2018年04月09日

Jackson Sloan『Old Angel Midnight』

Snowboyプロデュースの男性ジャズ・ヴォーカル作品☆Jackson Sloan『Old Angel Midnight』
オールド・エンジェル・ミッドナイト
発表年:1989年
ez的ジャンル:UKアシッド・ジャズ前夜
気分は... :Million Secrets of Jazz!

本当は遂にCD化が実現したブラジリアン・フォーキーEdu Passeto & Gui Tavares『Noite Que Brincou De Lua』(1981年)を紹介したかったのですが、Amazonでの扱いがないため泣く泣く断念!

急遽変更して、UKアシッド・ジャズ前夜にリリースされた男性ジャズ・ヴォーカル作品Jackson Sloan『Old Angel Midnight』(1989年)を紹介します。

Jackson Sloanは、アシッド・ジャズ以前のUKで"踊れる"ジャズ・バンドRent Partyを率いていた男性ジャズ・ヴォーカリスト。

そんなJackson Sloan唯一のソロ・アルバムが本作『Old Angel Midnight』(1989年)です。アシッド・ジャズを牽引することになるパーカッション奏者Snowboyがプロデューサーを手掛けています。

Snowboyプロデュースということでアシッド・ジャズ的な音をイメージするかもしれませんが、実際の音はアシッド・ジャズ前夜のUKダンシング・ジャズであり、モッド・ジャズな魅力もあります。主役Jackson Sloanのヴォーカルは決して上手いとは言えませんが、雰囲気で聴かせるセンスに好感が持てます。Georgie Fameあたりに通じるものがあります。

レコーディング・メンバーはJackson Sloan(vo)以下、Mark Fitzgibbon(p、el-p、org)、Martin Klute(b)、Graeme Culham(ds)、Snowboy(congas)、Dick Pearce(tp、flh)、Dick Morrissey (ts)、Pete King(as)、Anthony Kerr(vibe)、Kim Burton(accordion)、John Mayer(violin)、Mari Wilson(vo)。

ハイライトとなる人気ダンシング・ジャズ「Devil May Care」、モッド・ジャズな「Jack Kerouac Said」、小粋なスウィンギン・ジャズ「Bernie's Tune」、グルーヴィー・オルガン・ジャズ「Walk On The Wild Side」Snowboyらしいラテン/ボッサ・フィーリングの「Spiderman」「So Many Times」、ブルース調の「One And All Blues」あたりが僕のおススメです。

アシッド・ジャズとは異なる80年代後半のUKならではの"踊れる"ジャズを楽しみましょう!

全曲紹介しときやす。

「Devil May Care」
おススメその1。本作のハイライトはBob Dorough作品のカヴァー。Bob Doroughのオリジナルは『Devil May Care』(1956年)に収録されています。ここではスウィンギーなダンシング・ジャズに仕上がっています。オリジナル・ラヴ「Million Secrets of Jazz」の元ネタとしてお馴染みJohnny Lytle「Selim」Miles Davis「Milestones」を合体させたイントロのヴァイヴがたまりませんね。終盤にはMiles Davis「So What」ネタも聞こえてきます。。
https://www.youtube.com/watch?v=0D1b6YKlCak

「So Many Times」
おススメその2。Ruth Rogerswright作。Snowboyプロデュースらしいラテン/ボッサ・ジャズのエッセンスを取り入れた小粋な仕上がり。

「Old Angel Midnight」
Jackson Sloan作。ブルージーなスロウ。印象的なエレピをはじめバッキングのセンスがグッド!

「One And All Blues」
おススメその3。Jackson Sloan作。モッド・ジャズな雰囲気が格好良いブルース。アシッド・ジャズ前夜のUKジャズ感があっていいですね。

「We'll Be Together Again」
Carl Fischer/Frankie Laine作のスタンダードをカヴァー。最近Aura Urziceanuのカヴァーを紹介したばかりですね。スタンダード感のあるピアノ・バラードに仕上がっています。

「Jack Kerouac Said」
おススメその4。Jackson Sloan作。モッドな格好良さを感じるスウィンギン・ジャズ。Sloanにはこういう曲が似合います。

「Spiderman」
おススメその5。Freddie McCoyのカヴァー。オリジナルは『Spider Man』(1966年)に収録されています。ヴァイヴとSloanのヴォーカルが一体となって疾走するダンシング・ラテン・ジャズ。このあたりはモロにSnowboyワールドですね。
https://www.youtube.com/watch?v=NnnhBHMPYj4

「Caravan」
Duke Ellington楽団でお馴染みのアフロ・キューバン・ジャズ名曲をカヴァー(Duke Ellington/Juan Tizol作)。当ブログではNicola ConteGabor Szaboのカヴァーも紹介しています。ここでは80年代UK好きにはお馴染みの女性シンガーMari Wilsonが参加しています。Martin Dennyに通じるエキゾチックな雰囲気が印象的です。

「Bernie's Tune」
おススメその6。Bernie Miller作。本作らしい美学が貫かれた小粋なスウィンギン・ジャズ。Jackson Sloanの魅力がコンパクトに凝縮されています。
https://www.youtube.com/watch?v=k4Uj7Y3g7Xg

「Walk On The Wild Side」
おススメその7。Elmer Bernstein/Mack David作。Lou Reedのロック名曲とは同名異曲。1962年の映画『Walk On The Wild Side』の主題歌カヴァーです。ラストはワルツ調のグルーヴィー・オルガン・ジャズで締め括ってくれます。

本作以降はLTJ X-Perience作品でのフィーチャリング、Oo-Bop-Sh'Bam名義の作品以外に目立ったリリースはありませんでしたが、近年はJackson Sloan & The Rhythmtones名義で作品をリリースしています。

『The Shack Sessions』(2013年)
The Shack Sessions

『Saturday Clothes』(2015年)
Saturday Clothes

『Postcard From Paris』(2016年)
Postcard From Paris

ブラジリアン・フォーキーEdu Passeto & Gui Tavares『Noite Que Brincou De Lua』(1981年)は、Amazonで扱い次第紹介したいと思います。
posted by ez at 03:28| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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