』(2011年)、『If You Knew Her』(2014年)という2枚のアルバムをリリースしています。

また、当ブログで紹介した作品でいえば、Louie Vega『Louie Vega Starring...XXVIII』(2016年)でフィーチャリングされています。

ディープな黒人女性ジャズ・シンガーというイメージが強い人ですが、3rdアルバムとなる本作『Arise』(2017年)は、ZaraがUKジャマイカンという自身のルーツを掘り下げた作品であり、ジャズとレゲエ等のジャマイカ音楽、さらにかカリビアンを融合させた楽曲が目立ちます。

プロデュースはMoses Boyd。Moses BoydはMoses Boyd Exodus名義やBinker GoldingBinker And Moses名義で作品をリリースしているUKのドラマー/プロデューサー。The Peter Edwards Trioのメンバーでもあります。

Zara McFarlane(vo)以下、Moses Boyd(ds)、Peter Edwards(p、el-p、org、clavinet、melodica)、Shirley Tetteh(g)、Shane Beales(g)、Max Luthert(b)、Binker Golding(ts)、Nathaniel Cross(tb)、Shabaka Hutchings(bass cla)、Pete Eckford(per)等のミュージシャンがレコーディングに参加しています。Peter EdwardやBinker Goldingは1st『Until Tomorrow』にも参加していました。

「Peace Begins Within」「Fisherman」以外はZara McFarlaneのオリジナルです(共作含む)。

従来の作品以上に、僕の嗜好にフィットした1枚です。

派手さはありませんが、UKジャマイカンとしてのZaraの誇り、願いが音に反映された素晴らしい1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Ode To Kumina」
タイトルの通り、ジャマイカの伝統音楽クミナのエッセンスを取り入れたアルバムのイントロ。

「Pride」
スピリチュアルなヴァイヴが漂う、ある意味Zara McFarlaneらしい1曲。Shabaka Hutchingsのバス・クラリネットの音色が独特の雰囲気を醸し出します。Binker Goldingもサックス・ソロで盛り上げてくれます。Kamasi Washingtonあたりがお好きな人も気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=qGSe9eF1WtQ

「Fussin' And Fightin'」
ジャズとルーツ・レゲエがダビー感覚で融合した本作らしい1曲。覚醒的なレゲエ・サウンドと美しいジャズ・ピアノが織り成す音世界に魅了されます。
https://www.youtube.com/watch?v=ocqsfYLIFSA

「Peace Begins Within」
ジャマイカン女性シンガーNora Deanの楽曲をカヴァー。前作『If You Knew Her』でもNora Deanの「Angie La La」をカヴァーしており、彼女にとっては特別なアーティストなのでしょうね。レゲエではなく、あくまでジャズ・フィーリングでカヴァーするのがZara流ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=0Uqj2FOB7Ag

「Stoke The Fire」
Zaraの多重録音によるヴォーカル・ワークに惹かれる哀愁バラード。深淵な雰囲気が漂います。

「Freedom Chain」
ルーツ・レゲエ調の仕上がり。メッセージとサウンドがよくフィットしています。クラヴィネットの響きがいいアクセントになっています。

「Riddim Interlude」
ジャズ・ジャマイカなインタールード。

「Allies Or Enemies」
Shane Bealesのアコースティック・ギターをバックに、Zaraがソウルフルなヴォーカルを聴かせてくれます。シンプルさがいいですね。

「In Between Worlds」
ジャズとカリビアン・フィーリングを融合させた仕上がり。少し哀愁を帯びたZaraのヴォーカルが心の奥まで染み渡ります。
https://www.youtube.com/watch?v=oc_nZafkc-c

「Silhouette」
Shabaka Hutchingsのバス・クラリネットをフィーチャー。UKジャマイカンとしてのルーツ探求という本作のテーマを色濃く反映した1曲。美しさと悲しみが入り混じった音世界が印象的です。

「Fisherman」
ジャマイカのレゲエ・グループThe Congosの「Row Fisherman」 をカヴァー(Cedric Myton/Roydel Johnson/Watty Burnett作)。ルーツ・レゲエをZaraらしいディープなバラードで歌い上げます。

「Ode to Cyril」
ラストはラスタファリアンの宗教音楽ナイヤビンギのエッセンスを取り入れています。UKジャマイカンとしてのDNAを探求しながらアルバムは幕を閉じます。

Zara McFarlaneの他作品もチェックを!

『Until Tomorrow』(2011年)
Until Tomorrow [解説付 / 国内盤仕様] (BRBW070)

『If You Knew Her』(2014年)
If You Knew Her [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC401)
posted by ez at 02:18| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]