発表年:2018年
ez的ジャンル:ロンドン最新ブラック・ミュージック
気分は... :南ロンドンだけじゃなく西ロンドンも面白い!
サッカーW杯の3位決定戦「ベルギー対イングランド」はベルギーが勝利し、史上最高の3位という結果を残しました。
イングランドはさすがに中2日できつそうでしたね。
体力&気力の面で敗戦も仕方ない感じですね。
ベルギーは第3位ですが、決勝出場の2チームを差し置いて、今大会のベスト・チームという印象を受けますね。ルカク、アザール、デブルイネの攻撃ユニットは観ていて思わずファンになってしまいました。
そして、そのベストチームをどん底に追い詰めた日本代表も素晴らしかった・・・
さて、新作アルバムからロンドンのクロスオーヴァー・シーンの牽引者Kaidi Tathamの最新ソロ・アルバム『It's A World Before You』 です。
20年以上に渡り、ロンドンのクロスオーヴァー・シーンで活躍するマルチ・ミュージシャン/プロデューサーKaidi Tathamについて、ソロ作品の紹介は初めてですが、これまで以下の関連作品を紹介済みです。
Neon Phusion『The Future Ain't the Same as It Used 2 B』(1999年)
Silhouette Brown『Silhouette Brown』(2004年)
Bugz In The Attic『Back In The Doghouse』(2006年)
2000Black『A Next Set A Rockers』(2008年)
Dego & Kaidi『A So We Gwarn』(2017年)
Bugz In The Attic関連の活動に加え、Silhouette Brown、2000Black、Dego & Kaidiといった4HeroのDegoとのタッグが印象的ですね。
ソロ・アルバムとしては、これまでAgent K名義の『Feed The Cat』(2002年)と『In Search Of Hope』(2008年)という2枚をリリースしています。
本作はFirst Word Recordsからのリリースですが、その伏線としてKaidiは2017年にFirst Word Recordsから「Hard Times」、「Changing Times」という2枚の12"アナログ盤をリリースしています。
「Hard Times」(左)
「Changing Times」(右)
さて、本作『It's A World Before You』 ですが、ロンドンの最新クロスオーヴァー・サウンドを満喫できる1枚に仕上がっています。
販売元はLonnie Liston Smith『Expansions』(1975年)やDonald Byrd『Stepping Into Tomorrow』(1974年)の世界観とMoodyman、Theo Parrishのセンスを融合したブラック・ミュージックといった謳い文句を用いていますが、そんなややこしく考えずとも黒いグルーヴ・マスターのエッジーなクロスオーヴァー・サウンドに直感的に刺激されるはずです。
アルバムには盟友Degoをはじめ、First Word所属のロンドンの新進Hip-Hop/ソウル・ユニットChildren Of Zeus、Hip-HopレジェンドDJ Jazzy Jeffの息子であるラッパーUhmeer(Amir Townes)がフィーチャリングされています。
また、全曲のミックスを中国系イギリス人プロデューサーEric Lauが手掛けています。
先日の「特別企画:『Jazz The New Chapter 5』が発売になりました・・・」で紹介したような今ジャズも最新ジャズですが、本作のようなクロスオーヴァー作品もロンドンの最新ジャズだと思います。
実際、KaidiはShabaka Hutchings、Joe Armon-Jones等の南ロンドンの新進ジャズ・ミュージシャンとの交流もあり、彼らに影響を与えています。
南ロンドンも面白いが、西ロンドンもまだまだ面白い!
刺激に満ちたロンドンの最新ジャズ/ブラック・ミュージックをご堪能あれ!
全曲紹介しときやす。
「Joyous」
ブレイクビーツ×Azymuth調ブラジリアン・フュージョンなオープニング。西ロンドンらしいクロスオーヴァー・サウンドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=DbNJV0HSn6Q
「Your Dreams Don't Mean A Thing」
ドリーミー&メロウなフュージョン・サウンドとKaidiらしいブロークンビーツ的な複合的リズムが織り成すクロスオーヴァー・ワールドが心地好い1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=BqDuGu_79uQ
「Sweet Kinch」
オルガン&エレピによるコズミックな小曲。
https://www.youtube.com/watch?v=1k6uDOf0ORY
「Cold」
Azymuth調のキーボード・サウンドとシャープなリズムによる幻想的なクロスオーヴァー・サウンドが夢の世界へ誘ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=9pkMq6ZNr4Q
「Out Here On My Own」
Children Of Zeusをフィーチャー。ここではネオソウル的なメロウ・トラックで楽しませてくれます。USネオソウル好きの人も気に入るはず!
https://www.youtube.com/watch?v=kk_fYnR_3KU
「Bien」
ビートメイカー的センスのメロウ・ワールドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=ExT2A7MEkaI
「2Tone」
ラテン・フュージョン・ブギーといった雰囲気のヴィヴィッドなダンサブル・サウンドを楽しめる1曲。かなり僕好み!
https://www.youtube.com/watch?v=FKWQANZJfYE
「It's About Who You Know」
アナログ・シンセの質感を楽しめる1曲。70年代風サウンドと現在形ビートの融合がいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=gbABvQ_xppU
「Outta Audah」
トライバル感覚のブロークンビーツでスリリングに疾走します。2分半に満たない曲ですが、もっと長尺で聴きたい!
https://www.youtube.com/watch?v=0EINq_7N4Qw
「Soon Come」
インタールド的な小曲。
https://www.youtube.com/watch?v=ZfgAFH7OWWg
「It's A World Before You」
盟友Degoをフィーチャー。70年代ジャズ・ファンクにカリビアンなエッセンスを加え、2018年仕様にアップデートしたようなサウンドはアルバムで最もキャッチーな仕上がり。確かにコレを聴くとDonald Byrd『Stepping Into Tomorrow』を引き合いに出したくなるのが分かりますね。
https://www.youtube.com/watch?v=jX2wtAo5KMs
「Cupid」
Uhmeerをフィーチャー。この曲はUhmeerとEric Lauがソングライティングを手掛けています。ATCQ調のジャジーHip-Hopワールドで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=4h0a6KK1lyg
「Unique」
雨音と共にアルバムはエンディングを迎えます。
https://www.youtube.com/watch?v=TsBs80I7PKM
Kaidi Tathamの他のソロ作や関連作品の過去記事もチェックを!
Neon Phusion『The Future Ain't the Same as It Used 2 B』(1999年)
Agent K『Feed The Cat』(2002年)
Silhouette Brown『Silhouette Brown』(2004年)
Bugz In The Attic『Back In The Doghouse』>(2006年)
Kaidi Tatham『In Search Of Hope』(2008年)
2000Black『A Next Set A Rockers』(2008年)
Dego & Kaidi『A So We Gwarn』(2017年)