発表年:2019年
ez的ジャンル:ロンドン最新ブラック・ミュージック
気分は... :却来の名人芸!
新作アルバムから長年ロンドンのクラブ・ミュージック/ブラック・ミュージックを牽引するDegoの最新作『Too Much』です。
4Heroでの活動を皮切りに、ロンドンの音楽シーンにインパクトを与えてきたDego(本名:Dennis McFarlane)に関して、当ブログで紹介したDego名義作品は以下の3枚。
『A Wha' Him Deh Pon?』(2011年)
『The More Things Stay The Same』(2015年)
Dego & Kaidi『A So We Gwarn』(2017年)
また、4Heroや関連プロジェクト/ユニットの以下の作品も紹介済みです。
4Hero『Parallel Universe』(1994年)
Tek 9『Simply』(1999年)
4Hero『Creating Patterns』(2001年)
Silhouette Brown『Silhouette Brown』(2004年)
4Hero『Play with the Changes』(2007年)
2000Black『A Next Set A Rockers』(2008年)
ソロ・アルバムとしては、『The More Things Stay The Same』(2015年)以来4年ぶりとなります。
自身が主宰する2000Blackからのリリースです。
プロデュースはDego自身。
アルバムにはSharlene Hector、Nadine Charles、Sarina Leah、Lady AlmaといったDego作品でお馴染みの女性シンガーをはじめ、Samii、Ivana Santilli、Obenewa Aboahといったシンガーがフィーチャリングされています。
また、Kaidi Tatham、Matt Lord、Mr. Mensah(Akwasi Mensah)といったDegoの盟友たちがレコーディングに参加しています。
これまでのDego作品の延長線上にあるアルバムであり、Degoファンならば楽しめる1枚です。
新たな刺激は少ないかもしれませんが、Degoならではのクロスオーヴァー・サウンドに磨きがかかっています。あえて尖らせずにマイルドに聴きやすくしている点に円熟を感じます。
数か月前に能の大成者、世阿弥が用いた「却来(きゃくらい)」という言葉を紹介しましたが、本作は「却来」的アプローチでDegoやウエスト・ロンドン初心者でも楽しめることを心掛けているように感じます。
※「却来(きゃくらい)」
元々は禅語の「却来(きゃらい)」。「高い段階に一度到達した後に、あえて低い位に立ち戻る」という意味であり、芸を究めた者が目利きの観客(上級者)しかわからない高位の芸ではなく、あえて目利かずの観客(初心者)でも理解しやすい低位の芸を披露するといったもの。
名人芸に達しつつあるDegoワールドを楽しみましょう!
全曲紹介しときやす。
「A Strong Move For Truth」
Nadine Charlesをフィーチャー。メロディアスでソフトリーなメロウ・ソウルがオープニング。穏やかな中にもDegoらしい感性が光ります。
https://www.youtube.com/watch?v=jt-8ar2coK8
「Good Morning」
新進シンガーSamiiをフィーチャー。爽快に疾走するダンサブル・チューン。クールな爽快感が魅力です。
「Remini Dream」
カナダ人白人女性R&BシンガーIvana Santilliをフィーチャー。Degoらしいビートを楽しめるクールなダンサブル・チューン。秋の夜長の儚い夢といった感じでしょうか・・・
「I Don't Wanna Know」
Obenewa Aboahをフィーチャー。Degoならではのジャジー&メロウ。穏やかな中にもDegoらしいスパイスを効かせているのがいいですね。
「Unknown Faults」
Degoらしいビート&シンセをコンパクトに楽しめるインスト。これぞウエスト・ロンドン。
「Life Can Be Unreal」
Sarina Leahをフィーチャー。キャッチーかつ穏やかなフューチャー・ソウル。円熟味を増したDegoワールドを満喫できます。
「Too Much」
タイトル曲はSharlene Hectorをフィーチャー。2分にも満たない曲ですが、淡々とした中にもメロウ&ドリーミーな雰囲気が醸し出されます。
「You Are Virgo」
「Come Of Age」
Dego、Mr. Mensah、Matt Lordが織り成すクールなインストが2曲続きます。さり気なく奥深いDegoワールドを楽しみましょう。
「Just Leave It」
お馴染みのUS女性シンガーLady Almaをフィーチャー。やはり彼女のソウルフル・ヴォーカルにはウエスト・ロンドン・サウンドが似合いますね。華のあるフューチャー・ソウルです。
「Numero 15」
浮遊するシンセ・サウンドとトライバル感のあるビートの組み合わせがグッドなインスト。
「Ogawa Okasan Said Just Play」
日本人には気になるタイトルのインスト。サウンド面でも琴の音色で日本を意識しています。
「A Where Pringle Deh?」
穏やかなドリーミー・サウンドが印象的なインスト。
「My Standards Are (Not) Too High」
本編ラストは約8分半の長尺インスト。カラフルなシンセが織り成すDego流ソウル・グルーヴ
「Forward Walk」
CDボーナス・トラック。すべての演奏をDego一人でこなしている軽やかなインスト。
Dego関連の過去記事もご参照ください。
『A Wha' Him Deh Pon?』(2011年)
『The More Things Stay The Same』(2015年)
Dego & Kaidi『A So We Gwarn』(2017年)
4Hero『Parallel Universe』(1994年)
Tek 9『Simply』(1999年)
4Hero『Creating Patterns』(2001年)
Silhouette Brown『Silhouette Brown』(2004年)
4Hero『Play with the Changes』(2007年)
2000Black『A Next Set A Rockers』(2008年)