発売年:2003年
ez的ジャンル:リアル・ソウル系男性R&Bシンガー
気分は... :肴はあぶったイカでいい・・・
今回はリアル・ソウル・シンガーAnthony Hamiltonが2003年にリリースした出世作『Comin' From Where I'm From』です。
1971年ノースカロライナ州シャーロット出身の男性R&BシンガーAnthony Hamiltonの紹介は、3rdアルバム『Ain't Nobody Worryin'』(2005年)に続き2回目となります。
R&Bファンはご存じのように、Jermaine DupriのSo So Defとの契約し、その第1弾アルバムとなった『Comin' From Where I'm From』は、USアルバム・チャート第33位、同R&Bアルバム・チャート第6位となり、プラチナム・ディスクに輝く大ヒット・アルバムとなりました。
さらに、アルバムは2004年グラミーのBest Contemporary R&B Albumにノミネートされ、シングル「Comin' from Where I'm From」は2004年グラミーのBest Traditional R&B Performance、Best R&B Songにノミネート、シングル「Charlene」は2005年グラミーのBest Male R&B Vocal Performanceにノミネートされました。
アルバム『XTC』(1996年)でデビューしたものの、所属レーベルの消滅など不遇の時代を過ごしたHamiltonが、遂にその才能を開花させ、本格派男性ソウル・シンガーの地位を不動のものにした名盤ですね。
Anthony Hamilton自身をはじめ、Jermaine Dupri、James Poyser、Mark Batson、Cedric Solomon、Junius Bervineがプロデュースしています。
この時代に、これだけ土臭く、イナたいソウル作品を作り上げた信念・心意気に感服します。多くのR&Bアーティストが失敗を恐れて避けてきたアプローチで、果敢に正面突破を図り、結果としてR&Bの流れを大きく変えた点に本作の価値があると思います。
「Comin' from Where I'm From」、「Charlene」というグラミー・ノミネートのシングル2曲が目立ちますが、「Better Days」、「I'm a Mess」、「Lucille」、「Float」、「My First Love」、「I Tried」あたりもおススメです。
あぶったイカとぬる燗で一杯やりたくなるリアル・ソウルです。
全曲紹介しときやす。
「Mama Knew Love」
Jermaine Dupriプロデュース。Jay-Z「Blueprint (Momma Loves Me)」、Al Green「Free at Last」をサンプリング。サンプリングやスクラッチなどHip-Hop的エッセンスも織り交ぜていますが、全体的には土臭く、イナたいのが本作です。
https://www.youtube.com/watch?v=wsT79sIEwtY
「Cornbread, Fish & Collard Greens」
James Poyserプロデュース。ネオ・フィリー系のJames Poyserも、ここではHamiltonのカラーに合わせてアーシーな音作りに徹しています。それでも軽快なグルーヴに仕上がっているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=1zU1pgdskbY
「Since I Seen't You」
Mark Batsonプロデュース。オルガンの響きがフィットするいぶし銀のリアル・ソウル。この塩辛さが当時としては逆に新鮮だったのでしょうね。
https://www.youtube.com/watch?v=RumJIArvFL0
Joe Budden「Are You in That Mood Yet?」、Knxwledge.「SeentYew」のサンプリング・ソースとなっています。
Joe Budden「Are You in That Mood Yet?」
https://www.youtube.com/watch?v=Zn_RLC891c4
Knxwledge.「SeentYew」
https://www.youtube.com/watch?v=B1hTNXqczYw
「Charlene」
Mark Batsonプロデュース。アルバムからの2ndシングルとして、USチャート第19位、同R&Bチャート第3位というキャリア最大のヒットとなりました。どこまでも土臭く、リアルなソウル・ヴォーカルが腹の奥まで沁み渡っていきます。これぞAnthony Hamiltonの真骨頂と呼べる名曲ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=QUmxh7H8vok
Streetwize、Z.Woodsがカヴァーしています。また、MURS「Break Up (The OJ Song)」のサンプリング・ソースとなっています。
Streetwize「Charlene」
https://www.youtube.com/watch?v=C1cWIMCfMAU
Z.Woods「Charlene」
https://www.youtube.com/watch?v=TDYnvLg5m1k
MURS「Break Up (The OJ Song)」
https://www.youtube.com/watch?v=TrIdTxBsmqI
「I'm a Mess」
Cedric Solomonプロデュース。この曲も大好き!切々と歌われる失恋ソングですが、男の哀愁漂うソウル・ヴォーカルがたまりません。女性バック・ヴォーカルとの絡みもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=l097AHixLaI
「Comin' from Where I'm From」
Mark Batsonプロデュース。タイトル曲はアルバムからの1stシングル。ヒットはしませんでしたが、前述のようにグラミーにノミネーションされるなどAnthony Hamiltonというシンガーの存在を知らしめた名曲だと思います。土臭くリアル・ソウルを聴かせるという彼の決意表明のようなタイトル曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=-4LVf9qdFYA
Jay-Z feat. Beanie Sigel「Where I'm From (Remix)、G-Unit「Where I'm From」、Akon「Senegal」、Lupe Fiasco「Comin' From Where I'm From」等のサンプリング・ソースとなっています。
Jay-Z feat. Beanie Sigel「Where I'm From (Remix)」
https://www.youtube.com/watch?v=KfPozdQor54
G-Unit「Where I'm From」
https://www.youtube.com/watch?v=WYDdcrYNuZ0
Akon「Senegal」
https://www.youtube.com/watch?v=gj1q_57hMbg
Lupe Fiasco「Comin' From Where I'm From」
https://www.youtube.com/watch?v=TOPk6uJql7g
「Better Days」
Anthony Hamiltonプロデュース。個人的にはアルバムで一番のお気に入りはコレ。土臭い中にも優しさに溢れた素敵なソウル・バラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=9LGz6Pr96FU
「Lucille」
Anthony Hamiltonプロデュース。Kenny Rogers「Lucille」(1977年)の歌詞を一部引用しています。土臭さが目立つ本作において、優しくソフトリーな印象を受けるのがこのトラック。ファンク・ジャム・バンドLettuceのメンバーErick Coomesのギターも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=vhCgFUkIPTY
「Float」
Junius Bervineプロデュース。感動的なソウル・バラード。ジワジワと盛り上がる感じがたまりません後にソロ・デビューするCarol Riddickによる女性コーラスもグッド!
Robert Glasper Experimentのメンバーとしてお馴染みのDerrick Hodgeがベースを弾いています。
https://www.youtube.com/watch?v=P2XIKbccRdo
「My First Love」
LaToiya Williamsをフィーチャー。Anthony Hamiltonプロデュース。本作らしい土臭い温かみを感じるソウル・バラードを素敵なデュエットで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=nsqqN7p6Krs
「Chyna Black」
Anthony Hamiltonプロデュース。(多分)薬物依存をテーマにした歌ですが、ビートを効かせた躍動感のある演奏は本作においては異色。
https://www.youtube.com/watch?v=M0Qc5cmQl-A
「I Tried」
James Poyserプロデュース。Poyserと同じくThe SoulquariansメンバーであったPino Palladinoがベースで参加しています。ヴォーカルワークが素敵なソウル・チューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=iJkLDdk4oME
Anthony Hamiltonの他作品もチェックを!
『XTC』(1996年)
『Ain't Nobody Worryin'』(2005年)
『Soulife』(2005年)
『The Point of It All』(2008年)
『Back to Love』(2011年)
『What I'm Feelin'』(2016年)