発表年:1973年
ez的ジャンル:前衛的MPB
気分は... :赤パンの前衛作品!
ブラジル音楽界の牽引者Caetano Velosoが1973年にリリースした問題作『Araca Azul』(1973年)です。
これまで当ブログで紹介したCaetano Veloso関連作品は以下の9枚。
『Tropicalia:Ou Panis Et Circencis』(1968年)
『Caetano Veloso』(1969年)
『Caetano Veloso』(1971年)
『Joia』(1975年)
『Qualquer Coisa』(1975年)
『Outras Palavras』(1981年)
『Cores, Nomes』(1982年)
『Caetano Veloso (1986)』(1986年)
『Caetano』(1987年)
本作『Araca Azul』(1973年)は、ロンドンでの亡命生活を終え、母国ブラジルに帰国したCaetanoが最初にレコーディングした作品であると同時に、ブラジルの音楽史上、最も返品の多かったレコードと言われている問題作です。
まず赤パン・ジャケがインパクトありますね。当ブログで以前に紹介したGal Costa『India』(1973年)も赤パン・ジャケということで、この2枚には兄妹アルバムというイメージがあります。中身は全然異なりますが・・・
Gal Costa『India』(1973年)
さて、『Araca Azul』(1973年)に話を戻すと、Caetanoのキャリアの中で最も前衛的な1枚であり、凡人には理解しづらい楽曲も含まれます。
結果として、アルバムのセールスは芳しくなく返品の山となった模様です。
個人的にも難解な内容で、頻繁に聴きたいとは思わない作品です。それでも、新しい試みにトライしようとするアーティストとしての姿勢は評価したいですね。その意味で、聴きやすいとは言えない前衛的アプローチをどれだけ楽しめるか聴き手を選ぶ1枚です。
プロデュースはCaetano Veloso自身。
Edith de Oliveira(vo)、Antonio Perna(p)、Lanny(g)、Luciano Oliveira(pandeiro)、Moacyr Albuquerque(b)、Tuse de Abreu(fl)、Tuti Moreno(per、ds、vibe)等のミュージシャンが参加しています。
難解なアルバムですが、ノスタルジックな味わいの「Tu Me Acostumbraste」、トロピカリズモ感覚のサイケデリック・ロック「De Cara/Eu Quero Essa Mulher」、Beatles「Strawberry Fields Forever」からインスパイアされた大作「Sugar Cane Fields Forever」、ジェントルな「Julia/Moreno」、アシッドなタイトル曲「Araca Azul」あたりは比較的聴きやすいと思います。
とりあえず他のCaetano作品を10枚以上聴いてから聴くべき作品だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Viola, Meu Bem」
トラディショナルのカヴァーがオープニング。Edith de Oliveiraのヴォーカルと土着的リズムによる小曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=BA8exjwFnXo
「De Conversa/Cravo e Canela」
Caetano Veloso/Milton Nascimento/Ronaldo Bastos作。コンクリート・ポエムにトライした前衛的な1曲。途中、Milton Nascimento/Ronaldo Bastos作の「Cravo e Canela」が引用されています。凡人には理解不能かも?
https://www.youtube.com/watch?v=UP3Fg8PDyhw
「Tu Me Acostumbraste」
キューバ人コンポーザーFrank Dominguezの作品をカヴァー。ノスタルジックな味わいがいい感じの弾き語りです。
https://www.youtube.com/watch?v=5oild-nfMRw
「Gilberto Misterioso」
Caetano Veloso/Sousandrade(Joaquim de Sousa Andrade)作。デモテープを聴いているような1曲。未完成の前衛音楽といった感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=1bWyiXO8RwA
「De Palavra em Palavra」
Caetano Veloso作。「De Conversa/Cravo e Canela」と同じくコンクリート・ポエムにトライした前衛的な1曲。アヴァンギャルドな感性は伝わってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=jz4QD23DVpA
「De Cara/Eu Quero Essa Mulher」
Caetano Veloso/Monsueto/Lanny Gordin/Jose Batista作。トロピカリズモ感覚のサイケデリック・ロック。ある意味アルバムで一番キャッチーかも?
https://www.youtube.com/watch?v=XTdz4lQuSbo
「Sugar Cane Fields Forever」
Caetano Veloso/Sousandrade(Joaquim de Sousa Andrade)作。Edith de Oliveiraのヴォーカルをフィーチャーした10分超の大作。タイトルから想像できるように、Beatles「Strawberry Fields Forever」からインスパイアされた楽曲。土着的リズム、オーケストラ、アコギ&フルートによるボッサ・フォーキー、ロック等のエッセンスを融合させた意欲作。
https://www.youtube.com/watch?v=EVTWYANmCi8
「Julia/Moreno」
Caetano Veloso作。タイトルは自分の子供に名付ける名前の候補を歌った曲。結果的に本作のリリース前の1972年11月に長男Moreno Velosoが生まれました。まだ見ぬ子供たちへの愛情が込められたジェントルな1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=I2UQqyzwUsg
「Epico」
Caetano Veloso作。オーケストレーションと街角の音をコラージュした1曲。映画のサントラ風です。
https://www.youtube.com/watch?v=ylv626nMOl8
「Araca Azul」
Caetano Veloso作。ラストはアシッド感覚のフォーキー・チューンのタイトル曲で締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Nr0hrhEt9Yo
Caetano Velosoの過去記事もご参照下さい。
『Tropicalia:Ou Panis Et Circencis』(1968年)
『Caetano Veloso』(1969年)
『Caetano Veloso』(1971年)
『Joia』(1975年)
『Qualquer Coisa』(1975年)
『Outras Palavras』(1981年)
『Cores, Nomes』(1982年)
『Caetano Veloso (1986)』(1986年)
『Caetano』(1987年)