録音年:1969年
ez的ジャンル:フュージョン黎明期フリー・ジャズ
気分は... :Miles Davis ×John Coltrane
今回は人気ジャズ・サックス奏者Wayne Shorterの問題作『Super Nova』(1969年)です。
これまで当ブログで紹介したWayne Shorter作品は以下の4枚です。
『Night Dreamer』(1964年)
『Speak No Evil(1964年)
『Adam's Apple』(1966年)
『Schizophrenia』(1967年)
本作『Super Nova』は、帝王Miles Davisの『In A Silent Way』(1969年)、『Bitches Blew』(1969年)、The Tony Williams Lifetime『Emergency!』(1969年)と同様に、ジャズの大きな転換期を象徴する作品です。
レコーディング・メンバーはWayne Shorter(ss)以下、John McLaughlin(g)、Sonny Sharrock(g)、Chick Corea(ds、vibes)、Miroslav Vitous(b)、Jack DeJohnette(ds、kalimba)、Airto Moreira(per)、Walter Booker(g)、Maria Booker(vo)、Niels Jakobsen(claves)。
Chick Coreaが参加しているものの鍵盤を弾いていないのが興味深いですね。
プロデュースはDuke Pearson。
Antonio Carlos Jobim作の「Dindi」以外はShorterのオリジナルです。
収録曲のうち、「Swee-Pea」、「Water Babies」、「Capricorn」は1967年に行われたMiles Davis『Water Babies』(1976年リリース)のセッションで演奏した楽曲の再演です。
John Coltraneを感じるフリー・ジャズ的な色合いの強い演奏が目立つアルバムであり、必ずしも聴きやすい作品ではありません。その一方でスピリチュアルな雰囲気やブラジリアン・エッセンスを取り入れた演奏もあり、僕が惹かれるのもその部分かもしれません。
帝王Miles Davisの革新性と神様John Coltraneの精神性を感じるShorterの問題作を楽しみましょう。
全曲紹介しときやす。
「Supernova」
いきなり張り詰めた緊張感と共にスタート!Shorterのサックス、McLaughlinのギターを中心にフリー・ジャズ的なスリリングでアヴァンギャルドな演奏が展開されます。
https://www.youtube.com/watch?v=oyHFMCPlJbA
「Swee-Pea」
『Water Babies』の再演1曲目。静寂の中のミステリアスといった佇まいのスピリチュアルな演奏が印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=laWgsKtXvl4
「Dindi」
Antonio Carlos Jobim作の名曲カヴァー。ブラジリアン・スピリチュアルな序盤、Maria Bookerのヴォーカルが入り、お馴染みの旋律を聴ける中盤、サンバ×フリー・ジャズな終盤という壮大なスケールのカヴァーに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=MGHqlGT9E7E
本曲について、当ブログではFlora Purim、Paprika Soul、Claudine Longet、Lenita Bruno、Charlie Byrdのカヴァーを紹介済みです。
「Water Babies」
『Water Babies』の再演2曲目。モーダルな演奏ですが、Shorterのサックスに暴発寸前の静かなる狂気のようなものを感じます。
「Capricorn」
『Water Babies』の再演3曲目。フリー・ジャズ的な仕上がり。Shorterのサックスの向こうにJohn Coltraneが見えてくる?
「More Than Human」
ラストはアフロ・ブラジリアンなフリー・ジャズ。ブラジリアンなアヴァンギャルド感が印象的です。
Wayne Shorterの過去記事もご参照下さい。
『Night Dreamer』(1964年)
『Speak No Evil(1964年)
『Adam's Apple』(1966年)
『Schizophrenia』(1967年)