発表年:1980年
ez的ジャンル:Hip-Hop黎明期クラシック
気分は... :おしゃべりカーティス!
Hip-Hop黎明期の金字塔アルバムKurtis Blow『Kurtis Blow』(1980年)です。
Kurtis BlowはN.Y.ハーレム出身のラッパー/プロデューサー。
Hip-Hopアーティストとして初めてメジャー・レーベル(Mercury)との契約に成功し、1979年末にデビュー・シングル「Christmas Rappin'」をリリースします。
そして、1980年にリリースした「The Breaks」がUS R&Bチャート第4位のヒットとなり、前年に「Rapper's Delight」をヒットさせたThe Sugarhill Gangと共に商業的成功を収めたHip-Hopアーティストのパイオニアとなりました。
その「The Breaks」を収録したデビュー・アルバム『Kurtis Blow』(1980年)も音楽シーンに大きなインパクトを与えました。
その後もHip-Hopアーティストのパイオニアとして、コンスタントに作品をリリースしましたが、最初の衝撃が大きかった分、それ以降の作品は割を食ってしまったかもしれません。
そんなKurtis Blow、さらにはHip-Hop黎明期を代表する金字塔アルバムが本作『Kurtis Blow』(1980年)です。
プロデュースはJ.B. MooreとRobert Ford。
レコーディングにはJ.B. Moore(g、key)、Eddie Martinez(g)、Dean Swenson(g)、John Tropea(g)、Onaje Allen Gumbs(key)、Craig Short(b)、Tom Wolk(b)、Jimmy Bralower(ds)といったミュージシャンが参加しています。
この参加メンバーからもわかるように、スタジオ・ミュージシャンによるディスコ/ファンク・サウンドがベースになっている点で、サンプリング中心のHip-Hop作品とはかなり雰囲気が異なります。
前述のHip-Hopクラシック「The Breaks」や、「Christmas Rappin'」の"クリスマスじゃない"ヴァージョン「Rappin' Blow, Pt. 2」、フリーソウル方面でも人気のダンス・クラシック「Throughout Your Years」あたりがハイライトです。
それ以外にThe Doobie Brothers「Long Train Runnin'」ライクな「Way Out West」、Run-D.M.C.もカヴァー・ヒットさせた都会的ファンキー・メロウ「Hard Times」もおススメです。
Hip-Hopを聴かない人でも楽しめるパーティー・モードの楽しい1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Rappin' Blow, Pt. 2」
ヒットした「Christmas Rappin'」の"クリスマスじゃない"ヴァージョンです(笑)。Chic「Good Times」/Queen「Another One Bites the Dust」調のベースと軽快なギター・カッティングに乗って、軽快なフロウで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=tdE5fZFWhb0
「The Breaks」
前述のように大ヒットしたHip-Hopクラシック(邦題「おしゃべりカーティス」)。前述のようにUS R&Bチャート第4位のヒットとなりました。格好良いディスコ・ファンクをバックに、軽快なフロウが躍動します。ラテン・フレイヴァーが効かせたブレイクも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=5ZDUEilS5M4
「Way Out West」
The Doobie Brothers「Long Train Runnin'」調の印象的なギターと軽快なラップがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=hTLaweXar2c
「Throughout Your Years」
フリーソウル方面でも人気のダンス・クラシック(邦題「メロウなおしゃべり」)。シングルにもなりました。個人的にもコレが一番好きです。メロウでキャッチーなパーティー・トラックは聴く者をポジティヴな気分にさせてくれます!
https://www.youtube.com/watch?v=8FngWvqvwfo
「Hard Times」
この曲もシングルにもなりました。N.Y.らしい都会的ファンキー・メロウを楽しめる僕好みの1曲。ここでもラテン・フレイヴァーのアクセントが効いています。Hip-Hopアルバムというよりもディスコ/ファンク・アルバムを聴く感覚に近いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=euj32zH-qQc
Run-D.M.C.がデビュー・アルバム『Run-D.M.C.』(1984年)でカヴァーし、US R&Bチャート第11位のヒットを飛ばしたことでも知られる楽曲ですね。
Run-D.M.C.「Hard Times」
https://www.youtube.com/watch?v=qO2cakSiqDQ
「All I Want in This World (Is to Find That Girl)」
メロウ・バラード。正直ヴォーカルは下手ですが、雰囲気は悪くなりません。
https://www.youtube.com/watch?v=B66q6J6lFRU
「Takin' Care of Business」
本編のラストはカナダのロック・グループBachman–Turner Overdriveのカヴァー。オリジナルは『Bachman–Turner Overdrive II』(1973年)収録。このロック・チューンは違和感あります(笑)。別のアーティストの楽曲が誤って収録されているのかと錯覚してしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=nmhbJfhmbrk
ここからはCDのボーナス・トラック2曲。
「Christmas Rappin'」
Hip-Hopクラシックの嬉しいボーナス・トラック。「Rappin' Blow, Pt. 2」もそうですが、バックの演奏自体がメロウ・ディスコ・チューンとして魅力的なのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=9xUFnGWWtoQ
「The Breaks (Instrumental)」
「The Breaks」のインスト・ヴァージョン。インストで聴くと、色々な有名曲のいいとこ取りな感じがよくわかります。
https://www.youtube.com/watch?v=TPO3qAYFiJs
『The Best of Kurtis Blow』(1994年)