発表年:2018年
ez的ジャンル:敏腕ドラマー系UKジャズ
気分は... :今年最後のセレクトは・・・
明日は年末恒例『ezが選ぶ2018年の10枚』をエントリー予定なので、通常エントリーは今回が2018年最後となります。
セレクトしたのは新作アルバムからUKの敏腕ドラマーRichard Spavenの最新作Richard Spaven『Real Time』です。そのうち紹介しようと思っていたら、あっという間に年末に・・・何とか年内にエントリーできて良かったです。
UKの敏腕ドラマーRichard Spavenの紹介は、1stソロ・アルバム『Whole Other』(2014年)、2ndアルバム『The Self』(2017年)に続き、3回目となります。
また、オランダ人プロデューサー/キーボード奏者Vincent Helbersらと組んだクロスオーヴァー・ユニットSeravinceのアルバム『Hear To See』(2012年)も当ブログで紹介済みです。
2ndアルバム『The Self』(2017年)は、現行ジャズとUKクラブジャズを行き来するUKの敏腕ドラマーらしい逸品であり、昨年の大晦日のエントリー『ezが選ぶ2017年の10枚』でもセレクトした愛聴盤でした。
その『The Self』から短いインターバルでリリースされたのが3rdアルバムとなる本作『Real Time』です。
まず本作で注目すべきは、オーストラリア、ブリスベン出身で現在はロンドンを拠点とする男性シンガー・ソングライターJordan Rakeiが4曲でのフィーチャリングも含めて全9曲中7曲に参加している点です。
『Cloak』(2016年)、『Wallflower』(2017年)という2枚で次世代ネオソウル/R&B方面のみならず現行ジャズ方面からも注目される存在となったJordan Rakei。
これまでも『Cloak』(2016年)にSpavenが参加し、そのお返しとして『The Self』(2017年)にRakeiが参加するという交流を深めていた2人ですが、新作ではその2人のコラボ色がより強調される形となりました。
プロデュースはRichard Spaven自身。ドイツ出身の若手クリエイターFrederic Robinsonとの共同プロデュースが4曲があります。また、『The Self』(2017年)にも参加していたオランダ出身のビートメイカーJameszooとの共同プロデュース曲もあります。
アルバムにはThe Cinematic Orchestraのギタリストとしても知られ、Spavenが全面プロデュースしたアルバム『City』(2015年)も好評であったStuart McCallum(g)をはじめ、Robin Mullarkey (b)、Oli Rockberger(key)といったミュージシャンが参加しています。
どうしても現行ジャズの文脈で語られてしまいやすいミュージシャンですが、本人はジャンルの枠に囚われない音楽性を嗜好していることが本作を聴けばよく分かります。その意味で、同じくジャンルに囚われない音世界を嗜好するJordan Rakeiは絶好のコラボ・パートナーだったのかもしれませんね。
また、Jordan Rakeiと同じ位、本作に貢献しているのがStuart McCallumであり、彼のプレイにも注目です。
Busta Rhymesのカヴァー「Show Me What You Got」、Andy Bey作品のカヴァー「Celestial Blues」以外はSpavenと参加メンバーによるオリジナルです。
全曲紹介しときやす。
「Spin」
Jordan Rakeiをフィーチャーしたオープニング。PVでも分かるように、敏腕ドラマーSpavenと注目の次世代ネオソウルSSW Jordan Rakeiとのコラボらしい1曲に仕上がっています。まずはSpavenらしい研ぎ澄まされたドラミングを楽しみましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=mjK2r1sAktw
「Helsinki Trio」
Jordan Rakei不参加曲。ギター、キーボード、ベース、ドラムによるクールなインストを披露してくれます。哀愁モードのクールな演奏にSpavenの美学を感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=VAfnru5nqzk
「Faded」
Jordan Rakeiをフィーチャー。Jordan Rakeiとのコラボらしいメロディアスな哀愁モードの次世代ネオソウルに仕上がっています。Jordan Rakeiファンはニンマリの仕上がりなのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=hOQwUSLymbc
「Rescue」
SpavenとStuart McCallumという現行ジャズとクラブミュージックの両方に精通した2人のソングライティングらしい哀愁グルーヴに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=kkQNBFlgXtc
「Show Me What You Got」
Jay Dee(J Dilla)がプロデュースしたBusta Rhymes作品をカヴァー。オリジナルはアルバム『Anarchy』(2000年)に収録されています。Jordan Rakeiをフィーチャー。Jay Dee(J Dilla)名曲のビートをSpavenが叩き出すというだけでも興奮しますね。Rakeiのヴォーカル、Stuart McCallumも含めて、抑えたトーンのクールなカヴァーに仕上げるあたりがSpavenのセンスの良さですかね。
https://www.youtube.com/watch?v=tMoyB5mjYPs
「Control」
Jordan Rakei不参加曲。Stuart McCallumのギター・プレイを楽しむ1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=wm-7FcZHuAQ
「Celestial Blues」
ジャズ・シンガー/ピアニストAndy Beyの作品をカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介したGary Bartz NTU Troop『Harlem Bush Music - Uhuru』(1971年)に収録されています。また、作者Andy Beyヴァージョンは『Experience And Judgment』(1974年)に収録されています。Jameszooとの共同プロデュースであり、Jordan RakeiとJameszooをフィーチャー。エレクトロニカと次世代ジャズを融合させた本ヴァージョンはコズミックなAndy Beyヴァージョンの雰囲気に近いかもしれませんね。Stuart McCallumのギターが実にいい雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=gbeOMatEfmI
「Stay Close」
ドラム、ギター、キーボードのみのサウンドにRakeiのコーラスが加わる哀愁チューン。サウンド・スケープ的な魅力もあります。
https://www.youtube.com/watch?v=AG8vkyG-bLk
「Loved One」
ラストはRakeiのヴォーカルに呼応してジワジワと高揚してくるビューティフル・チューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=4HH9lvfzghs
ご興味がある方はRichard Spaven関連の他作品もチェックを!
Seravince『Hear To See』(2012年)
『Whole Other』(2014年)
『The Self』(2017年)
未聴の方はJordan Rakeiのアルバムもチェックを!
Jordan Rakei『Cloak』(2016年)
Jordan Rakei『Wallflower』(2017年)