録音年:1977年
ez的ジャンル:東欧女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :Auraのオーラ!
今回はルーマニアが誇る世界的な女性ジャズ・シンガーAura Urziceanuが1977年にレコーディングした『Over The Rainbow』です。
ネットで調べるとリリースは1984年となっており、レコーディング時期とギャップがあるようです。便宜上、70年代カテゴリーに分類しておきます。
1946年ルーマニア、ブカレスト生まれの女性シンガーAura Urziceanuの紹介は、『Seara de Jazz cu Aura』(1974年)に続き2回目となります。
1977年にカナダでレコーディングされた本作『Over The Rainbow』は、Auraの再評価を高めた1枚です。
プロデュースはStefan Carapanceanu。
レコーディング・メンバーは、Auraの公私のパートナーとなるカナダ人ドラマーRon Rully(ds、per)をはじめ、Carol Britto(p)、Gene DiNovi(p)、Gary Benson(g)、Bill Bridges(g)、Steve Wallace(b)等。
人気コンピCafe Apres-Midiシリーズに収録された「Lonely Lie」、「As Time Goes By」をはじめ、オープニングを飾る「A Time For Love」、Mario Castro-Neves作の「Danny」、バロック・ボッサ調の「We'll Be Together Again」といったブラジル/ラテンのエッセンスを取り入れた楽曲が本作の魅力です。
「Looking Through The Eyes Of Love」や「Fire In The Morning」といったメロウ作品や、バックを抑えたバラードの「Over The Rainbow」や「Once I Met A Day」あたりも僕のおススメです。
ブラジル/ラテン・ジャズ+ソフトロックな魅力と女性ジャズ・ヴォーカルな魅力がブレンドされた1枚です。
全曲紹介しときやす。
「A Time For Love」
映画『An American Dream』(1966年)挿入歌をカヴァー(Johnny Mandel/Paul Francis Webster作)。スタンダードを軽快なブラジリアン・ジャズへ変貌させています。軽快なブラジリアン・リズムに乗ってAuraのヴォーカルが躍動します。
「One Like You」
Gene DiNovi/Tony Velona作。哀愁バラードを情感たっぷりにしっとり歌い上げます。
「Lonely Lie」
Mario Castro-Neves/T. Miller作。1977年当時カナダに滞在していたブラジル人コンポーザーMario Castro-Nevesが楽曲提供した本曲は、前述のようにCafe Apres-Midiのコンピにも収録された人気ボッサ・ジャジー・グルーヴです。Auraのヴォーカル&スキャットのキュートな魅力を存分に楽しめます。
「I Should Have Never Let Him Go」
Neil Sedaka作。素敵なギターを従え、メロウ・バラードを優しく歌い上げます。Auraのヴォーカリストとしての確かな実力を感じることができる1曲です。
「Looking Through The Eyes Of Love」
Carole Bayer Sager/Marvin Hamlisch作。優しい魅力に溢れたアコースティック・メロウ。ポップス好きの人も気に入るであろうメロウ・バラードに仕上がっています。
「Danny」
Mario Castro-Neves/T. Miller作。Mario Castro-Nevesが楽曲提供した2曲目。ラテン・リズムのソフトロックといった雰囲気がグッド!多重録音によるAuraのスキャットコーラスがグッド!
「Fire In The Morning」
Larry Herbstritt/Steve Dorff作。Melissa Manchesterも取り上げた楽曲です。ここではジャジー・メロウなソフトロック調の仕上がり。Auraのヴォーカルが実にチャーミングです。
「Come Rain Or Come Shine」
ミュージカル『St.Louis Woman』(1946年)のために書かれたスタンダード(作詞Johnny Mercer、作曲Harold Arlen)。リラックスしたジャズ・フィーリングのミディアムですが、無邪気なAuraの虜になるキュートな仕上がりです。
「A Time For Love」
オープニングを飾った「A Time For Love」の別ヴァージョン。こちらはスタンダードのカヴァーらしいバラード・ヴァージョンです。
「We'll Be Together Again」
Carl Fischer/Frankie Laine作。バロック調のアクセントをつけたソフト・ボッサ。上品なメロウ&ソフト・フィーリングがいいですね。
「If You Could Read My Mind」
Gordon Lightfoot作。Lightfootのオリジナルは『If You Could Read My Mind』に収録されています。ギターのみの抑えたバックでAuraのヴォーカルを引き立てます。
「Once I Met A Day」
Gene DiNovi/Tony Velona作。この曲ではピアノのみのバックでバラードをしっとりと歌い上げます。Auraの歌の魅力を実感するには、こういったタイプのバラードもいいかもしれません。
「Scarborough Fair」
Simon & Garfunkelの名曲をカヴァー。オリジナルの雰囲気を受け継ぐギター・バラードですが、東欧の女性ジャズ・シンガーというイメージがフィットします。
「Have A Heart」
Gene DiNovi/Johnny Mercer作。前半は作者Gene DiNoviのピアノが映える優しいバラード、後半はワルツ調の小粋なセンスが冴えます。
「If」
Breadの名曲をカヴァー(David Gates作)。ギターをバックにしたジャズ・バラード調の仕上がりです。
「As Time Goes By」
映画『Casablanca』でお馴染みのスタンダードをカヴァー(Herman Hupfeld作)。前述のようにCafe Apres-Midiのコンピにも収録された人気曲。誰もが知っているスタンダードをボッサ・ジャズへ変貌させ、さらにAuraのヴォーカルの存在感が抜群なのがいいですね。
「The Touch」
Gene DiNovi/Tony Velona作。ピアノのみをバックにした哀愁バラード。切々とした思いが伝わってきます。
「Over The Rainbow」
タイトル曲は映画『オズの魔法使』でお馴染みのスタンダード・カヴァー(Harold Arlen/Yip Harburg作)。この名曲を無邪気なキュート・ヴォーカルで歌い上げるAuraにアーティストとしてのオーラを感じます。
「We'll Be Together Again」
「We'll Be Together Again」の別ヴァージョン。こちらはオーセンティックなジャズ・バラードに仕上がっています。
『Seara de Jazz cu Aura』(1974年)