発表年:1972年
ez的ジャンル:ネイティヴ・アメリカン系スワンプ・ロック
気分は... :ウルル!
スワンプ・ロックを代表するギタリストJesse Ed Davisの2ndアルバム『Ululu』(1972年)です。
コマンチ族の父とキオワ族の母を持つネイティヴ・アメリカンのギタリストJesse Ed Davis(1944-1988年)の紹介は、1stアルバム『Jesse Davis』(1970年)に続き2回目となります。
『Ululu』(1972年)は既にエントリー済みだと思い込んでいたのですが、少し前に紹介したLeon Russell『Leon Russell And The Shelter People』(1971年)の記事を書いている時に、未紹介であることに気づき、今回取り上げることにしました。
本作『Ululu』(1972年)は、Jesse Davisの代表作であり、スワンプ・ロック名盤の誉れが高い1枚です。
プロデュースはJesse DavisとAlbhy Galuten。
レコーディングにはJesse Davis(g、vo)以下、Donald "Duck" Dunn(b)、Jim Keltner(ds)、Dr. John(Mac Rebennack)(p、org)、Leon Russell(p)、 Arnold Rosenthal(b)、Stan Szeleste(p)、Albhy Galuten(p)、Billy Rich(b)、Larry Knechtel(org)、The Charles Chalmers Singers*(back vo)、Merry Clayton(back vo)、Clydie King(back vo)、Vanetta Fields(back vo)、Chuck Kirkpatrick(back vo)といったミュージシャンが参加しています。
決して派手さのあるアルバムではありませんが、聴き重ねるほどに味のあるスワンプ・サウンドに魅了されるはずです。
アルバムはオリジナルとカヴァーが半々。カヴァーではTaj Mahalとの共作曲のセルフ・カヴァー「Farther On Down The Road (You Will Accompany Me)」、George Harrisonの「Sue Me, Sue You Blues」、The Bandの「Strawberry Wine」、Leon Russellの「Alcatraz」に注目です。
オリジナルでは土臭い重厚なグルーヴを楽しめる「Red Dirt Boogie, Brother」、Leon Russellのピアノが先導するバラード「My Captain」、演奏する喜びが伝わってくるスワンピー「Make A Joyful Noise」あたりがおススメです。
秋の夜長に似合うスワンプ作品なのでは?
全曲紹介しときやす。
「Red Dirt Boogie, Brother」
Jesse Davis作。ダークなアーシー・サウンドのオープニング。本作らしい土臭く重厚なグルーヴを楽しめます。格好良いギター・ソロが良いのは勿論のこと、ぶっきらぼうなJesseのヴォーカルにも惹かれます。
https://www.youtube.com/watch?v=gjODwM-lj2M
「White Line Fever」
Merle Haggard作。オリジナルはMerle Haggard & The Strangers『Okie From Muskogee』(1969年)に収録されています。ソウルフルな女性コーラス隊も加わり、全体的に軽快なノリのスワンプ・サウンドを楽しめます。Jesseのギター・ソロも実に雰囲気があります。
https://www.youtube.com/watch?v=jRjBtxSqzKU
「Farther On Down The Road (You Will Accompany Me)」
Jesse Davis/Taj Mahal作。Jesseも参加したTaj Mahal『Giant Step/De Ole Folks At Home』(1969年)収録曲のセルフ・カヴァー。Taj Mahalは『Music Keeps Me Together』(1975年)でも再演しています。ここではホーン隊も加わったビターなアーシー・サウンドがいい味出しています。
「Sue Me, Sue You Blues」
George Harrison作品を取り上げています。George本人のヴァージョンは『Living In The Material World』(1973年)に収録されています。味のあるギター・ソロも堪能できる激シブなスワンピー・ブルースに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=7_iJKjJj6wo
「My Captain」
Jesse Davis作。Leon Russellのピアノが先導するアーシーなバラード。Leon Russell好きの人も気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=yc48-Df_i-E
「Ululu」
Jesse Davis作。タイトル曲はJesse流ラブソング。アーシーな中にもメロウな味わいがあります。Jesseのヘタウマ・ヴォーカルがリアルな感じでいいです。
https://www.youtube.com/watch?v=UIOy0sq9is4
「Oh! Susannah」
日本人もお馴染みの歌曲「おおスザンナ」(Stephen Foster作)をカヴァー。「おおスザンナ」をスワンプ・ロックに変貌させる手腕はお見事!
https://www.youtube.com/watch?v=jRjBtxSqzKU
「Strawberry Wine」
The Band作品(Levon Helm/Robbie Robertson作)をカヴァー。The Bandのオリジナルは『Stage Fright』(1970年)に収録されています。さり気ないですが、テンポを落としたユルい雰囲気のアーシー・サウンドがモロに僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=-PaXBlPb0qg
「Make A Joyful Noise」
Jesse Davis作。タイトルの通り、演奏することの喜びが伝わってくるスワンプ・チューン。緩急のアクセントも心憎いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=R1sZhP1_pQo
「Alcatraz」
ラストはLeon Russellのカヴァー。オリジナルは少し前に紹介した『Leon Russell And The Shelter People』(1971年)に収録されています。Eric Claptonのギターが炸裂するDerek & The Dominos的な演奏が印象的であったLeonのオリジナルと比較すると地味ですが、抑えたトーンの「Alcatraz」を楽しめます。
Jesse Ed Davisの他作品もチェックを!
『Jesse Davis』(1970年)
『Keep Me Comin'』(1973年)