発表年:2018年
ez的ジャンル:ブラジル産ジャジーHip-Hop
気分は... :コレが僕の聴きたいHip-Hop!
新作アルバムからブラジルのHip-HopユニットMental Abstrato、8年ぶりの2ndアルバム『Uzoma』です。
MCのOmig One、トラックメイカーCalmao TranquisらによるブラジルHip-HopユニットMental Abstratoノウハウ紹介は、デビュー・アルバム『Pure Essence』(2010年)に続き、2回目となります。
当時"ブラジルのJazz Liberatorz"と称され、ジャズ・テイスト満載であったデビュー・アルバム『Pure Essence』(2010年)は、『ezが選ぶ2010年の10枚』にもセレクトしたお気に入りの1枚でした。
それから8年という長いインターバルを置き、遂に2ndアルバム『Uzoma』がリリースされました。
本作にけるMental AbstratoのメンバーはOmig One(prog、per)、Calmao Tranquis(beats、prog)、Guimas Santos(b)という3名。『Pure Essence』(2010年)リリース直後にGuimas Santosが加入し、3名体制になった模様です。
それ以外にRodrigo Brandao(spoken word)、Erica Dee(vo)、Claudya(vo)、Ozay Moore(Othello)(rap)、Daniel Amorin(b)、Dj Vitonez(scratch)、Dj Soares(scratch、collages)、Thiago Duar(g)、Marcelo Castilha(el-p)、Fernando TRZ(key、syn)、Mauricio Fleury(org)、Kiko de Sousa(key)、Beto Montag(vibe、effects)、Andre Juarez(vibe)、Lucas Cirilo(harmonica)、Bocato(tb)、Gil Duarte(tb、vo)、Marcelo Monteiro(bs、fl)、Caue Vieira(fl)、Richard Firmino(tb、tp)、Sintia Piccin(ts)といったミュージシャンが参加しています。
プロデュースはMental Abstrato自身。
アルバムは前作『Pure Essence』(2010年)と同様に、ブラジル産ならではのジャジーHip-Hopを堪能できます。ヴォーカル、ラップ入りトラックとインスト・トラックが半々ですが、どちらも充実の内容となっています。
個人的にはA Tribe Called Quest(ATCQ)、J Dilla絡みの「Mr. Cal」、「Suco de Acerola (Tribute to J Dilla)」、「Noite Vazia」という3曲に歓喜しました。
それ以外にも、USネオソウル調の「For You」、Ozay Moore(Othello)をフィーチャーしたジャジー&メロウ「Blue Skies」、ブラジル音楽好きの人も楽しめる「Samambaia Rainha」や「O Mar」、センス抜群のジャジー・サウンドを楽しめる「James Bongo」、「Menino Angoleiro」、「Afroonirico」の3トラック、激シブのオープニング「Khamisi」など聴き所満載です。
もう少し早く聴いていたら、『ezが選ぶ2018年の10枚』にもセレクトしていたかも?
全曲紹介しときやす。
「Khamisi」
Rodrigo Brandaoをフィーチャー。土着的なグルーヴとノスタルジックなホーン・アンサンブルはブラジル産ジャジーHip-Hopならではの味わいなのでは?Rodrigo Brandaoのスポークン・ワードもシブくてたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=QlAfuoo5Lhk
「O Mar」
Gil Duarteをフィーチャー。パーカッシヴ・ビートとGuimas Santosのベースの絡みが格好良いトラックとGil Duarteの憂いを帯びたヴォーカルの組み合わせがグッド!Hip-Hopファンに限らず、ブラジル音楽好きの人であれば気に入りそうな1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=0oYZfqV_2EU
「Mr. Cal」
A Tribe Called Quest『The Low End Theory』収録のHip-Hopクラシック「Jazz (We've Got)」を引用したジャジー・トラック。トラック全体の音色が『The Low End Theory』ライクなのが最高です。ATCQ好きの人は思わずニンマリしてしまうはず!
https://www.youtube.com/watch?v=0oYZfqV_2EU
「For You」
Erica Deeをフィーチャー。キュートかつレイジーなErica Deeのヴォーカルとジャジー&メロウ・トラックの組み合わせは、USジャジーHip-Hop/ネオソウル好きにフィットするのでは!
https://www.youtube.com/watch?v=ZKK-Qt8zWD4
「Suco de Acerola (Tribute to J Dilla)」
サブタイトルにあるように故J Dillaに捧げられた1曲。Q-Tip、Ali Shaheed Muhammad、Jay Dee (J Dilla)によるプロデュース・チームThe Ummahのサウンド・プロダクションの完成形A Tribe Called Quest『The Love Movement』収録のHip-Hopクラシック「Find A Way」を引用したインスト。Hip-Hopというよりクラブジャズ仕様のアッパーなブラジリアン・グルーヴといった仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=OndL61x9dG4
「Afroonirico」
彼らのジャズ・センスを満喫できるダーク・トーンのジャジー・インスト。Thiago Duarのギターが盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=14d8kHKSKYA
「Samambaia Rainha」
ブラジルのベテラン女性シンガーClaudyaをフィーチャー。哀愁モードのブラジリアン・グルーヴ。新しいものと伝統的なものを違和感なく融合させるあたりがブラジル人アーティストらしいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=cdP5kxja4K8
「Noite Vazia」
Bocatoのトロンボーンをフィーチャー。Jay Dee (J Dilla)「Rico Suave Bossa Nova」でもサンプリングされたMilton Banana Trio「Cidade Vazia」を引用したジャジー&メロウかつブラジリアンなインスト・チューン。メロウ・エレピとヴァイヴのコンビネーションがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=_AeQ9vMKMrs
「Blue Skies」
僕の大好きなUSラッパー、Ozay Moore(Othello)をフィーチャー。ジャジーHip-Hopファン、Othelloファンには間違いないジャジー&メロウに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=hrFVK6yecNE
「Down」
Guizadoのトランペット・ソロをフィーチャーしたインスト。哀愁トランペットが引き立つジャジー・トラックです。
https://www.youtube.com/watch?v=tPlxYF5Oa0U
「James Bongo」
James Bondをもじったタイトルそのままにスパイ・ジャズ調のスリリングなサウンドを楽しめます。僕の密かなお気に入り。
https://www.youtube.com/watch?v=avtrdj2LVgY
「Menino Angoleiro」
ラストもセンス抜群のジャジー・サウンドを満喫できるインスト・トラックで締め括ってくれます。サード・ワールドならではのジャジー・サウンドって感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=mueTnBfOTwg
未聴の方は、1st『Pure Essence』(2010年)もぜひチェックを!
『Pure Essence』(2010年)