2019年05月14日

Miles Davis『In Concert』

『On The Corner』の世界を実践したライヴ録音☆Miles Davis『In Concert』
イン・コンサート
発表年:1973年
ez的ジャンル:エレクトリック・マイルス
気分は... :未完の美!

今回はジャズ界の帝王Miles Davisの作品から、エレクトリック・マイルス時代<の1枚、『In Concert』(1973年)です。

ジャズ界の帝王Miles Davisに関して、これまで当ブログで紹介した作品は以下の18枚。

 『Bag's Groove』(1954年)
 『'Round About Midnight』(1955、56年)
 『Cookin'』(1956年)
 『Miles Ahead』(1957年)
 『Milestones』(1958年)
 『Someday My Prince Will Come』(1961年)
 『E.S.P.』(1965年)
 『Miles Smiles』(1966年)
 『Nefertiti』(1967年)
 『Filles De Kilimanjaro』(1968年)
 『In A Silent Way』(1969年)
 『Live Evil』(1970年)
 『On The Corner』(1972年)
 『Get Up With It』(1970、72、73、74年)
 『Dark Magus』(1974年)
 『Agharta』(1975年)
 『The Man With The Horn』(1981年)
 『Tutu』(1986年)

本作『In Concert』(1973年)は、1972年9月29日のN.Y.Philharmonic Hallでのライヴ・コンサートを録音したものです。

録音時期はファンクネスを前面に打ち出した話題作『On The Corner』(1972年)の3カ月後であり、同作の音世界を実践しようとしたライブになっています。そのあたりは『On The Corner』と同じCorky McCoyがジャケを手掛けている点にも反映されています。

レコーディング・メンバーはMiles Davis(tp)以下、Carlos Garnett(ss、ts)、Cedric Lawson(el-p、syn)、Reggie Lucas(el-g)、Khalil Balakrishna(el-g)、Michael Henderson(el-b)、Al Foster(ds)、Badal Roy(tablas)、James Mtume(per)。

プロデュースはTeo Macero

『On The Corner』のダークサイドとでも呼びたくなる暗黒のグルーヴが印象的な演奏が続きます。その意味でMilesと共に、ドラムのAl Foster、パーカッションのJames Mtumeが目立っています。

また、Teo Maceroの見事な編集スキルで完成度を高めた『On The Corner』に対して、本作には未完成な魅力があります。賛否両論あると思いますが、予測不能のグダグダ感が面白いと思います。

全編通しで聴くには、それなりの忍耐が必要ですが、エレクトリック・マイルスというブラックホールが、いろいろなものを飲み込んでいくような異様な音世界を楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

Disc1

「Rated X」
スタジオ・ヴァージョンは後に『Get Up With It』収録。得体の知れない暗黒グルーヴが会場をジワジワと浸食していきます。そんな暗黒グルーヴの中でMilesのエレクトリック・トランペットが不気味に響き渡ります。未完ならではのケミストリーがあって面白いのでは?アフロビートやインド音楽のエッセンスも僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=7ylLFQVsWzU 
※途中で終わっています

「Honky Tonk」
この曲もスタジオ・ヴァージョンは『Get Up With It』収録。これがMiles流ホンキー・トンクなのでしょうか(笑)。アヴァンギャルドなギター・プレイに続き、ブルージーな演奏が展開されます。

「Theme from Jack Johnson」
『A Tribute to Jack Johnson』をモチーフにした演奏。Al Fosterの叩き出すビートに先導され、阿波踊り的グルーヴが展開されます♪エライヤッチャ〜エライヤッチャ〜♪Milesのトランペットも阿波踊り的グルーヴによくフィットしています。最初は奇異に聴こえた阿波踊り的グルーヴが何度も聴くうちにクセになります。

「Black Satin/The Theme」
スタジオ・ヴァージョンは『On The Corner』収録。『On The Corner』のような完成されたグルーヴになっていませんが、このグダグダな感じが未完ならではの楽しさなのでは?それでも後半の演奏はかなり格好良いと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=4hqM0Zu1WL8

Disc2

「Ife」
スタジオ・ヴァージョンは後に『Big Fun』収録。約28分という長尺の演奏。前半は本作らしい暗黒グルーヴで押し通します。扇動的なパーカッシヴ感が僕好み。不穏なCedric Lawsonな鍵盤や、地を這うMichael Hendersonのベースも目立ちます。グダグダの中盤を経て、後半は一気にギアを上げますが、再びスローダウンし、コズミックな雰囲気の中でMilesのトランペットが妖しく響きます。

「Right Off/The Theme」
スタジオ・ヴァージョンは『A Tribute to Jack Johnson』収録。Al Foster、Mtumeが繰り出すリズムの先導され、覚醒的でコズミックな数奇な音世界にトリップします。そんな中でMilesのエレクトリック・トランペットが不気味な存在感を示します。Cedric Lawsonの鍵盤も効いていますね。

Youtubeに曲単位の音源少ないので、フルアルバム音源を紹介しておきます。
『In Concert (Full Album) 』
https://www.youtube.com/watch?v=tCen_K1W1w0

Miles Davisの過去記事もご参照下さい。

『Bag's Groove』(1954年)
バグズ・グルーヴ

『'Round About Midnight』(1955、56年)
'Round About Midnight

『Cookin'』(1956年)
クッキン

『Miles Ahead』(1957年)
Miles Ahead

『Milestones』(1958年)
マイルストーンズ+3

『Someday My Prince Will Come』(1961年)
Someday My Prince Will Come

『E.S.P.』(1965年)
E.S.P.

『Miles Smiles』(1966年)
マイルス・スマイルズ

『Nefertiti』(1967年)
ネフェルティティ + 4

『Filles De Kilimanjaro』(1968年)
キリマンジャロの娘

『In A Silent Way』(1969年)
In a Silent Way (Dlx)

『Live Evil』(1970年)
ライヴ・イヴル

『On The Corner』(1972年)
Blu-spec CD オン・ザ・コーナー

『Get Up With It』(1970、72、73、74年)
ゲット・アップ・ウィズ・イット

『Dark Magus』(1974年)
ダーク・メイガス

『Agharta』(1975年)
Agharta

『The Man With The Horn』(1981年)
The Man with the Horn

『Tutu』(1986年)
TUTU<SHM-CD>
posted by ez at 09:11| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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