発表年:2018年
ez的ジャンル:西海岸Hip-Hop/R&B
気分は... :ノリに乗っている男!
今回は今最も旬な西海岸Hip-Hop/R&BアーティストAnderson .Paakの最新作『Oxnard』です。
1986年生まれのL.A.を拠点に活動する男性R&Bシンガー/ラッパー/プロデューサー/ドラマーAnderson .Paakについて、当ブログで紹介したのは以下の3枚。
『Venice』(2014年)
『Malibu』(2016年)
NxWorries『Yes Lawd!』(2016年)
西海岸Hip-Hopシーンの大御所Dr. Dreが健在ぶりを示した大ヒット・アルバム『Compton』(2015年)で大きくフィーチャリングされたことをきっかけに、ソロ・アルバム『Malibu』(2016年)と期待のHip-HopプロデューサーKnxwledgeとタッグを組んだNxWorries『Yes Lawd!』(2016年)という2枚のアルバムで、チャート・アクション以上のインパクトを音楽シーンに与え、一躍、西海岸Hip-Hop/R&Bのトップ・アーティストとなったAnderson .Paak。
そして、大きな期待の中でドロップされた最新作が『Oxnard』です。
Dr. DreのAftermathからのリリースであり、Dr. Dreがエグゼクティヴ・プロデューサーを務め、全曲のミックスも担当しています。
プロデューサーにはAnderson .Paak自身に加え、9th Wonder、Matthew "Callum Connor" Marisola、Jose Rios、Dem Jointz、Jairus "J.Mo" Mozee、Chris Daveといった『Malibu』のプロデューサー陣、さらにはDr. Dre、Mell、Q-Tip、元Chicのベーシストだった故Bernard Edwardsの息子Focus 、Sa-Ra Creative PartnersのOm'Mas Keith、次世代ピアニスト/ビートメイカーKiefer、J.LBS、King Michael Coy、Ron Avantが起用されています。
アルバムにはKendrick Lamar、Dr. Dre、Snoop Dogg、Q-Tip、J. Cole、Kadhja Bonet、Norelle、Cocoa Sarai、Pusha T、The Last Artful, Dodgrがフィーチャリングされています。
また、ボーナス・トラックにはボーナス・トラックにはThundercat、BJ The Chicago Kidといった注目ミュージシャンも参加しています。
それ以外にKRS-One、Busta Rhymesといった大物や、SiR、Eliza、Jason "Bunchy" Johnson、Kadhja Bonet、Ruby Velle、Blakk Soul、Rich Harrison、Sly Pyper、Thurz等のヴォーカリスト、FredWreck、Vicky Nguyen、Kelsey Gonzalez等のミュージシャンが参加しています。
前作『Malibu』(2016年)同様に、参加プロデューサー/ミュージシャンの顔ぶれだけでも楽しめますね。
中身の方は、『Malibu』と比較して、よりHip-Hop色が強くなった印象を受けます。その意味では、NxWorries『Yes Lawd!』(2016年)の流れで聴いた方がしっくりくるかもしれませんね。
Kendrick Lamarをフィーチャーした先行シングル「Tints」、L.A.の女性SSW Kadhja Bonetをフィーチャーしたオープニング「The Chase」、当ブログでも紹介したL.A.の新進ピアニスト/ビートメイカーKieferもプロデュースで関与した「Smile/Petty」、Dr. Dreをフィーチャーした「Mansa Musa」、Chris Daveプロデュース、J. Coleをフィーチャーした「Trippy」、Q-Tipをフィーチャーし、故Mac Millerを追悼した「Cheers」、BJ The Chicago Kidをフィーチャーしたボートラ「Sweet Chick」など聴き所満載です。
ノリに乗っているアーティストの勢いを感じる1枚です。
全曲紹介しときやす。
「The Chase」
Anderson .Paak/Jairus "J.Mo" Mozeeプロデュース。L.A.の女性SSW Kadhja Bonetをフィーチャー。甘く妖しげな雰囲気でスタートし、フルートが先導する不穏なトラックに乗って.Paakがリリックを紡ぎます。終盤はメロディアスな展開に・・・
https://www.youtube.com/watch?v=vO8oQZ553vI
「Headlow」
Jose Rios/King Michael Coy/Ron Avantプロデュース。新鋭の女性R&BシンガーNorelleをフィーチャー。Paakのラップ・パートとNorelleとのデュエットによるメロディアスなヴォーカル・パートのバランスが良い仕上がり。Vicky Nguyenもキーボードで参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=XhCH313M6u0
「Tints」
Anderson .Paak/Om'Mas Keith(Sa-Ra Creative Partners)プロデュース。Kendrick Lamarをフィーチャーしたアルバムからの1stシングル。『Malibu』でプロデュースを手掛けたPomoもプログラミングで参加しています。Paakらしいメロディ全開のキャッチーなディスコ・ブギー。一夜にしてスターとなってしまった葛藤が歌われます。
https://www.youtube.com/watch?v=u749Hi0gDVM
「Who R U?」
