発表年:1989年
ez的ジャンル:N.Y.産R&B/NJS
気分は... :Smooth×Groove=Smoove
今回は80年代のR&Bシーンを牽引していたユニットの1つ、Full Forceの代表作『Smoove』(1989年)です。
僕の思い入れでいけば、とっくに紹介してしかるべきグループですが、ブログ開設13年目でようやく初登場となりました。
Full Forceは1976年、N.Y.ブルックリンで結成されたR&Bグループ/プロダクション・チーム。
メンバーはB-Fine(ds、prog)、Paul Anthony(vo)、Bow-Legged Lou(vo)というGeorge3兄弟と、その従兄達であるShy Shy (b)、Curt-T-T(g)、Baby Gee(key)の6名。
UTFO、Lisa Lisa & Cult Jamのプロデュースで名を上げ、その後『Full Force』(1985年)を皮切りに、『Full Force Get Busy 1 Time!』(1986年)、『Guess Who's Comin' to the Crib?』(1987年)、『Smoove』(1989年)といった自身のアルバムをリリースしていきました。
80年代をリアルタイムで聴いていた人にとっては、チャート・アクション以上に80年代後半のR&Bシーンを牽引していたユニットという印象が強いですね。きっと、プロデューサー・ユニットとしても目立っていたからだと思います。
前述のUTFO、Lisa Lisa & Cult Jam以外にもDoctor Ice、Cheryl "Pepsii" Riley、strong>Samantha Fox、Force M.D.'s、Ex-Girlfriend等のプロデュースを手掛けました。James Brown『I'm Real』(1988年)も印象に残りましたね。
そんなFull Forceの絶頂期を切り取ったアルバムが本作『Smoove』(1989年)です。
シングルになった「Ain't My Type Of Hype」をはじめ、R&B、NJS、ヒップ・ホップ、ハウス等当時の流行の音をぶち込んだダンス・チューンが魅力のアルバムです。
その一方で、ソウル名曲のメドレー・カヴァー「4-U (Full Force's Mellow Medley)」、シングルにもなった「Friends B-4 Lovers」といったメロウな楽曲に惹かれるファンも多いのでは?
リアルタイムで聴いていない人が聴くと、ビミョーな部分もあるかもしれませんが、1989年という時代の音の魅力を見事に収めたR&B名盤だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Don't Waste My Time」
James Brown「It's a New Day」のフレーズと共に始まるNJSなダンサブル・チューン。R&BとHip-Hopが違和感なく融合したFull Forceらしいグルーヴを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=aS3hyUPmud4
「Ain't My Type Of Hype」
シングルにもなった人気曲。サンプリングを存分に駆使したFull Forceワールド全開のダンス・クラシック。Cheryl Lynn「Got to Be Real」をはじめ、Sly & The Family Stone「Sing a Simple Song」、Dyke & the Blazers「Let a Woman Be a Woman - Let a Man Be a Man」、Rufus Thomas「Do the Funky Penguin (Part 2)」、Marva Whitney「It's My Thing」 Run-D.M.C.「Peter Piper」、James Brown「Get Up, Get Into It, Get Involved 」、Commodores「The Assembly Line」 がサンプリング・ソースとして使われています。
https://www.youtube.com/watch?v=Hif5Uu6m_JY
「Friends B-4 Lovers」
彼らが手掛けた女性R&BグループEx-Girlfriendをフィーチャー。この曲もシングルになりました。彼らのメロウな魅力を満喫できるメロディアスなミディアム・グルーヴ。「4-U (Full Force's Mellow Medley)」とセットで当時繰り返し聴いていた記憶があります。
https://www.youtube.com/watch?v=tHsqUV6OH3Q
「All I Wanna Do」
彼らが手掛けた女性シンガーSamantha Foxをフィーチャー。ハウス調のダンサブル・チューンです。R&BとHip-Hopとハウスの距離が近かったこの時代らしいサウンドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=0yT4vnd9GSs
「4-U (Full Force's Mellow Medley)」
Smokey Robinson & The Miracles「Ooh Baby Baby」、The Delfonics「La La Means I Love You」、The Moments「Love On A Two Way Street」 、Marvin Gaye「Distant Lover」というソウルの名バラード4曲のメドレー・カヴァー。この曲を本作のハイライトに挙げる人も多いスウィートなグッド・カヴァーです。僕も当時ウォークマンで何度もリピートして聴いていました。
https://www.youtube.com/watch?v=kWbv6i5uJpI
「In Like With You」
UTFOのメンバーであったDoctor Iceをフィーチャー。Full Forceらしいグルーヴですが、他の曲と比較すると目立たないかも?
https://www.youtube.com/watch?v=8gp_gYbPZNY
「It's Been A Long Time」
イケイケなNJS調アッパー・チューン。この曲も当時何度もリピートして聴いていました。前のめりなハネハネ感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=LXPfyJP_Lgw
「Kiss Those Lips」
「4-U (Full Force's Mellow Medley)」の流れを汲むスウィートなソウル・バラードを(当時の)R&Bサウンドにアップデートさせて聴かせてくれます。。
https://www.youtube.com/watch?v=g9YJRw02fr4
「Smoove」
タイトル曲はオールド・スクールHip-Hopを1989年仕様R&Bにアップデートさせたようなダンサブル・チューン。Sade「Smooth Operator」 、Public Enemy「Night of the Living Baseheads」をサンプリングしています。Dr. Buzzard's Original Savannah Band「Sunshower」風のカワイイ・コーラスもいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=fO1m_tEE544
「Make Love To My Mind」
オーセンティックなバラード。どこまでもスウィートな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=MgZt0f7f054
「That's How I'm Livin'」
KC & The Sunshine Band「That's The Way (I Like It)」ネタを用いたダンサブル・チューン。ヒップ・ハウスなエッセンスも取り込んでいるのが1989年らしいですね。
「The Man Upstairs」
Lisa Lisa(Lisa Lisa & Cult Jam)をフィーチャー。ラストはソウル・バラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=l0AsLZ0cl14
Full Forceの他作品もチェックを!
『Full Force』(1985年)
『Full Force Get Busy 1 Time!』(1986年)
『Guess Who's Comin' to the Crib?』(1987年)
『Don't Sleep』(1992年)
『Sugar On Top』(1995年)
Full Forceプロデュース作品の過去記事もご参照下さい。
Cheryl "Pepsii" Riley『Me, Myself & I』(1988年)
Cheryl "Pepsii" Riley『Chapters』(1991年)
Doctor Ice『The Mic Stalker』(1989年)
Ex-Girlfriend『X Marks the Spot』(1991年)