発表年:1971年
ez的ジャンル:女性SSW系ブルーアイド・ソウル
気分は... :不完全の美学!
今回は偉大なな女性シンガー・ソングライターLaura Nyroがレディ・ソウル・グループLabelleを従えて制作した『Gonna Take A Miracle』(1971年)です。
女性シンガー・ソングライター・ブームの草分け的存在Laura Nyro(1947-1997年)について、これまで当ブログで紹介したのは以下の3枚。
『Eli And The Thirteenth Confession』(1968年)
『New York Tendaberry』(1969年)
『Smile』(1976年)
本作は3人組レディ・ソウル・グループLabelle(Patti LaBelle、Nona Hendryx、Sarah Dash)をバックに従えた50〜60年代ソウル/R&Bカヴァー集です。
プロデュースはGamble & Huff(Kenny Gamble/Leon Huff)。
レコーディングにはNorman Harris(g)、Roland Chambers(g)、Ronnie Baker(b)、Lenny Pakula(org)、Jim Helmer(ds)、Vincent Montana, Jr.(per)、Larry Washington(congas、bongos)、Nadia Mata(congas、bongos)といったミュージシャンが参加しています。
また、Bobby Martin、Lenny Pakula、Thom Bellがストリングス&ホーン・アレンジを手掛けています。
個人的には、これまで紹介した3枚のアルバムと比較して、必ずしも昔から好きなアルバムという訳ではありませんでした。
おそらく、Laura Nyroのヴォーカルの声質とLabelleのソウルフル・ヴォーカルのギャップに多少の違和感があったのかもしれません。
また、Martha & The Vandellasのカヴァーが3曲収録されていますが、Martha & The Vandellas好きの僕としては、オリジナル・ヴァージョンほどのパンチを感じなかったからかもしれません。
しかしながら、そんな印象にも変化が起き、本物のソウル・アーティストには及ばないものの、その憧れに素直にアプローチしたLaura Nyroの姿勢に好感が持てるようになりました。不完全の美学のようなものも感じます。
他の作品にはないLaura Nyroの世界を味わいましょう。
Labelleの素晴らしいコーラス・ワークもサイコーです。
全曲紹介しときやす。
「I Met Him on a Sunday」
The Shirellesのデビュー・シングルをカヴァー(Doris Jackson/Addie Harris McPherson/Beverly Lee/Shirley Alston Reeves作)。Labelleの面々との素晴らしいア・カペラ・コーラスで魅了します。
https://www.youtube.com/watch?v=lx5rP2vQFxA
The Shirelles「I Met Him on a Sunday」(1958年)
https://www.youtube.com/watch?v=Q0D_qkha5wU
HNNY「Sunday」のサンプリング・ソースとなっています。
HNNY「Sunday」
https://www.youtube.com/watch?v=VwLRFCAQi7E
「The Bells」
Marvin GayeがプロデュースしたThe Originalsのシングル・ヒットをカヴァー(Marvin Gaye/Anna Gordy Gaye/Iris Gordy/Elgie Stover作)。Laura Nyroのイメージにピッタリな甘く切ないソウル・バラードに仕上がっています。Labelleの好サポートも感動を盛り上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=XoBnGupHVHE
The Originals「The Bells」(1970年)
https://www.youtube.com/watch?v=RZ5ZWEKiEJk
Mr. Scruff「Do You Hear?」のサンプリング・ソースとなっています。
Mr. Scruff「Do You Hear?」
https://www.youtube.com/watch?v=H0ScSUNwEMQ
「Monkey Time/Dancing in the Street」
Major Lance「Monkey Time」(Curtis Mayfield作)と
Martha & The Vandellas「Dancing in the Street」(Marvin Gaye/Ivy Jo Hunter/William "Mickey" Stevenson作)というヒット曲メドレー。ダンサブルなバッキングを従えてLauraのヴォーカルも躍動します。LauraとLabelleの掛け合いがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=nyREgIqMCcU
Major Lance「Monkey Time」(1963年)
https://www.youtube.com/watch?v=V9jdPrME7Mw
Martha & The Vandellas「Dancing in the Street」(1964年)
https://www.youtube.com/watch?v=9KhbM2mqhCQ
「Desiree」
