2020年06月28日

SEED Ensemble『Driftglass』

ロンドン新世代ジャズ・アンサンブル☆SEED Ensemble『Driftglass』

発表年:2019年
ez的ジャンル:ロンドン新世代ジャズ
気分は... :Black Lives Matter!

今回は新作アルバムからロンドン新世代ジャズSEED Ensemble『Driftglass』です。

昨年リリースされた作品ですが、今年5月に国内盤がリリースされました。

SEED Ensembleはロンドンで結成されたジャズ・アンサンブル。

グループのリーダーはロンドンのアフロビート・バンドKokorokoのメンバーとしても知られるCassie Kinoshi(as)。

同じくKokorokoのメンバーであるSheila Maurice-Grey(tp)、南ロンドン・ジャズの活況を象徴するアフロ・ジャズ・ファンク・バンドEzra CollectiveのメンバーJoe Armon-Jones(p、el-p)、Shabaka Hutchings率いるSons Of KemetMoses BoydNubya Garciaとの共演でも知られるTheon Cross(tuba)、南ロンドンを拠点とするジャズ・ユニットMaishaのメンバーShirley Tetteh(g)、それ以外にChelsea Carmichael(ts、fl)、Miguel Gorodi(tp)、Joe Bristow(tb)、Sarah Tandy(p、el-p)、Rio Kai(b)、Patrick Boyle(ds)という全11名が本作のグループ・メンバーです。

XanaCherise Adams-BurnettMr Ekowといったヴォーカル、スポークンワードがフィーチャリングされています。

楽曲はすべてCassie Kinoshiのオリジナルです。

プロデュースはロンドンのジャズ・サックス奏者Jason Yarde

UKのプロデューサー/ビートメイカーEric Lauがミックスを手掛けています。

アルバム・タイトルは黒人SF作家Samuel R. Delanyの短編に由来したもの。また、「The Dreamkeeper」「W A K E (For Grenfell)」の歌詞にはアメリカの黒人作家Langston Hughesの作品が引用されています。

このように本作は黒人のアイデンティティとしてのジャズの伝統と未来が意識されています。その意味では黒人ジャズ・ミュージシャンの先人達が築いてきたジャズの伝統と、これから自分たちが切り拓こうとしているジャズの未来の融合を図ったようなジャズ・アンサンブルを楽します。

ダイナミックなブラス・アンサンブルに、ロンドン新世代らしいPatrick Boyleのドラミング、Joe Armon-JonesSarah Tandyの鍵盤、Shirley Tettehのギターなどが絡みます。

Black Lives Matterが叫ばれる今だからこそ聴くべきジャズ作品かもしれません。

全曲紹介しときやす。

「The Darkies」
Rio KaiのCharles Mingusばりのダブル・ベースと共に始まるオープニング。黒人のアイデンティティとしてのジャズの歴史を感じる演奏です。素晴らしいブラス・アンサンブルに続きMiguel Gorodiのトランペット、Theon Crossのチューバとソロが展開されます。
https://www.youtube.com/watch?v=Q0NRu4poYSA

「Afronaut」
Xanaのスポークンワードをフィーチャー。ロンドン新世代らしいビートが躍動するフューチャリスティックなコズミック・ジャズ。鮮やかなブラス・アンサンブルに惹き込まれます。終盤のSarah Tandyのエレピ・ソロも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=ZV-WmZjyJxo

「Stargaze #1: Katin」
ゆったりとした流れの中で、滲み出るようなブラス・アンサンブルが溶け込んでいきます。
https://www.youtube.com/watch?v=IsYdop8pYsk

「The Dreamkeeper」
Cherise Adams-Burnettのヴォーカルをフィーチャー。Joe Armon-Jonesのピアノを中心に夢の中の新世代ジャズといった趣の美しく瑞々しい演奏を堪能できます。
https://www.youtube.com/watch?v=wKuzEmWBOPg

「W A K E (For Grenfell)」
Cherise Adams-Burnettのヴォーカルをフィーチャー。足で踏み鳴らすリズムに合わせて、合唱される様はゴスペル風です。黒人音楽の伝統とロンドン新世代の感覚がダイナミックに融合している感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=erdmu6SlL2M

「Stargaze #2: Lau」
コズミックな小曲。ギター、エレピ、ドラムを中心にコズミック・ワールドへ誘ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=AMDF1C1w2EM

「Mirrors」
迫力のあるブラス・アンサンブル、夜に漂うようなShirley Tettehのギター、Chelsea Carmichaelのテナー・サックスのブロウが印象的な演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=GYxJ0w2wAEM

「Interplanetary Migration」
Mr Ekowのスポークンワードをフィーチャー。Patrick Boyleのロンドン新世代らしいドラミングが牽引するダイナミックで広大な宇宙を感じるアンサンブルでアルバムを締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=GuHsMwfyLf4

ご興味がある方は本作に参加しているSarah Tandyのリーダー作あたりもチェックしてみては?

Sarah Tandy『Infection in the Sentence』(2019年)
posted by ez at 00:45| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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