2018年07月22日

Kamaal Williams『The Return』

Yussef Kamaalの衝撃が再び!☆Kamaal Williams『The Return』
RETURN
発表年:2018年
ez的ジャンル:南ロンドン新世代ジャズ/ジャズ・ファンク
気分は... :やはり南ロンドン!

今回は新作アルバムから南ロンドンの注目ジャズ・アーティストの一人、Kamaal Williamsの初ソロ・アルバム『The Return』です。

Kamaal WilliamsHenry Wu)は南ロンドン、ベッカム出身のプロデューサー/キーボード奏者。

「Good Morning Peckham」(2015年)をはじめとするHenry Wu名義の作品やK15とのユニットWu15の作品で、Kamaalはプロデューサー/トラックメイカーとしてハウス/ブロークン・ビーツ/ジャズ・ファンク方面で注目されるようになります。

Kamaalがキーボード奏者としてジャズ方面で注目されたのはドラマーYussef DayesとのユニットYussef Kamaalのアルバム『Black Focus』(2016年)でした。Gilles PetersonBrownswood Recordingsからリリースされ、Shabaka Hutchingsも参加した『Black Focus』は、南ロンドンの新世代ジャズ/ジャズ・ファンクを象徴する1枚として、シーンに大きなインパクトを与えました。

Yussef Dayesの離脱によりYussef Kamaalとしての活動を断念せざるを得なくなったKamaalですが、Yussef Kamaalで掴んだ生演奏ジャズ/ジャズ・ファンクのベクトルをさらに推進すべく、自らのレーベルBlack Focus Recordsを設立し、レコーディングしたのが初ソロ・アルバム『The Return』です。

Kamaal自身がHenry Wu名義でプロデュースし、レコーディング・メンバーはKamaal Williams(el-p、syn)、Pete Martin(b)、Joshua McKenzie(ds)というトリオ編成。また、『Black Focus』にも参加していたUKクロスオーヴァー・ジャズ・ユニットTriforceのギタリストMansur Brownの参加曲もあります。

Lonnie Liston SmithRoy Ayersあたりの流れを汲むジャズ・ファンク・サウンドを、Kaidi TathamDegoといったUKクロスオーヴァー/ブロークン・ビーツの影響も受けつつ、今ジャズ的な生演奏で聴かせてくれる内容に仕上がっています。

特に先行シングルにもなった「Catch The Loop」、コズミックな「Salaam」Kaidi Tathamあたりとの接点も感じる「Broken Theme」、Mansur Brownがギターで参加している「LDN Shuffle」あたりがおススメです。

南ロンドン新世代ジャズの面白さを実感できる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Salaam」
70年代のLonnie Liston Smith作品を2018年南ロンドン・モードにアップデートさせたようなコズミックなジャズ・ファンクがオープニング。Kamaalのトラックメイカー的センスも感じる演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=_dTch-9KUaQ

「Broken Theme」
ブロークン・ビーツ経由の南ロンドン新世代ジャズといった趣がいいですね。先週紹介したKaidi Tatham『It's A World Before You』あたりの接点も感じるし、USの今ジャズ的な雰囲気もあるのがいいですね。

「The Return」
タイトル曲はビートレスの繋ぎの小曲。

「High Roller」
南ロンドンらしいコズミック・ファンクを楽しめる1曲。もっと長尺で聴きたいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=BvOZVPbTNMU

「Situations (Live In Milan)」
(多分)ミラノでのライブ録音。幻想的な雰囲気が支配する演奏です。

「Catch The Loop」
先行シングルにもなったアルバムのハイライト。今ジャズ×ブロークン・ビーツなハイパー・ジャズ・ファンクは実にエキサイティングだし、ロンドン的サウンドだと思います。KamaalがKaidi TathamDegoからの影響を受けていることがよく分かる演奏だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=_AjGzkKn138

「Rhythm Commission」
Lonnie Liston SmithRoy Ayersの諸作を彷彿させるジャズ・ファンク・サウンドを楽しめる1曲。

「Medina」
ジャズ・ファンク一辺倒ではなく、ジャズな側面を楽しめる演奏です。

「LDN Shuffle」
Mansur Brown参加曲。スリリングなジャズ・ファンクにMansur Brownのギターが加わり、よりパワフルな演奏を楽しめます。

「Aisha」
ラストは夏の夜空のような幻想的なコズミック・サウンドで締め括ってくれます。

未聴の方はYussef Kamaal『Black Focus』(2016年)もぜひチェックを!

Yussef Kamaal『Black Focus』(2016年)
Black Focus [帯解説 / 国内仕様輸入盤CD] (BRBW157)
posted by ez at 01:41| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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