発表年:1989年
ez的ジャンル:バイーア音楽
気分は... :当時の流行は・・・
今回は80年代後半のブラジル、バイーア・サウンドを収めた1枚、Geronimo『De Bahia』(1989年)です。
Geronimo(本名:Gerenimo Santana Duarte)は1953年バイーア州生まれの男性シンガー/ソングライター。
『Pagina Musical』(1983年)を皮切りに80年代後半〜90年にかけて5枚のアルバムをリリースしています。
本作(1989年)はフランスBlue Moon Productionsからリリースされた編集盤であり、アルバム『Geronimo』(1988年)の全曲にアルバム『Danda』(1988年)からの2曲を加えた構成であり、国内盤CDが1990年にリリースされました。
ワールド・ミュージック全盛期にリリースされた作品であり、僕もリアルタイムで愛聴していました。
Geronimoを含むブラジル北東部バイーアの新進アーティストが注目されるきっかけとなったのが、前述のフランスBlue Moon Productionsからリリースされた、バイーアの新進アーティストを集めたコンピ・アルバム『Tempo De Bahia』(1989年)です。
ワールド・ミュージック・ブームの中でクローズ・アップされた音楽の1つとして、メレンゲ、ソカ、ズークといったカリビアン・ミュージックがあります。そして、さまざまなカリビアン・ミュージックのエッセンスを取り込んだバイーアの新進アーティストがブラジル音楽の新しい波として注目されたのが当時の流れです。
『Tempo De Bahia』を契機にGeronimoへの注目が高まり、同じBlue Moonから編集盤『De Bahia』がリリースされることとなりました。
僕自身も『Tempo De Bahia』でGeronimoを知り、その後『De Bahia』を購入しました。
久々にアルバム1枚聴き直しましたが、今聴いてもワールド・ミュージックらしいブラジル音楽という気がします。メレンゲ、ソカ、ズーク、サルサ、レゲエ、ブラジル音楽がゴッタ煮となった開放的サウンドを聴いていると自然とテンションが上がります。
そういった文脈でいえば、『Tempo De Bahia』収録曲の「Lambada Da Delicia」に代表される開放的リズムで躍動する楽曲に注目すべきなのでしょうが、僕の好みは「Coracao Vicoso」、「Anjo Daniel」、「Papel De Arroz」といったメロウな楽曲です。
Bob Marleyに捧げられたサンバ・レゲエ「Brilho E Beleza」、Maria Bethaniaもカヴァーしたカリビアン・レゲエ「Salve As Folhas」、Ruben Bladesのサルサ名曲「Pedro Navaja」のカヴァー「Surresas Tem O Pelo」もおススメです。
ワールド・ミュージック全盛期らしいブラジル作品を満喫しましょう。
全曲紹介しときやす。
「Lambada Da Delicia」
前述のバイーア新進アーティストのコンピ『Tempo De Bahia』収録曲。タイトルに"Lambada(ランバダ)"とあり、世界的にヒットしたKaoma「Lambada」(1989年)をイメージする人がいるかもしれませんが、全然違う音です。カーニヴァル・モードの開放的リズムで軽やかに弾けます。
https://www.youtube.com/watch?v=1O9XHNY4E-k
「Kirika Na Bucana」
「Lambada Da Delicia」と同タイプの開放的な仕上がり。鮮やかなホーン・サウンドで盛り上げてくれます。また、サルサ調のパーカッシヴな展開も僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=We8YqfZIbl8
「Namorado Da Chuva」
少しテンポを落とした優しいカリビアン・サウンドがアイランド・モードの寛いだ気分にさせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=7dlRr5ELBYc
「Mangueira Do Major」
ブラジルとカリビアンが融合した開放的サウンドが晴れやかな気分にさせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Ut8PS9WQaQY
「Brilho E Beleza」
Bob Marleyに捧げられたサンバ・レゲエ調の仕上がり。当時はピンと来ませんでしたが、今聴くとサンバ・レゲエのグルーヴがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=eqa2lLrYs5I
「Coracao Vicoso」
今も昔も僕の一番のお気に入りはコレ。全然バイーアやGeronimoらしい作品ではないのかもしれませんが、ギターが印象的なビーチ・モードのメロウ・サウンドの魅力に抗うことはできません。
https://www.youtube.com/watch?v=QS0vyZ_lRR0
「Surresas Tem O Pelo」
サルサの人気シンガーRuben Bladesの名曲「Pedro Navaja」のカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介したサルサ名盤Willie Colon & Ruben Blades『Siembra』(1978年)に収録されています。オリジナルの格好良さをそのまま受け継いだ好カヴァーに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Mqnr1S6i_84
「Jubiaba」
カリプソ・レジェンドLord Kitchenerのカヴァー。本作らしいカリビアンなエッセンスを楽しめる1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=0dDnoN6cp8c
「Anjo Daniel」
「Coracao Vicoso」と並ぶ僕のお気に入り。Geronimoのジェントルな歌い回しとカリビアン・メロウな雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=8GkAzzTfCmA
「Salve As Folhas」
Maria Bethaniaがアルバム『Memoria Da Pele』(1989年)でカヴァーした楽曲です。カリビアン×レゲエなサウンドがサイコーです。
https://www.youtube.com/watch?v=AvnnX6YMe5Y
「Papel De Arroz」
リアルタイムで繰り返し聴いていた哀愁メロウ。何ともいえないセンチメンタル・ムードがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=VFCfRTNYj_0
「Oxossi」
ハチロク・ビートによるバイーア産ワールド・ミュージックらしい1曲に仕上がっています。
「Porto Do Sonho」
ロッキン・ギターも鳴り響く、ミクスチャー・サウンドが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=a_BREOXRiDw
「Elonie」
アルバムの余韻を楽しむエピローグ的な小曲。
ご興味がある方は、当時のバイーア音楽のコンピ『Tempo De Bahia』(1989年)もチェックを!
『Tempo De Bahia』(1989年)