2020年06月15日

Anthony Hamilton『Comin' From Where I'm From』

R&Bの流れを変えたリアル・ソウル☆Anthony Hamilton『Comin' From Where I'm From』
カミング・フロム・ウェア・アイム・フロム
発売年:2003年
ez的ジャンル:リアル・ソウル系男性R&Bシンガー
気分は... :肴はあぶったイカでいい・・・

今回はリアル・ソウル・シンガーAnthony Hamiltonが2003年にリリースした出世作『Comin' From Where I'm From』です。

1971年ノースカロライナ州シャーロット出身の男性R&BシンガーAnthony Hamiltonの紹介は、3rdアルバム『Ain't Nobody Worryin'』(2005年)に続き2回目となります。

R&Bファンはご存じのように、Jermaine DupriSo So Defとの契約し、その第1弾アルバムとなった『Comin' From Where I'm From』は、USアルバム・チャート第33位、同R&Bアルバム・チャート第6位となり、プラチナム・ディスクに輝く大ヒット・アルバムとなりました。

さらに、アルバムは2004年グラミーのBest Contemporary R&B Albumにノミネートされ、シングル「Comin' from Where I'm From」は2004年グラミーのBest Traditional R&B Performance、Best R&B Songにノミネート、シングル「Charlene」は2005年グラミーのBest Male R&B Vocal Performanceにノミネートされました。

アルバム『XTC』(1996年)でデビューしたものの、所属レーベルの消滅など不遇の時代を過ごしたHamiltonが、遂にその才能を開花させ、本格派男性ソウル・シンガーの地位を不動のものにした名盤ですね。

Anthony Hamilton自身をはじめ、Jermaine DupriJames PoyserMark BatsonCedric SolomonJunius Bervineがプロデュースしています。

この時代に、これだけ土臭く、イナたいソウル作品を作り上げた信念・心意気に感服します。多くのR&Bアーティストが失敗を恐れて避けてきたアプローチで、果敢に正面突破を図り、結果としてR&Bの流れを大きく変えた点に本作の価値があると思います。

「Comin' from Where I'm From」「Charlene」というグラミー・ノミネートのシングル2曲が目立ちますが、「Better Days」「I'm a Mess」「Lucille」「Float」「My First Love」「I Tried」あたりもおススメです。

あぶったイカとぬる燗で一杯やりたくなるリアル・ソウルです。

全曲紹介しときやす。

「Mama Knew Love」
Jermaine Dupriプロデュース。Jay-Z「Blueprint (Momma Loves Me)」、Al Green「Free at Last」をサンプリング。サンプリングやスクラッチなどHip-Hop的エッセンスも織り交ぜていますが、全体的には土臭く、イナたいのが本作です。
https://www.youtube.com/watch?v=wsT79sIEwtY

「Cornbread, Fish & Collard Greens」
James Poyserプロデュース。ネオ・フィリー系のJames Poyserも、ここではHamiltonのカラーに合わせてアーシーな音作りに徹しています。それでも軽快なグルーヴに仕上がっているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=1zU1pgdskbY

「Since I Seen't You」
Mark Batsonプロデュース。オルガンの響きがフィットするいぶし銀のリアル・ソウル。この塩辛さが当時としては逆に新鮮だったのでしょうね。
https://www.youtube.com/watch?v=RumJIArvFL0

Joe Budden「Are You in That Mood Yet?」、Knxwledge.「SeentYew」のサンプリング・ソースとなっています。
Joe Budden「Are You in That Mood Yet?」
 https://www.youtube.com/watch?v=Zn_RLC891c4
Knxwledge.「SeentYew」
 https://www.youtube.com/watch?v=B1hTNXqczYw

「Charlene」
Mark Batsonプロデュース。アルバムからの2ndシングルとして、USチャート第19位、同R&Bチャート第3位というキャリア最大のヒットとなりました。どこまでも土臭く、リアルなソウル・ヴォーカルが腹の奥まで沁み渡っていきます。これぞAnthony Hamiltonの真骨頂と呼べる名曲ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=QUmxh7H8vok

