録音年:1962年
ez的ジャンル:息を呑むピアノ&ギター・デュオ
気分は... :底流に吸い込まれそうデス。
自分を自己分析すると、きっと第一印象と実像にかなりギャップがあるタイプの人間だと思う。
多分、第一印象を引きずったままで僕を評価する人と実像に触れて評価する人とでは、その評価が180度異なると思う。その実像をうまく自分でアピールできれば一番いいのだろうけど、正直そういったアピールは下手くそだ。
そこが僕の最大の欠点かもしれませんな。
いい意味でも悪い意味でも全然ガツガツしていない。
なので、競争社会を前提とした権威/地位/常識/成功を評価のモノサシとする人との相性は抜群に悪い(笑)それだけ僕の生き方が風変わり/自然体/アウトサイダー的なものなのかもしれないけど...
『Alone』(1968年)、『Waltz For Debby』(1961年)、
『Portrait In Jazz』(1959年)に続く、4回目のBill Evans登場デス。
今回はギタリストJim Hallとのデュオ・アルバム『Undercurrent』(1962年)デス。
本作が録音されたのは1962年。前年の1961年にScott LaFaro(b)を自動車事故で失い、黄金トリオに突然終止符が打たれた失意の時期とオーバーラップします。
そんなビミョーな時期の演奏ですが、EvansとJim Hallとの相性はバッチリといったカンジですね。白人ジャズマン二人の高い音楽性と創造意欲に溢れたスリリングな演奏に吸い込まれそうですな。。
EvansのピアノとHallのギターが静かに絡む緊張感の高さが、心の底に溜まっていた不純物を一気に溶かしてくれるようです。緊張感高いけど全然疲れない心地良さがありますねぇ。
Bill Evansと言えばトリオの印象が強いですが、このデュオもEvansの魅力を十分に伝えてくれると思いマス。
『Waltz For Debby』(1961年)あたりがお好きな方には、ぜひオススメです。
全曲紹介しときやす。
「My Funny Valentine」
説明不要のスタンダードですね(Lorenz Hart作詞、Richard Rodgers作曲)。僕の場合、Miles Davisのバージョンもよく聴きますね。メロディアスなバラードのイメージが強い曲ですが、ここではかなりスリリングなインタープレイを聴かせてくれマス。個人的にはボーナス・トラックとして追加されたAlternate Takeの方をよく聴きますね。
「I Hear a Rhapsody」
これはロマンティックな演奏ですね。ピアノ&ギター・デュオの魅力を実にわかりやすく伝えてくれますね。思わずウットリしてしまいマス。
「Dream Gypsy」
Judith Veeversの作品。センチメンタルなムードが実に繊細に表現されているカンジですね。以前に、Bill Evansの演奏を聴くと静寂の中に日本人的なわび・さびの感覚を感じると書いたことがありますが、この曲なんかもそんな感じがしますね。きっと音の出ていない音空間みたいものを感じるからかもしれませんね。
「Romain」
Jim Hallのオリジナル。タイトルの通り、ロマン溢れるJim Hallのギターを堪能できます。Evansのピアノの絡みもいいカンジですね。
「Skating in Central Park」
Modern Jazz QuartetのJohn Lewisの作品。繊細で、ソフトで、メロウで、どこか悲しげで...実は永遠のジャズ初心者の僕としてはこの曲が一番わかりやすくて好きかも?
「Darn That Dream」
ミュージカル『Swing That Music』の挿入歌としてBenny Goodmanが演奏したスタンダード(Eddie DeLange作詞、Jimmy Van Heusen作曲)。聴いていると、うっとりしてジャケの女性のように水面を漂っているような気分になりますね。
「Stairway to the Stars」
「I'm Getting Sentimental over You」
CDにはオリジナルに加え、上記2曲がボーナス・トラックとして追加されていマス。個人的には「Stairway to the Stars」が好きですね。このスタンダードといえばGlenn Millerの演奏が有名かもしれませんが、本ブログではDexter Gordonのバージョンも紹介しましたね。本作では先に書いたような音のない空間をたっぷり聴かせてくれる、わび・さび感溢れる演奏に仕上げていマス。
EvansとHallは4年後の1966年にもデュオ・アルバム『Intermodulation』を発表していマス。ご興味のある方はそちらもどうぞ!