発表年:2018年
ez的ジャンル:サウスロンドン系新世代ジャズ
気分は... :悪魔が来りて笛を吹く?
新作アルバムから、サウスロンドン注目の音楽クルー/音楽レーベル22aのリーダーTenderloniousことEd Cawthorneの単独名義の初アルバムTenderlonious『Shakedown Featuring The 22archestra』です。
TenderloniousことEd Cawthorneは、22aのリーダーとして、ソロ名義や自身のグループRuby Rushton名義で作品をリリースしてきました。
2ndアルバム『Children Of Nu』が日本でも話題となっているReginald Omas Mamode W、本作にも参加しているYussef DayesとのユニットYussef Kamaalが話題となったKamaal Williams(22aではHenry Wu名義で作品をリリース)などが注目されるに従い、彼らが属する音楽クルー22aおよびリーダーのTenderloniousへの関心も高まりました。
直近の22a作品でいえば、Reginald Omas Mamode W、Mo Kolours、Jeen Bassという22aの名物三兄弟の従兄であるJames 'Creole' Thomasの初アルバム『Omas Sextet』もインパクト大でしたね。
そんなグッド・タイミングでリリースされたのが、リーダーTenderloniousの単独名義の初アルバム『Shakedown Featuring The 22archestra』です。
プロデュースはTenderlonious自身。
レコーディングにはTenderlonious(fl、syn)に加え、The 22archestraとして、Ruby RushtonのメンバーFergus Ireland(b)、Yussef Kamaalでお馴染みのYussef Dayes (ds)、Reginald Omas Mamode W(per)、
Jeen Bassa(per)、Konrad(per)、Hamish Balfour(key)の6名が参加しています。
多様な音楽性を内包する音楽クルーというイメージのある22aですが、本作はTenderloniousを中心に22aの面々のジャズ・ミュージシャンとしての側面に触れることができます。22aメンバーで、こんなに本格的なジャズ演奏ができるんだ!というのが僕が最初に聴いて印象です。
大きく括れば、サウスロンドンの新世代ジャズ作品ですが、ファンク、Hip-Hop、アフロ、ブラジルなどのエッセンスも取り込んだ22aらしい多様性を持つサウンドを楽しめます。
楽曲はすべてTenderlonious & The 22archestraのオリジナルです。
ジャズを中心としたサウスロンドンの音が気になる方はぜひチェックを!
全曲紹介しときやす。
「Expansions」
コズミック・ジャズ×ブラジリアン・フュージョンなオープニング。22aの面々にジャズ・ミュージシャンとしてのベースがしっかりあることを実感できます。
https://www.youtube.com/watch?v=8NJ6KaopRts
「Yussef's Groove」
シングルにもなりました。タイトルの通り、Yussef Kamaalのドラミングが牽引します。Yussef、Fergus Ireland、Hamish Balfourのエキサイティングなアンサンブルが実にいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=enMVDdvdf88
「Togo」
22aらしいアフロ・トライバルなフィーリングを楽しめます。同じように土着的な22a作品、James 'Creole' Thomas『Omas Sextet』に比較すると、洗練されていますが。
「SV Interlude」
タイトルのSVとは故J Dillaを擁したHip-HopユニットSlum Villageのことです。Hip-Hopを当たり前に通過してきた新世代ミュージシャンらしいジャズ・グルーヴを楽しめます。
「The Shakedown」
アルバムに先駆けて、昨年シングル・リリースしていた楽曲。覚醒的な漆黒のグルーヴ、謎めいたキーボードをバックに、Tenderloniousのフルートが妖しく響きます。
https://www.youtube.com/watch?v=p67PDUDPovw
「Maria」
22a流ブラジリアン・フュージョンといった雰囲気のエキサイティングな演奏です。ブラジリアン・フュージョンにサウスロンドンの息吹が吹き込まれている感じがいいですね。
「You Decide」
サウスロンドンらしいエッジの効いたビートと、オーセンティックなジャズ・フィーリングのバランスが絶妙です。
「SV Disco」
Slum Villageをタイトルに冠した2曲目。TenderloniousのSlum Village、J Dillaへのリスペクトを感じずにはいられません。モロにJ Dillaビートやディスコという訳ではなく、70年代クロスオーヴァー/ジャズ・ファンク的グルーヴの演奏を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=EpHSSQhrkvM
「Red Sky At Night」
コズミックなシンセ、キーボードのイントロに続き、Yussef Dayesの推進力のあるドラムが牽引し、そのビートにシンクロするようにTenderloniousが軽やかに舞います。USの今ジャズ好きの人も気に入る演奏なのでは?
「Jolie」
国内盤ボーナス・トラック。メロウ・エレピの響きが心地好いリラックスした演奏を楽しめます。
22a関連の他作品もチェックを!
Ruby Rushton『Two For Joy』(2015年)
Ruby Rushton『Trudi's Songbook: Volume One』(2017年)
Ruby Rushton『Trudi's Songbook: Volume Two』(2017年)
Reginald Omas Mamode W『Children Of Nu』(2018年)
James 'Creole' Thomas 『Omas Sextet』(2018年)