発表年:2006年
ez的ジャンル:UKジャズ・ファンク
気分は... :ジャケに思わずニンマリ!
今回はUKジャズ・ファンク作品、Fast 3『The Grifter』(2006年)です。
Fast 3は2002年にロンドンで結成されたジャズ・ファンク・トリオ。
オリジナル・メンバーはPhil Wilkinson(org)、Dave Wilkinson(g)というWilkinson兄弟とイタリア人のAndrea Trillo(ds)という3名。その後、Andrea Trilloに代わり、Caspar St. Charlesがドラマーとして加入しています。
グループは『Pole Position』(2004年)、『The Grifter』(2006年)、『3's Company : A Tribute To Grant Green』(2008年)といったアルバムをリリースしています。
本作『The Grifter』(2006年)は、日本デビュー・アルバムとなります。
The Three Sounds『It Just Got To Be』(1963年)を模したジャケからして思わずニンマリですね。
The Three Sounds『It Just Got To Be』(1963年)
UKジャズ・ファンクを牽引するグループThe New Mastersoundsでお馴染みのOne Note Recordsからのリリースです。
プロデュースはPhil WilkinsonとDave Wilkinson。
"Melvin Sparks+Johnny "Hammond" Smith+Bernard Purdie"と評されたソウル・ジャズ寄りの演奏は派手さはありませんが、通好みのUKジャズ・ファンクといった感じです。
カヴァーはなく全曲オリジナルで固めたところに彼らの自信を感じます。
「Speakeasy」、「Heirs To The Throne」、「The Grifter」、「Brandy Snap」、「Souled Out」、「The Clap」あたりが僕のお気に入り。
やり過ぎない美学の格好良さにグッとくる1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Speakeasy」
Dave Wilkinson作。モッドな格好良さのあるグルーヴィーなオープニング。2000年代のスウィンギン・ロンドンといった雰囲気の格好良さがあります。ドラム・ブレイクもキマっています。サイコー!
https://www.youtube.com/watch?v=2RC786ncTvU
「Tufty」
Fast3作。カリビアン・テイストの開放感が心地好い演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=ezgaOQtfQ3M
「Lamanleman」
Fast3作。少しルーズな雰囲気がいいですね。ここでのDaveはギターに加えて、ハーモニカでアクセントをつけています。
https://www.youtube.com/watch?v=aQEdepqw4lo
「Heirs To The Throne」
Phil Wilkinson作。7分超の長尺。"Melvin Sparks+Johnny "Hammond" Smith+Bernard Purdie"と称される彼らのグルーヴィーなソウル・ジャズ・フィーリングの演奏を満喫できます。特にCasparのパワフルなドラミングがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ns9K4R2nxw0
「The Grifter」
Dave Wilkinson作。タイトル曲はやり過ぎない余白の格好良さを感じます。彼らの美学が詰まった演奏だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=s1FHXojAiLk
「Taste Promise」
Fast3作。グルーヴィーなリフが淡々と演奏されますが、後半のドラムブレイクを機にヒートアップする感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=sn0YlJloVWE
「Brandy Snap」
Dave Wilkinson作。60年代ジャズ・ロック/ラテン調の魅力を持った演奏です。ギター、オルガン、ドラムのみの演奏とは思えない華があります。
https://www.youtube.com/watch?v=Q4QuMESblAg
「Hard Rock Maple」
Fast3作。タイトルにはハード・ロックとありますが、ギター、ハモンド・オルガン、パワフルなドラミングのバランスが絶妙なソウル・ジャズに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=t6NjznxRIJs
「The Lizard Checker」
Phil Wilkinson作。ここでのPhilはエレピを演奏。全体的に抑えたトーンのブルージーなサウンドに仕上げています。
https://www.youtube.com/watch?v=zpESOEJi-68
「Souled Out」
Fast3作。レア・グルーヴ好きの人も気に入りそうな躍動感のあるサウンドです。ここでもやり過ぎないツボを押さえた演奏がたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=fuddZrn-1fU
「The Clap」
Fast3作。ラストはDaveの格好良いギターが炸裂するファンキー・チューン。国内盤ライナーノーツで、"Big" John PattonがGrant Greenと共演した『Got A Good Thing Goin'』(1966年)のオープニング曲「The Yodel」のアップデート版と評されていましたが、聴き比べてみるのも楽しいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=tuJRYFH64Fw
"Big" John Patton「The Yodel」
https://www.youtube.com/watch?v=rist7_i_GYQ
ご興味がある方はGrant Greenへのトリビュート・アルバム『3's Company : A Tribute To Grant Green』(2008年)もチェックを!
『3's Company : A Tribute To Grant Green』(2008年)
また、メンバーのDave Wilkinson(g)、Andrea Trillo(ds)は、スペイン人のArecio Smith(org、key)、アルゼンチン人のTito Bonacera(b)と組んだユニットPhat Fredとしても作品をリリースしています。
Phat Fred『Don't Spoil The Soup!』(2006年)
Phat Fred『Live In Denmark Hammondbeat Soul & Groove Live Vol. 2』(2008年)