発表年:2006年
ez的ジャンル:UKレディ・ネオソウル
気分は... :ありのままの私・・・
今回はUKネオソウル作品からTerri Walker『I Am』(2006年)です。
1979年ロンドン生まれの女性R&BシンガーTerri Walkerの紹介は、1stソロ・アルバム『Untitled』(2003年)、2ndアルバム『L.O.V.E.』(2005年)に続き3回目となります。
3rdアルバムとなる本作『I Am』(2006年)は、大手レーベルMercuryを離れ、Dekkor Recordsからのリリースとなりました。
おそらく、より自分のやりたい音楽をやるための移籍ではなかったかと思われます。おそらく2nd『L.O.V.E.』(2005年)は、Mercury側の意向でプロデューサー陣が決定され、必ずしも彼女の本意ではない作品だったのかもしれません。商業的に成功していれば、それでも折り合いがついたのでしょうが、不発に終わり、TerriとMercuryの間に溝が出来てしまったのかもしれません。
そのあたりは本作のメイン・プロデューサーに1st『Untitled』(2003年)を手掛けていたSammy J(Samantha Powell)を起用している点に表れていると思います。
Sammy Jに加え、James Yarde(サックス奏者Jason Yardeの兄弟)も『Untitled』以来のプロデューサー復帰を果たしています。
アルバム全体としては、力強さとしなやかさのバランスがUKレディ・ネオソウルに仕上がっています。
シングル・カットもされた「Alright With Me」をはじめ、力感のあるタイトル曲「I Am」、ナチュラルなミディアム・グルーヴ「No Matter Whatever」、TyをフィーチャーしたHip-Hopトラック「Addicted」、メロウなネオソウル「Forever And A Day」、感動的なラブ・バラード「I Don't Care」、グッド・フィーリングのメロウ・グルーヴ「Outta My System」、生演奏が心地好いメロウ・ミディアム「Imperative」といったあたりが僕のおススメです。
楽曲はすべてTerri Walker、Sammy Jらによるオリジナルです。
彼女の信じる道を貫いた良質のUKレディ・ネオソウル作品だと思います。
全曲紹介しときやす。
「I Am」
Sammy Jプロデュース。タイトル曲は力感のあるミディアム・グルーヴ。♪これがありのままの私♪と堂々と歌い、本作へのTerriの決意を感じるオープニングとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=HM8W0VxXmy8
「No Matter Whatever」
Sammy Jプロデュース。ナチュラルな雰囲気の中にも力強さを感じるメロウなミディアム・グルーヴ。Sammy Jのサウンド・プロダクションとTerriの相性の良さを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=dPDmCoqQM9Q
「Addicted」
James Yardeプロデュース。UKラッパーTyをフィーチャー。少しアブストラクトなHip-Hopトラックに乗って、Terriのヴォーカルがメロウに浮遊します。後半のTyのラップもトラックにジャスト・フィットしています。
「Forever And A Day」
Sammy Jプロデュース。さり気なさが魅力のメロウなネオソウル。♪四葉のクローバーを見つけたような幸せ♪というハッピーな気分が伝わってきます。
「Alright With Me」
Sammy Jプロデュース。シングル・カットもされたソウルフルなメロウ・ミディアム。70年代レディ・ソウルの系譜を2006年らしく聴かせてくれる感じがいいですね。本作らしい凛としたヴォーカルを披露してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=4Ca3VCjcJug
「The Truth」
Sammy Jプロデュース。切々とした思いが伝わってくるラブ・バラードをソウルフルに歌い上げます。
「I Don't Care」
Sammy J/Terri Walkerプロデュース。感動的なラブ・バラード。Sammy Jのピアノをバックに、愛する人への切なる思いを情感たっぷりに歌い上げます。Sammy J/Terri Walkerによるソングライティングの勝利を感じる1曲。
「Side By Side」
Alex Da Kidプロデュース。Rian Petersをフィーチャー。当時らしいディレイ気味のグルーヴに乗ったサイド・バイ・サイドの男女デュエットに仕上がっています。
「Outta My System」
Sammy Jプロデュース。僕好みのメロウ・グルーヴ。90年代R&Bグルーヴと2000年代ネオソウルを融合させたようなグッド・フィーリングがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=8ahuRmRJVRU
「Imperative」
James Yardeプロデュース。『Untitled』でもフィーチャリングされていたThe Wise Childrenをフィーチャー。人気ベーシストPino Palladino、James Yardeの兄弟であるサックス奏者Jason Yarde等も参加しています。派手さはありませんが、ホーン隊を含めた生演奏が心地好い素敵なメロウ・ミディアムに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Ke-hmQ3oVYQ
国内盤には「If That Was You」、「I Am (Terry Mastermix)」の2曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。
他のTerri Walker関連作品もチェックを!
Shanks & Bigfoot『Swings & Roundabouts』(2000年)
『Untitled』(2003年)
『L.O.V.E.』(2005年)
Lady『Lady』(2013年)