発表年:1991年
ez的ジャンル:スタカンの歌姫系UKハウス
気分は... :「Digging Your Scene」だけじゃない!
Style Council等でお馴染みの黒人女性ヴォーカリストDee C. LeeとThe Blow MonkeysのDr.RobertことRobert HowardによるユニットSlam Slam唯一のアルバム『Free Your Feelings』(1991年)です。
Dee C. Leeといえば、元Style Councilのメンバーであると同時に、Paul Wellerの公私のパートナーであったことでも有名ですね。
そんなDee C. LeeがUKブルーアイド・ソウル・グループThe Blow MonkeysのリーダーRobert Howard(Dr.Robert)と組んだユニットがSlam Slamです。
その唯一のアルバム『Free Your Feelings』(1991年)では、Paul Wellerが7曲のソングライティングに関与し、奥方をバックアップしています。それ以外にアシッド・ジャズの人気グループYoung Disciplesが1曲プロデュースし、Style Councilの盟友Mick Talbotもソングライティングで関与しています。プロデュースはSlam Slam自身。
正直言って、アルバム自体はハウス寄りのB級ダンス作品ですが、Style Council、The Blow Monkeys、Young Disciplesという、いずれも僕が当時夢中になったUKグループの主要メンバーが勢揃いした作品であり、その一点のみでも手元に置いておきたい1枚です。
さらにシングルにもなったタイトル曲のリミックスはGang Starrが手掛けており、Guru『Jazzmatazz』プロジェクトの登場を予感させる点も興味深いです。
スタカンやブロウ・モンキーズを期待すると裏切られる内容ですが、UKソウル、アシッド・ジャズ、ハウス、Hip-Hopの接点が近かった当時の音楽シーンを知るという意味では興味深い1枚なのでは?
全曲紹介しときやす。
「Move (Dance All-Night)」
Dee C. Lee/Robert Howard作。アルバムに先駆けて前年にシングル・リリースされた楽曲。UKらしいダンサブル・サウンドを楽しめるハウス・チューン。当時のUKクラブミュージックがお好きだった人であれば、しっくりくる1曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=TCIOK5i7o0c
「Something Ain't Right」
Paul Weller作。Paul兄貴の楽曲がハウシーなダンス・チューンに仕上がっているのが不思議ですね(笑)。涼しげなフルートによるアシッド・ジャズ風のアクセントが面白いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=UhfnoDHR88Q
「Free Your Feelings」
Dee C. Lee/Marco Nelson作。タイトル曲はYoung Disciplesが共同プロデュース。Hip-Hop/アシッド・ジャズ調の仕上がりはアルバムの中では異色です。本曲を聴くにつれ、このタイプの曲をもっとやれば良かったのに!と思う人は多いのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=6QPWQ6C1g5I
アルバム未収録ですが、本曲といえばGang Starrによるリミックスもお馴染みですね。この共演が後にGuru『Jazzmatazz』(1993年)収録の名曲「No Time To Play」につながることになります。
Slam Slam feat. Gang Starr「Free Your Feelings (Xtra Feeling Mix)」
https://www.youtube.com/watch?v=pp1sgxIZRvg
Guru feat. Ronny Jordan & Dee C. Lee「No Time To Play」
https://www.youtube.com/watch?v=X2DtCC4NQJ0
「What Dreams Are Made Of」
Paul Weller/Mick Talbot作。スタカン・コンビによる作品もハウス調の仕上がり。ただし、Dee C. Leeのソウルフル・ヴォーカルとフルートやヴァイヴにとるジャジー・フィーリングがあるので、意外にスンナリ聴くことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=PFoR5M1uJ8w
「Giving It Up」
Paul Weller作。Dee C. Leeのソウルフル・ヴォーカルを活かしたミディアム・バラードですが、バックのサウンドが今イチなのが勿体ない!
「You'll Find Love」
Paul Weller作。Dee C. Leeのソウルフル・ヴォーカルとUKハウスの組み合わせという点ではまずまず成功していると思います。ハモンド・オルガンによるアクセントがスタカンっぽくていいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=_8Mfpc1ti7g
「Depth Charge」
Robert Howard作。UKクラブミュージックらしいダンサブル・チューン。悪くはないんだけど、今聴くと少しチープな気も・・・
「Round & Round」
Paul Weller作。ドリーミーなミディアム・グルーヴ。もう少し突き抜けたキャッチーさがあると更に良いのですが・・・
https://www.youtube.com/watch?v=JX9ahGFN9QQ
「Tender Love」
Paul Weller作。哀愁バラードを情感豊かに歌い上げます。
「Nothing Like It」
Dee C. Lee/Paul Weller作。個人的には一番のお気に入り。モロにハウスじゃなくて、アシッド・ジャズ・フィーリングのダンサブル・チューンになっているのがいいですね。うねるベースとホーン・サウンドがグッド!
改めて聴き直すと、せっかくRobert Howard(Dr.Robert)がいたのだから、もっとソウル・マニアなアルバムにして欲しかったなぁ、なんて思ってしまいます。しかもPaul Wellerの楽曲でしたしね。少し勿体ないなぁ・・・なんて文句言いながらも、ついつい聴いてしまう1枚です。