ドゥーワップ・グループThe ChartsのR&Bヒットをカヴァー(L.Z. Cooper/Danny Johnson作)。ここではLabelleのコーラスは控えめに、Lauraのしっとりとしたヴォーカルを満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=NcHMG8-J_RY
The Charts「Desiree」(1957年)
https://www.youtube.com/watch?v=VNOG_M3oBkc
「You've Really Got a Hold on Me」
Beatlesのカヴァーでもお馴染み、The Miraclesのヒット・シングルをカヴァー(Smokey Robinson作)。Labelleの雰囲気たっぷりのソウルフル・コーラスがLauraを盛り立てます。
https://www.youtube.com/watch?v=T9qdS9r1OF8
The Miracles「You've Really Got a Hold on Me」(1962年)
https://www.youtube.com/watch?v=DRd-bjFfjNc
「Spanish Harlem」
Ben E. Kingのヒット曲をカヴァー(Jerry Leiber/Phil Spector作)。ここではテンポを落としたミディアム・バラードで聴かせてくれます。Laura Nyroらしい味わいのカヴァーに仕上がっているのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=Ex6khdklB6E
Ben E. King「Spanish Harlem」(1960年)
https://www.youtube.com/watch?v=OGd6CdtOqEE
「Jimmy Mack」
Martha & The Vandellasのヒット曲カヴァーその2((Holland–Dozier–Holland作)。
Drapht「R.I.P J.R」のサンプリング・ソースとなっています。オリジナル・ヴァージョンを雰囲気を受け継いだ小気味よい仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=EK-XUJu46UQ
Martha & The Vandellas「Jimmy Mack」(1967年)
https://www.youtube.com/watch?v=obvSFWvgBhg
「The Wind」
ドゥーワップ・グループNolan Strong & The Diablosのシングル曲をカヴァー(Devora Brown/Bob Edwards/Nolan Strong作)。ピアノのみのバッキングでLauraが彼女らしい切ないヴォーカルを聴かせてくれるバラード。Lauraのヴォーカルを邪魔しないLabelleのコーラスのさじ加減も抜群です。
https://www.youtube.com/watch?v=EyhDf5Irmpc
Nolan Strong & The Diablos「The Wind」(1954年)
https://www.youtube.com/watch?v=bIVKaayaNaY
「Nowhere to Run」
Martha & The Vandellasのヒット曲カヴァーその3((Holland–Dozier–Holland作)。オリジナル・ヴァージョンを雰囲気を受け継いだ本作で一番ビートの効いた仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=Gse5H86xvFg
Martha & The Vandellas「Nowhere to Run」(1965年)
https://www.youtube.com/watch?v=RQRIOKvR2WM
「It's Gonna Take a Miracle」
The Royalettesのヒット曲をカヴァー(Teddy Randazzo/Bobby Weinstein/Lou Stallman作)。Deniece Williamsのカヴァー・ヒットでもお馴染みですね。個人的に大好きな曲なので、本ヴァージョンも大好きです。Laura Nyroのイメージや声質にフィットするナイス・セレクトだと思います。。
https://www.youtube.com/watch?v=5CoN9PyoU80
The Royalettes「It's Gonna Take a Miracle」(1965年)
https://www.youtube.com/watch?v=YlYIibIi3gY
Cevlade「Pain (Adosene Remix)」のサンプリング・ソースとなっています。
Cevlade「Pain (Adosene Remix)」
https://www.youtube.com/watch?v=QWCJTqKRtyo
Laura Nyroの他作品もチェックを!
『First Songs』(1973年) ※『More Than a New Discovery』(1967年)の再発盤
『Eli And The Thirteenth Confession』(1968年)、
『New York Tendaberry』(1969年)
『Christmas and the Beads of Sweat』(1970年)
『Smile』(1976年)
『Season of Lights』(1977年)
『Nested』(1978年)
『Mother's Spiritual』(1984年)
『Laura: Live at the Bottom Line』(1989年)
『Walk the Dog and Light the Light』(1993年)