2019年04月23日

Alice Coltrane『Transcendence』

ヒンドゥー語ヴォーカルによる黒人霊歌/ゴスペル的アプローチ☆Alice Coltrane『Transcendence』
Transcendence]
発表年:1977年
ez的ジャンル:インド音楽×黒人霊歌/ゴスペル的ストリングス・ジャズ
気分は... :梵我一如・・・

70年代ジャズからAlice Coltrane『Transcendence』(1977年)です。

John Coltraneの妻としても知られるハープ&鍵盤奏者Alice Coltrane(1937-2007年)ついて、当ブログで紹介した作品は以下の3枚。

 『Journey In Satchidananda』(1970年)
 『World Galaxy』(1972年)
 『Eternity』(1976年)

本作『Transcendence』(1977年)は、『Eternity』(1976年)、『Radha-Krsna Nama Sankirtana』(1976年)に続くWarner Bros.第3弾アルバムです。

アルバムは大きく、The Satori Quartetによるストリングスを配した前半(オリジナルLPのA面)と、インド音楽×黒人霊歌/ゴスペルというアプローチの後半(オリジナルLPのB面)に分かれます。特に、ヒンドゥー語ヴォーカルで黒人霊歌/ゴスペル的なコール&レスポンスを試みる後半のアプローチは実にユニークです。

プロデュースはEd Michel

レコーディング・メンバーはAlice Coltrane(harp、org、el-p、tambura、wind Chimes)以下、Murray Adler(violin)、Jay Rosen(violin)、Pamela Goldsmith(viola)、Fred Seykora(cello)というThe Satori Quartetの面々、Jagajivana Dasa(mridangam)、Mukunda Dasa(mridangam)、Purushattama Hickson(vo)、Brahmajyoti Lee(vo)、Saieshwar Roberts(vo)、Shankari Adams(vo)等です。

The Satori Quartetを従えた美しい前半もいいですが、ヒンドゥー語ヴォーカルによる黒人霊歌/ゴスペル的アプローチという唯一無二の音世界を展開する後半が圧巻だと思います。

アフロ・アメリカンとしてのアイデンティティと、東洋思想的なスピリチュアル・ワールドの融合がどのようなケミストリーを起こすのか、ぜひお確かめください!

全曲紹介しときやす。

「Radhe-Shyam」
Alice Coltrane作。AliceのハープとThe Satori Quartetによる崇高で幻想的でコズミックな演奏です。聴いているだけで瞑想気分になれる悟りモードの演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=RaZ0TtWCwOE

「Vrindavana Sanchara」
Alice Coltrane作。Aliceがハープ、タンブラ等すべての楽器を演奏している彼女らしいインド的スピリチュアル・ジャズ。Aliceならではの宇宙が広がります。
https://www.youtube.com/watch?v=SM1JLW6ptUw

「Transcendence」
Alice Coltrane作。タイトル曲は再びThe Satori Quartetを従えた演奏です。ハープをはじめとする弦の響きの美しさを追求した室内音楽×スピリチュアル・ジャズな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=oDcjFDVHZuk

ここまでがオリジナルLPのA面です。

「Sivaya」
トラディショナルのカヴァー。オルガン、ムリダンガム(インドの太鼓)、ハンドクラップ、ヒンドゥー語ヴォーカルが織り成す黒人霊歌/ゴスペル的アプローチの演奏です。アフロ・アメリカンとしてのアイデンティティと東洋思想からの影響をAliceらしく統合させた音世界です。
https://www.youtube.com/watch?v=L_TrSeYR4oM

Abstract Tribe Unique「These Lions」のサンプリング・ソースとなっています。
Abstract Tribe Unique「These Lions」
 https://www.youtube.com/watch?v=pnLj0kvfC68

「Ghana Nila」
トラディショナルのカヴァー。パーカッシヴなオルガン・グルーヴにのって、ヒンドゥー語ヴォーカルによるコール&レスポンスが展開されます。ノリはゴスペルなんですが、神秘的なインド・テイストも感じられます。
https://www.youtube.com/watch?v=-mj5hetFS3A

「Bhaja Govindam」
トラディショナルのカヴァー。インド音楽と黒人霊歌/ゴスペルの融合という意味で、黒人教会にいるのにヒンドゥー教の祈りを捧げているような不思議な音世界を体験できます。
https://www.youtube.com/watch?v=9J34p_Mr3eU

「Sri Nrsimha」
トラディショナルのカヴァー。ヒンドゥー語のコール&レスポンスにも慣れてきて、このインド的でソウルフルなスピリチュアル・ワールドが妙に耳に馴染んできます。
https://www.youtube.com/watch?v=10Cj7s-ouwc

他のAlice Coltrane作品もチェックを!

『A Monastic Trio』(1968年)
ア・モナスティック・トリオ(紙ジャケット仕様)

『Huntington Ashram Monastery』(1969年)
ハンティントン・アシュラム・モナストリー(紙ジャケット仕様)

『Journey In Satchidananda』(1970年)
Journey in Satchidananda

『Ptah, the El Daoud』(1970年)
Ptah, the El Daoud

『World Galaxy』(1972年)
ワールド・ギャラクシー~至上の愛

『Universal Consciousness』(1972年)
Universal Consciousness

『Lord of Lords』(1973年)
ロード・オブ・ローズ(紙ジャケット仕様)

『Illuminations 』(1974年) ※Carlos Santanaとのコラボ作
Illuminations

『The Elements』(1974年) ※Joe Hendersonとの共演
Elements

『Eternity』(1976年)
永遠なる愛

『Radha-Krisna Nama Sankirtana』(1976年)
Radha-Krsna Nama Sankirtana

『Transfiguration』(1978年)
Transfiguration
posted by ez at 03:05| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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