発表年:2020年
ez的ジャンル:次世代UKジャズ/アフロ・ジャズ
気分は... :外出自粛の夜には・・・
新作から次世代UKジャズの旗手の一人Shabaka Hutchings率いるShabaka And The Ancestorsの最新作『We Are Sent Here By History』です。
1984年ロンドン生まれのサックス/クラリネット奏者Shabaka Hutchingsについては、Sons Of Kemet『Your Queen Is A Reptile』(2018年)を紹介しています。
Sons Of Kemet、The Comet Is Coming、Melt Yourself Downといったユニットでも作品をリリースしているShabaka Hutchings。
今回紹介するShabaka And The Ancestorsは、Shabaka Hutchingsが南アフリカの精鋭ジャズ・ミュージシャンと組んだユニット。
本作『We Are Sent Here By History』は、『Wisdom Of Elders』(2016年)に続く2ndアルバムとなります。名門Impulse!からのリリースです。
本作におけるShabaka And The Ancestorsメンバーは、Shabaka Hutchings(ts、clarinet)、Mthunzi Mvubu(as)、Siyabonga Mthembu(voice)、Gontse Makhene (per)、Ariel Zamonsky(b)、Tumi Mogorosi(ds)という6名。
それ以外にNduduzo Makhathini(el-p)、Mandla Mlangeni(tp)という前作メンバーやThandi Ntuli(p)が参加しています。
楽曲はすべてShabakaのオリジナルです。
本作はShabakaが現代におけるグリオとして作ったのだとか。
グリオとは文字を持たなかった人々が神話や歴史を歌にして吟じた西アフリカの伝承音楽のことです。
アフロ・ジャズ、アフリカの伝統音楽、カリブのエッセンスが加わった次世代UKブラックジャズは、今の僕の嗜好にフィットした1枚に仕上がっています。
普段ジャズを聴かない人も直感的に格好良いと感じる演奏なのでは?
クラブジャズ好きの人も意外にスンナリと聴けると思います。
主役は勿論、Shabaka Hutchingsのサックス、クラリネットですが、格好良さの肝はAriel Zamonskyのダブルベースにあると思います。
Shabaka Hutchingsが伝承したいジャズ・ワールドを確かめましょう。
全曲紹介しときやす。
「They Who Must Die」
トライバルなパーカッションにダブルベースが絡むイントロが格好良いアフロ・ジャズがオープニング。ダークでコズミックなグルーヴが僕好み。現在の世界の危機的状況とリンクさせると不吉なタイトルも気になります。
https://www.youtube.com/watch?v=rpyoP3x9-hk
「You've Been Called」
まさにストーリーテラーといった雰囲気で始まりますが、本編はしっかりブラック・ジャズしています。スピリチュアル・ジャズ好きの人にフィットするのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=4bG5dL3RUZs
「Go My Heart, Go To Heaven」
伝承音楽×ジャズな雰囲気が伝わってくる演奏です。Ariel Zamonskyの格好良いベースがShabakaのサックスを引き立てます。
https://www.youtube.com/watch?v=eg-0rBD38Lc
「Behold, The Deceiver」
コズミックな疾走感が格好良い僕好みの1曲。ShabakaとMthunzi Mvubuのホーン・アンサンブルもグッド!クラブジャズ好きの人にもフィットするのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=Y8XCaxVsslg
「Run, The Darkness Will Pass」
ここではShabakaのクラリネットを満喫できます。アフリカ×カリブ×ジャズな雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=0E-WEVbTBMQ
「The Coming Of The Strange Ones」
イントロのAriel Zamonskyのベースの格好良さで一発KOされてしまうアフロ・ジャズ。Shabakaらしいブラック・ジャズ・ワールドにテンション上がります。
https://www.youtube.com/watch?v=Crhs76o9mvw
「Beast Too Spoke Of Suffering」
フリー・ジャズでスタートし、そこにアフリカの伝統音楽のエッセンスが加わってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=0E-WEVbTBMQ
「We Will Work (On Redefining Manhood)」
序盤はグリオ的な展開ですが、それに続く本編はまたまたAriel Zamonskyのベースの格好良いベースが先導するエキサイティングな演奏です。ここでのShabakaはクラリネットを演奏していますが、彼がクラリネットをプレイすると一気にカリビアン・テイストが増すのが面白いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=vq5A4WtsrgQ
「'Til The Freedom Comes Home」
ベース、パーカッション、サックスの絡みがエキサイティングです。中盤でさらにハイテンションになっていくのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=DimK2Wjdq38
「Finally, The Man Cried」
Tumi Mogorosiのドラミングにグッとくるスケールの大きな演奏です。アフリカ×UKブラックジャズな雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=jPGDdjxfAKw
「Teach Me How To Be Vulnerable」
ラストはピアノをバックにShabakaのサックスが寂しげに響きます。この音色が示すメッセージは・・・
https://www.youtube.com/watch?v=zBMUnmZRa1A
他のShabaka Hutchings関連作品もチェックを!
Shabaka And The Ancestors『Wisdom Of Elders』(2016年)
Sons Of Kemet『Burn』(2013年)
Sons Of Kemet『Lest We Forget What We Came Here to Do』(2015年)
Sons Of Kemet『Your Queen Is A Reptile』(2018年)
Melt Yourself Down『Melt Yourself Down』(2013年)
Melt Yourself Down『Last Evenings On Earth』(2016年)
The Comet Is Coming『Channel The Spirits』(2016年)
The Comet Is Coming『Trust In The Lifeforce Of The Deep Mystery』(2019年)
The Comet Is Coming『Afterlife』(2019年)