Dr. Dre/Mellプロデュース。NxWorriesに通じるHip-Hopチューン。アブストラクトなトラックに乗ったラッパーPaakらしいフロウを満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=ynuxMCSZn3g
「6 Summers」
Anderson .Paak/Mellプロデュース。ダーク・トーンのトラックに乗って、Paak節全開のフロウが炸裂します。後半の哀愁漂うメロディアスな展開もいいですね。Cocoa Sarai、Jason "Bunchy" Johnson、KRS-One、Kadhja Bonetというバック・ヴォーカル陣にも注目!一瞬の登場ですがKRS-Oneが存在感を示しています。M.O.P.「Ante Up (Robbing-Hoodz Theory)」 、Gil Scott-Heron「Revolution Will Not Be Televised」のフレーズが引用されています。
https://www.youtube.com/watch?v=MJtI1JfhRlc
「Saviers Road」
9th Wonderプロデュース。Julie Coker「Ere Yon」をサンプリング。少しトライバルなテイストで始まるトラックに乗って、淡々とPaakがリリックを紡ぎます。
https://www.youtube.com/watch?v=5m6IFPXC12Y
「Smile/Petty」
King Michael Coy/>Matthew "Callum Connor" Marisola/Kieferプロデュース。今年Stones Throw Recordsからリリースされた2ndアルバム『Happysad』で絶賛されたL.A.のピアニスト/ビートメイカーKieferのプロデュースに注目です。Sonyae Eliseの女性コーラスを伴い、Kieferらしい浮遊するトラックが印象的な「Smile」から、Jose Riosのギターが不気味に響くHip-Hopトラックの「Petty」へ展開します。バック・コーラスには僕が注目している男性R&BアーティストSiRも参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=UmCYo_XE2Ow
「Mansa Musa」
Dr. Dre/Mellプロデュース。さらにはFocusらもプロダクションに関与しています。Dr. Dreとブルックリン出身の新鋭女性アーティストCocoa Saraiをフィーチャー。エグゼクティヴ・プロデューサーとして全体を指揮するDre大先生がラッパーとしても貫禄を示してくれます。TVのコメディ・ショー『Chappelle's Show』からサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=Q47k0CO3vNs
「Brother's Keeper」
Anderson .Paak/Jairus "J.Mo" Mozeeプロデュース。Pusha Tをフィーチャー。Kadhja Bonet、Norelleがバック・コーラスを務めます。哀愁ソウル・モードのトラックをバックに、PaakとPusha Tが切々とリリックを重ねていきます。終盤の展開も印象的ですね。ここではドラマーAnderson .Paakにも注目です。
https://www.youtube.com/watch?v=rou0QwATvTw
「Anywhere」
J.LBSプロデュース。Snoop DoggとL.A.の新進女性ラッパー/シンガーThe Last Artful, Dodgrをフィーチャー。抑えたトーンのトラックと淡々としたフロウがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=KswoqrE_OH4
「Trippy」
Chris Daveプロデュース。J. Coleをフィーチャー。TVのコメディ・ショー『The Tonight Show Starring Johnny Carson』のサンプリングからスタート。メロディアスなトラックですが、J. Coleの歯切れのいいラップが効いています。
https://www.youtube.com/watch?v=WZdghXqUFjw
「Cheers」
Dr. Dre、Focus、Q-Tipプロデュース。Q-Tipをフィーチャー。Qチャン好きの僕には嬉しい1曲。今年若くして逝去した故Mac Millerを追悼する歌詞も聴こえてきます。ジャズ・フィーリングのトラックは僕好み!
https://www.youtube.com/watch?v=tFOwfV6FPUU
「Sweet Chick」
CDボーナス・トラックその1。Mellプロデュース。BJ The Chicago Kidをフィーチャー。タイトルの通り、BJ The Chicago Kidのスウィート・ソウル調ファルセット・ヴォーカルがいい感じのHip-Hopチューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Vnp5urarx54
「Left To Right」
CDボーナス・トラックその2。Dr. Dre、J. LBS、Mellプロデュース。Thundercatがベースで参加。ヴォーカルにはBusta Rhymesも参加。Thundercatのベースが牽引する軽快なテンポのトラックに乗って、Paak独特のフロウが冴えわたります。
https://www.youtube.com/watch?v=r4LpfTWltu0
Anderson .Paak関連の過去記事もご参照下さい。
『Venice』(2014年)
『Malibu』(2016年)
NxWorries『Yes Lawd!』(2016年)