発表年:1993年
ez的ジャンル:The Whispers系双子R&Bデュオ
気分は... :完璧な試合展開!
今回はベテラン・ソウル・ヴォーカル・グループThe WhispersのScott兄弟がWalter & Scotty名義でリリースした『My Brother's Keeper』(1993年)です。
Walter & Scottyは、The Whispersの中心メンバーWallace Scott、Walter Scottという双子のScott兄弟によるユニット。
意外にも、当ブログでThe Whispersは未紹介なんですね。1枚位は紹介していると思い込んでいました。順序としては、The Whispers作品を紹介したうえで、Walter & Scottyを紹介すべきなのでしょうが・・・
僕の場合、The Whispersに特別思い入れがある訳ではないので、むしろWalter & Scotty名義の本作の方がフィットするのかもしれません。
Walter & Scotty名義では唯一のアルバムとなる『My Brother's Keeper』(1993年)は、Scott兄弟らしいシルキー&スウィートなヴォーカルと当時のR&Bサウンドのエッセンスが見事に調和した1枚に仕上がっています。
Nick Caldwell(The Whispers)、Grady Wilkens(The Whispersの音楽ディレクター)、L.A. Reid/Babyface、 PortraitのMichel Angelo Saulsberry/Phillip Johnson、Keni Burke、Al Johnson、Paul Minor、John Benton/Patrick Greene、Sean Bryant、Robert Brookins、Gary Taylorといった多彩なプロデューサーが起用されています。
これら多彩なプロデューサー陣が、それぞれのやり方でScott兄弟の魅力を巧みに引き出していると思います。
アルバムに先駆けて1991年にシングルとなった「I Want To Know Your Name」(The Intrudersのカヴァー)、L.A. Reid/Babyfaceプロデュースの美メロ・バラード「With All My Heart」、Keni Burkeプロデュース「Heaven」、ファルセットの映える「My Love」といったバラード系は安定・安心の仕上がりです。
その一方で90年代らしいサウンドのダンサブル・チューンも難なくこなしてしまうところがScott兄弟の実力です。ダンス系であれば、若手R&BグループPortraitのメンバーがプロデュースした「Move Your Body」と「Open Door」、Keni Burkeプロデュースの爽快メロウ「A Fool For You (Baby)」、Al Johnsonプロデュースのポップ・ソウル「Sticks And Stones」といった曲がおススメです。
バラード良し、ダンス系良しのバランス抜群の90年代R&B名盤だと思います。
応援するチームが、攻守のバランスのとれたゲーム展開で完勝したような気分になるアルバムですね。
全曲紹介しときやす。
「Move Your Body」
90年代好きにはお馴染みの男性R&BグループPortraitのMichel Angelo Saulsberry/Phillip Johnsonプロデュース。Portraitメンバー全員がバック・コーラスを務めます。若手R&BグループがR&Bグループの大先輩Scott兄弟を盛り立ています。このユニットらしさは正直感じませんが、純粋に格好良いダンサブル・チューンに仕上がっていると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=3PpGYMKErVk
「Dirty Dancin' (Slow Motion)」
John Benton/Patrick Greeneプロデュース。オーセンティックなバラードですが、このユニットらしいシルキー&スウィートな魅力に溢れています。
https://www.youtube.com/watch?v=HkShs17cuRQ
「Heaven」
Keni Burkeプロデュース。Keni Burkeと共にCharlie Singletonがソングライティングを手掛けています。アーバン・メロウなスロウ・チューン。まさに天国気分のスウィート・メロウです。
https://www.youtube.com/watch?v=u8Gp1z7dW3g
「Open Door」
再びPortraitのMichel Angelo Saulsberry/Phillip Johnsonプロデュース。90年代R&B好きならば気に入るであろう爽快ダンサブル・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=gcYG2i1bCWk
「My Love」
Sean Bryantプロデュース。円熟のファルセット・ヴォーカルが映えるメロウ・ミディアム。このユニットの魅力が滲み出てくる感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=hs9ls7np_BE
「I Know You're My Baby」
Robert Brookinsプロデュース。この時代らしいダンサブル・チューンですが、サウンド先行ではないヴォーカル重視のメロディアスな仕上がりはなかなかです。
https://www.youtube.com/watch?v=ubXFiFnoC40
「With All My Heart」
L.A. Reid/Babyfaceプロデュース。Babyface自身もバック・コーラスで参加しています。L.A. Reid/Babyfaceらしい美メロのミディアム・バラードがScott兄弟のヴォーカルと見事にフィットし、至極のメロウ・ワールドを届けてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=fwolUcVg0FI
「Sticks And Stones」
Al Johnson/Paul Minorプロデュース。ポップ・ソウルな味わいのミディアム・グルーヴ。好き/嫌いが分かれるかもしれませんが、90年代らしい雰囲気が好きですね。
https://www.youtube.com/watch?v=FKTF2b8Rp54
「Rest My Lips」
Gary Taylorプロデュース。オトナな哀愁バラードでアーバン・ナイトを演出してくれます。Gerald Albrightのサックスが盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=4rAs5CZ9wGA
「A Fool For You (Baby)」
Keni Burkeプロデュース。この曲もKeni BurkeとCharlie Singletonの共作です。僕好みの爽快メロウなダンサブル・チューン。Scott兄弟とKeni Burkeの相性は抜群ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=bE6v4sB1H6g
「I Want To Know Your Name」
The Intruders、1973年のR&Bヒットをカヴァー(Kenneth Gamble/Leon Huff作)。オリジナルは『Save the Children』(1973年)収録。アルバムに先駆けて1991年にシングル・リリースされました。90年代らしいコンテンポラリー感のあるスウィート・バラードに仕上がっています。Al Johnsonプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=6VbhKrRppEc
「Thank You (Falletin Me Be Mice Elf Agin)」
Grady Wilkens/Nick Caldwell/Paul Minorプロデュース。The WhispersファミリーのプロデュースでSly & The Family Stone、1969年の大ヒット曲をカヴァー(Sly Stone作)。時代を反映したNJSカヴァーは好き/嫌いがハッキリ分かれるかも?
https://www.youtube.com/watch?v=ey-jfgzqkIw
The Whispersの作品もそのうち紹介したいと思います。