発表年:2018年
ez的ジャンル:円熟味ネオ・ボッサ
気分は... :進化を止めないベテラン
新作からベテランのブラジル人ギタリスト/シンガー・ソングライターCelso Fonsecaの最新アルバム『Turning Point』です。
2018年発売のようですが、国内に流通するようになったのが最近なので2019年新作扱いにさせていただきます。
現在のブラジル音楽シーンを代表するギタリスト/シンガー/コンポーザー/プロデューサーCelso Fonsecaに関して、当ブログではこれまで7枚のアルバムを紹介済みです。
『Paradiso』(1997年)
※Celso Fonseca & Ronaldo Bastos名義
『Juventude/Slow Motion Bossa Nova』(2001年)
※Celso Fonseca & Ronaldo Bastos名義
『Natural』(2003年)
『Rive Gauche Rio』(2005年)
『Pagina Central』(2009年)
※Marcos Valle & Celso Fonseca名義
『No Meu Filme』(2011年)
『Like Nice』(2015年)
前作『Like Nice』(2015年)から約3年ぶりとなる新作ですが、相変わらず円熟味のあるボッサ・ワールドで魅了してくれます。
この人の場合、元々枯れた味わいが魅力なので、年齢を重ねるほどに深みが増す感じがいいですね。
プロデュースはCelso Fonseca本人。
レコーディングにはCelso Fonseca以外に、Junior Castanheira、Dudu Trentin、Rricardo Mota等が参加しています。また、パナマ生まれの人気女性シンガーErika Enderがゲスト参加しています。
Junior Castanheira、Dudu TrentinはFonsecaと共にアレンジでも貢献しています。
アコースティック・サウンドとエレクトロニカ/プログラミングの組み合わせが目立つ本作ですが、エレクトロニカ/プログラミングがアコースティックの美しさを邪魔せず、逆に引き立てている感じがいいですね。相変わらず引き算の美学を感じるネオ・ボッサ・ワールドです。
ベテランならではの円熟のネオ・ボッサを満喫できますが、新たなスタイルを模索する新境地にも出会えるのがいいですね。以前からアコースティック・サウンドとエレクトロニカ/プログラミングの組み合わせの妙を心得ている人ですが、ますます磨きがかかった感があります。
Coldplayのカヴァー「Sparks」以外はCelso Fonsecaのオリジナルです(共作含む)。
他のCelso Fonseca同様、長く愛聴できそうな魅力を持ったネオ・ボッサ作品です。
全曲紹介しときやす。
「Mais Perto De Mim」
Celso Fonsecaらしい引き算の美学を感じるオープニング。淡々としながらもジワジワ味わいが増してきます。バンドネオンの音色がいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=MTiGY5Y-zL0
「Like a Bossa Nova」
Fonsecaの素敵なギターと囁きヴォーカルの魅力を満喫できるロマンティック・ボッサ。聴いているだけでバカンス・モードの寛いだ気分になれます。
https://www.youtube.com/watch?v=JWQ4TxLe000
「When You Came」
美しいアコースティック・サウンドとエレクトロニカのアクセントを巧みに融合させたビューティフル・ソング。実にコンテンポラリーなセンスに溢れています。
https://www.youtube.com/watch?v=BLYkBszkklA
「Vem Pra Cuidar De Mim」
ベテランならではの味わい深さを感じる哀愁ボッサ。この美しい枯れ具合はCelso Fonsecaならではですね。
https://www.youtube.com/watch?v=VK444_F9foQ
「Desliga a Luz」
パナマ生まれの女性シンガーErika Enderとのデュエット。オトナの色気に溢れたアーバンなボッサ・デュエットに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=bZxnAJYXrJk
「Inutilidade」
ジェントルなFonsecaのヴォーカルがよく似合う1曲。派手さはありませんが、コンテンポラリーなサウンド・センスも冴えています。
https://www.youtube.com/watch?v=hOxgDfGqhX8
「Turning Point」
タイトル曲はエレクトロニカ/プログラミングを前面に打ち出したダンサブル・チューン。本作において最も冒険している曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=0-9BePxsGac
「Sparks」
UKの世界的ロック・バンドColdplayのデビュー・アルバム『Parachutes』収録曲をカヴァー(Guy Berryman/Jonny Buckland/Will Champion/Chris Martin作)。Coldplayの音世界を尊重しつつ、Fonsecaらしい味わいに仕上げる手腕は流石です。
https://www.youtube.com/watch?v=nfSjoB5LtK8
「O Que Move Essa Cancao」
エレクトロニカなエッセンスを上手く取り入れたネオ・ボッサ。昔からそうですが、エレクトロニカを取り入れるセンスがこの人は抜群ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=b_gxvL7H5Ok
「Quando Tudo Parece Quieto」
哀愁メロディを、寂しげなジェントル・ヴォーカルで歌う絶品ボッサ。余韻も含めて噛みしめて味わいたい気分です。
https://www.youtube.com/watch?v=bBT0xu3hG2Q
「Delicadeza」
ラストはエレクトロニカのエッセンスを巧みに駆使したクール・サウンドが印象的なミディアム・グルーヴで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=VzUe9YZfVig
Celso Fonsecaの過去記事もご参照下さい。
『Paradiso』(1997年)
『Juventude/Slow Motion Bossa Nova』(2001年)
『Natural』(2003年)
『Rive Gauche Rio』(2005年)
『Pagina Central』(2009年)
『No Meu Filme』(2011年)
『Like Nice』(2015年)