発表年:2018年
ez的ジャンル:ドイツ産カリビアン・ファンク
気分は... :スティール・ドラムでHip-Hop!
新作アルバムからドイツのカリビアン・ファンク・バンドBacao Rhythm & Steel Bandの2ndアルバム『The Serpent's Mout』です。
ドイツの現行ファンク・バンドThe Mighty Mocambosのメンバーらが結成したカリビアン・ファンク・バンドBacao Rhythm & Steel Bandの紹介は、1stアルバム『55』(2016年)に続き2回目となります。
スティール・ドラムを使ったカリビアン・ファンクを特長としつつ、The Mighty Mocambosの流れを汲むファンクネスや、この世代らしいHip-Hopのエッセンスを取り込んでいるのが、このバンドの魅力ですね。
本作では、Bjorn Wagner(Hank Dettweiler)(steel drums、g、syn、clavinet、theremin、glockenspiel)、Ben Greenslade-Stanton(tb)、Sebastian Drescher(tp)、Sascha Weise(ds)、Victor Kohn(b)というThe Mighty Mocambosのメンバーに加え、Lucas Kochbeck(ds、per)、Paul Elliott(per)、Josh Kaiser(b)、Tim Grunwald(b)、Bernhard Hummer(bs、as)、Philipp Puschel(tp)がメンバーとしてクレジットされています。
それ以外にShawn Lee(ds、b、per)、Guillaume La Cahain(ds)、Simon Gussek(ds)、Guillaume Meteiner(mini moog)といったミュージシャンが参加しています。
プロデュースはBjorn Wagner。Steffen Wagnerが共同プロデュースを務めています。
前作『55』(2016年)では、50 Cent「P.I.M.P.」、Jay Dee(J Dilla)「Rico Suave Bossa Nova」というHip-Hopカヴァー2曲の印象が鮮烈でした。
本作でもDr. Dre「XXPlosive」、Mobb Deep「The Learning (Burn)」、Gang Starr「All For The Cash」、Amerie「1Thing」、Mary J. Blige「I Love You」といったHip-Hop/R&Bカヴァーが充実しています。
それ以外にJackson 5「It's Great To Be Here」、人気TVドラマ『Miami Vice』挿入歌であったJan Hammer「Crockett Theme」のカヴァーも収録されています。
「Bushfire」、「Hoola Hoop」、「Bocas Del Dragon」あたりのオリジナルもおススメです。
クールで先進的なカリビアン・ファンクは、今の僕の嗜好にピッタリな1枚です。
全曲紹介しときやす。
「XXPlosive」
Dr. Dreのカヴァー。オリジナルはアルバム『2001』(1999年)に収録されています。オリジナルの雰囲気をスティール・ドラムを中心としたカリビアン・サウンドで見事に再現しています。このバンドらしいHip-Hop経由のカリビアン・ファンクを満喫できるオープニングです。
https://www.youtube.com/watch?v=knFi5LcJpqs
「Touchdown」
The Mighty Mocambosに連なるファンクネスの効いたカリビアン・ファンク。それでもカリビアンならではの開放感は保たれているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=g6-QuQ0vuMU
「Burn」
Mobb Deep「The Learning (Burn)」のカヴァー。オリジナルはアルバム『Infamy』(2001年)に収録されています。オリジナルの持つ少しダークでハードコアな雰囲気を失わずにカリビアン・ファンクと成立させているのがサイコーです。
https://www.youtube.com/watch?v=v8LYxcLvbOQ
「Real Hot」
前作にもあったレゲエ調のアプローチです。ダビーでクールなカリビアン・レゲエはレゲエ/ダブ好きの人も気に入るはず!
https://www.youtube.com/watch?v=i0ARfCUQID8
「Hoola Hoop」
格好良さでいえば、アルバム随一のカリビアン・ファンク。躍動するファンクネスはThe Mighty Mocambos好きの人であれば気に入るはずです!
https://www.youtube.com/watch?v=fEPLU9AFMPQ
「Crockett Theme」
Jan Hammerが音楽を手掛けた人気TVドラマ『Miami Vice』挿入歌をカヴァー。このバンドらしいクールなカリビアン・サウンドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=3eexerBbFms
「1Thing」
Amerie、2005年のヒット曲をカヴァー。オリジナルはアルバム『Infamy』(2001年)に収録されています。この曲自体、このバンドのカリビアン・ファンクにハマりそうだと思いましたが、そのイメージ通り、見事にハマっています。Amerieのオリジナルが好きであった人は、きっと気に入るはず!
https://www.youtube.com/watch?v=oAvIJuEqjHE
「Great To Be Here」
Jackson 5「It's Great To Be Here」をカヴァー。オリジナルは『Maybe Tomorrow』(1971年)に収録されています。この曲もこのバンドやThe Mighty Mocambos向きですね。その期待を裏切らないキレのあるカリビアン・ファンクを披露してくれます。
「Bocas Del Dragon」
Hip-Hop世代ならではの先鋭的ビートとスティール・ドラムを中心とした伝統的カリビアン・サウンドが見事に調和しています。
https://www.youtube.com/watch?v=4U1e-0VbtpU
「All For The Cash」
Gang Starrのカヴァー。カリビアン・テイストの中にもDJ Premierのセンスを吸収している感じがいいです。
https://www.youtube.com/watch?v=LDULQ7jXcC8
「Maracas Bay Boogie」
カリビアン・サウンドの中にアブストラクトなビートを違和感なく織り交ぜているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=T1YkJIz_ofw
「Bushfire」
Bacao Rhythm & Steel BandとThe Mighty Mocambosが合体したかのような推進力のあるカリビアン・ファンクを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=ThBp3O-Tq2M
「I Love You」
Mary J. Bligeのカヴァー。オリジナルは『My Life』(1994年)に収録されています。哀愁モードの名曲をヒップ・ホップ・ソウル調のカリビアン・サウンドで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=N20LIAXk3oc
「The Serpent's Mouth」
タイトル曲は確信犯的なノスタルジック・ムードの演奏で締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=N8fISF-iCYA
未聴の方は1stアルバム『55』(2016年)もチェックを!
『55』(2016年)
The Mighty Mocambosの作品もチェックを!
Gizelle Smith & The Mighty Mocambos『This Is Gizelle Smith & The Mighty Mocambos』(2009年)
The Mighty Mocambos『The Future Is Here』(2011年)
The Mighty Mocambos『Showdown』(2015年)