発表年:2018年
ez的ジャンル:伊達男系男性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :ブラジルでも伊達男は健在!
今回は魅惑のバリトン・ヴォーカルで魅了するイタリア人男性ジャズ・シンガーMario Biondiの最新作『Brasil』です。
2メートルを超えるイタリア人の巨漢シンガーMario Biondiについて、これまで当ブログで紹介した作品は以下の4枚。
『Handful Of Soul』(2006年)
『If』(2009年)
『Sun』(2013年)
『Beyond』(2015年)
本作『Brasil』は、タイトルの通り、リオ・デ・ジャネイロでレコーディングを行い、ブラジル色を前面に打ち出したアルバムです。ブラジル人ミュージシャンとの交流の中でMarioの開放的な魅力が全開です。
プロデュースはブラジル新世代の重要ミュージシャンKassinとMario Caldato, Jr.(Mario C)。Mario Caldato, Jr.はBeastie Boys、Jack Johnson、Bebel Gilbertoのプロデューサーとしてお馴染みですね。
ゲスト・ミュージシャンとして、Ivan Lins(key)、Till Bronner(flh)、Daniel Jobim(p)、Ana Flora(back vo)、Ivete De Souza(back vo)が招かれています。
それ以外にKassin(b)、Daniel Conceicao(ds)、Davi Moraes(g)、Pedro Sa(g)、Roberto Pollo(key)、Giuseppe Furnari(p)、Andre Siqueira(per)、Altair Martins(tp)、Ze Carlos Bigorna(sax)、Marlon Sette(tb)、Bettina Graziani(back vo)、Jurema de Candia(back vo)、Jussara Lorenco(back vo)、The City Of Prague Philharmonic Orchestra等のミュージシャンが参加しています。
Marlon Setteがホーン・アレンジ、Arthur Verocaiがストリングス・アレンジを手掛けています。また、ソングライティングではRoge/Gabriel Mourというブラジル人ソングライター・コンビが大きく貢献しています。
オリジナルの中ではポップ・ディスコな「Take Me To The Stars」、ダンサブルな「On The Moon」、メロウな「Sophia」あたりがおススメです。
カヴァーでは「Felicidade」(Seu Jorge)、「Upside Down (Flor De Lis)」(Djavan)、「It's You I'll Always Love (Eu Sei Que Vou Te Amar)」(Jobim)、「Smooth Operator」(Sade)がおススメです。
ブラジル人ミュージシャンと交流しても、Marioの男臭く豪快なヴォーカルは圧倒的な存在感を放ちます。その意味では、ブラジル録音という部分にあまり引きずられすぎず、Mario Biondiワールドを楽しめばいいと思います。
全曲紹介しときやす。
「Felicidade」
Leandro Fab/Seu Jorge/Gabriel Moura/Pretinho Da Serrinha/Jeff Cascaro/Robin Meloy Goldsby作。Seu Jorgeのカヴァー。オリジナルは『Musicas para Churrasco, Vol. 2』(2014年)に収録されています。オリジナルの開放感を受け継ぎつつ、伊達男らしいポップ・ジャズにアップデートさせています。抜きのいいホーン・サウンドもグッド!
「Devotion (Mundo Coloridao)」
Roge/Gabriel Moura/Gabriela Da Silva Riley作。Kassinらしい新世代ブラジル・サウンドに乗って、Marioの男臭いヴォーカルが軽快に駆け抜けます。
https://www.youtube.com/watch?v=3z913Q9CUyc
「Upside Down (Flor De Lis)」
Djavanの名曲「Flor De Lis」をカヴァー。オリジナルは『A Voz, O Violao, A Musica De Djavan』(1976年)に収録されています。ここでは少しテンポを落としたメロウ・ボッサ・サウンドでMarioらしい低音ヴォーカルの魅力を引き出してします。
https://www.youtube.com/watch?v=hIGuKBvRdZw
「Rivederti」
Mario Biondi/Giuseppe Furnari/Dario Fisicaro作。Giuseppe Furnariの美しいピアノをバックに、Marioが美しいバラードを優しく歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=w3_c2IU0EHc
「Take Me To The Stars」
Mario Biondi/Roge/Gabriel Moura作。開放的なポップ・ディスコ調の仕上がり。Marioらしいスケールの大きさダンサブル・ワールドを楽しめます。Arthur Verocaiのストリングス・アレンジが冴えます。
https://www.youtube.com/watch?v=Gx7bqjnMeDM
「Sophia」
Roge/Gabriel Moura/Jeff Cascaro/Robin Meloy Goldsby作。ブラジルらしいメロウ・サウンドとMarioらしい男臭いヴォーカルが上手く結びついています。
「It's You I'll Always Love (Eu Sei Que Vou Te Amar)」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Moraes作の名曲カヴァー。Marioにしかできないシブい語り口の好カヴァーに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=63m_tkkmMlg
「Deixa Eu Dizer」
Ronaldo Monteiro/Ivan Lins作。Ivan Linsのオリジナルは『Modo Livre』(1974年)に収録されています。ベテラン女性シンガーClaudiaと作者Ivan Linsのキーボードをフィーチャー。Marioの武骨なポルトガル語ヴォーカルを楽します。
「On The Moon」
Mario Biondi/Roge/Gabriel Moura/Jeff Cascaro/Robin Meloy Goldsby作。軽快なホーン・サウンドと共に疾走する豪快ダンサブル・チューン。近年のMario作品がお好きな人であれば気に入るはず!
https://www.youtube.com/watch?v=Q-hDyiHjj-4
「Jardin D'hiver」
Benjamin Biolay/Keren Ann作。Keren Annのオリジナルは『La Biographie de Luka Philipsen』(2000年)に収録されています。哀愁ボッサ・サウンドに乗って、Marioが哀しげなフレンチ・ヴォーカルを披露します。
「Smooth Operator」
Sade Adu/Antonio Hardy/Clyde Otis/Murray Stein作。Sadeの初期ヒットをカヴァー。ドイツ人イケメン・ジャズ・トランペッターTill Bronnerをフィーチャーし、BronnerのフリューゲルホーンとMarioの伊達男ヴォーカルが相まって格好良いカヴァーに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=WDzGJd0grcc
「Luiza」
Antonio Carlos Jobim作。Roberto Polloのキーボードとサウンド・エフェクトのみのバックでMarioが歌い上げるミステリアスなカヴァーに仕上がっています。
「Mundo Coloridao」
Roge//Gabriel Moura/Mario Biondi作。Kassinの新世代ブラジル・サウンドが冴える開放的なポップ・ダンスに仕上がっています。
「Rivederti (Se Quer Entrar)」
Ana Carolina、Daniel Jobim(Antonio Carlos Jobimの息子)をフィーチャーした「Rivederti」の別ヴァージョン。Arthur Verocaiのストリングスがロマンティック・ムードを演出してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=SnbX4EyPbXU
Mario Biondiの過去記事もご参照下さい。
『Handful Of Soul』(2006年)
『If』(2009年)
『Sun』(2013年)
『Beyond』(2015年)