Streetwize、Z.Woodsがカヴァーしています。また、MURS「Break Up (The OJ Song)」のサンプリング・ソースとなっています。
Streetwize「Charlene」
 https://www.youtube.com/watch?v=C1cWIMCfMAU
Z.Woods「Charlene」
 https://www.youtube.com/watch?v=TDYnvLg5m1k
MURS「Break Up (The OJ Song)」
 https://www.youtube.com/watch?v=TrIdTxBsmqI

「I'm a Mess」
Cedric Solomonプロデュース。この曲も大好き!切々と歌われる失恋ソングですが、男の哀愁漂うソウル・ヴォーカルがたまりません。女性バック・ヴォーカルとの絡みもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=l097AHixLaI

「Comin' from Where I'm From」
Mark Batsonプロデュース。タイトル曲はアルバムからの1stシングル。ヒットはしませんでしたが、前述のようにグラミーにノミネーションされるなどAnthony Hamiltonというシンガーの存在を知らしめた名曲だと思います。土臭くリアル・ソウルを聴かせるという彼の決意表明のようなタイトル曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=-4LVf9qdFYA

Jay-Z feat. Beanie Sigel「Where I'm From (Remix)、G-Unit「Where I'm From」、Akon「Senegal」、Lupe Fiasco「Comin' From Where I'm From」等のサンプリング・ソースとなっています。
Jay-Z feat. Beanie Sigel「Where I'm From (Remix)」
 https://www.youtube.com/watch?v=KfPozdQor54
G-Unit「Where I'm From」
 https://www.youtube.com/watch?v=WYDdcrYNuZ0
Akon「Senegal」
 https://www.youtube.com/watch?v=gj1q_57hMbg
Lupe Fiasco「Comin' From Where I'm From」
 https://www.youtube.com/watch?v=TOPk6uJql7g

「Better Days」
Anthony Hamiltonプロデュース。個人的にはアルバムで一番のお気に入りはコレ。土臭い中にも優しさに溢れた素敵なソウル・バラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=9LGz6Pr96FU

「Lucille」
Anthony Hamiltonプロデュース。Kenny Rogers「Lucille」(1977年)の歌詞を一部引用しています。土臭さが目立つ本作において、優しくソフトリーな印象を受けるのがこのトラック。ファンク・ジャム・バンドLettuceのメンバーErick Coomesのギターも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=vhCgFUkIPTY

「Float」
Junius Bervineプロデュース。感動的なソウル・バラード。ジワジワと盛り上がる感じがたまりません後にソロ・デビューするCarol Riddickによる女性コーラスもグッド!
Robert Glasper Experimentのメンバーとしてお馴染みのDerrick Hodgeがベースを弾いています。
https://www.youtube.com/watch?v=P2XIKbccRdo

「My First Love」
LaToiya Williamsをフィーチャー。Anthony Hamiltonプロデュース。本作らしい土臭い温かみを感じるソウル・バラードを素敵なデュエットで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=nsqqN7p6Krs

「Chyna Black」
Anthony Hamiltonプロデュース。(多分)薬物依存をテーマにした歌ですが、ビートを効かせた躍動感のある演奏は本作においては異色。
https://www.youtube.com/watch?v=M0Qc5cmQl-A

「I Tried」
James Poyserプロデュース。Poyserと同じくThe SoulquariansメンバーであったPino Palladinoがベースで参加しています。ヴォーカルワークが素敵なソウル・チューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=iJkLDdk4oME

Anthony Hamiltonの他作品もチェックを!

『XTC』(1996年)
Xtc

『Ain't Nobody Worryin'』(2005年)
Ain't Nobody Worryin

『Soulife』(2005年)
Soulife

『The Point of It All』(2008年)
The Point of It All

『Back to Love』(2011年)
バック・トゥ・ラヴ

『What I'm Feelin'』(2016年)
What I'm Feelin'
posted by ez at 01:59| Comment(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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