発表年:1999年
ez的ジャンル:Tommy Boy系イースト・コーストHip-Hop
気分は... :アイデンティティからナラティビティへ!
90年代に人気を博したHip-HopユニットNaughty By Natureの大ヒット・アルバム『19 Naughty III』(1993年)です。
1986年にニュー・ジャージー州イースト・オレンジで結成されたTreachとVin Rock(Vinnie)の2MC、DJのKay Geeから成る3人組Hip-HopユニットNaughty By Natureの紹介は、『Naughty by Nature』(1991年)、『Nineteen Naughty Nine: Nature's Fury』(1999年)に続き3回目となります。
前回『Nineteen Naughty Nine: Nature's Fury』(1999年)の記事エントリーは約10年前でした。当時はKay Geeがグループを脱退し、TreachとVin Rockの2人体制でしたが、その直後にKay Geeが復帰し、トリオ復帰アルバム『Anthem Inc.』(2011年)をリリースしています。
本作『19 Naughty III』(1993年)は、Naughty By Natureとしての2ndアルバムとなります。
2ndアルバムなのに3rdアルバムと錯覚しそうな『19 Naughty III』のタイトルとなっているのは、本作のリリース年である「1993」の語呂合わせだと思います。また、New Style時代のアルバム『Independent Leaders』(1989年)も含めれば3枚目のアルバムということになるのかもしれません。
成功を収めた『Naughty by Nature』(1991年)の勢いはさらに増し、本作『19 Naughty III』もUSアルバム・チャート第3位、同R&Bアルバム・チャート第1位という大ヒット・アルバムとなりました。
S.I.D. Reynoldsプロデュースの2曲を除き、Naughty By Natureのセルフ・プロデュースです。
Heavy D、Rottin Razkals、Freddie Foxxx、Queen Latifahがフィーチャリングされています。
本作といえば、USチャート第8位、US R&Bチャート第1位となった大ヒット曲「Hip Hop Hooray」がハイライトですね。
それ以外にシングルになった「It's On」や「Written On Ya Kitten」もNaughty By Natureらしさを楽しめます。
Queen Latifahをフィーチャーした「Sleepin' On Jersey」、Heavy Dをフィーチャーした「Ready For Dem」、アッパーな「The Only Ones」あたりも僕好みです。
Hip-Hopらしいストリート感覚とHip-Hopファン以外も楽しめるキャッチーさのバランスが絶妙なNaughty By Natureらしい1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「19 Naughty III」
Taana Gardner「Heartbeat」ネタのハートビートが印象的なタイトル・トラックがオープニング。不穏な空気が漂いますが、Otis Redding and Carla Thomas「Tramp」のブレイクと共にハード・コアに躍動します。Doug E. Fresh, Slick Rick and The Get Fresh Crew「The Show」、自らのクラシック「O.P.P.」ネタも使われています。
https://www.youtube.com/watch?v=OGC9-Zhrovg
「Hip Hop Hooray」
USチャート第8位、US R&Bチャート第1位となった大ヒット・シングル。シンセによる尺八のイントロに続き、Hip-Hop万歳!と高らかに叫ぶHip-Hopアンセムですね。彼ららしいキャッチーな魅力を満喫できます。Hip-Hop好き以外でも楽しめるからこそ大ヒットに結びついたのだと思います。The Isley Brothers「Make Me Say It Again Girl (Part 1 & 2)」、Five Stairsteps「Don't Change Your Love」、Sylvia Striplin「You Can't Turn Me Away」、James Brown「Funky President (People It's Bad)」をサンプリング。
Spike Leeが監督し、Queen Latifah、Eazy-E、Monie Love、Da Youngsta's、Kris Kross、2pac、Run-D.M.C.が出演しているPVにも注目です。
https://www.youtube.com/watch?v=Rz1Xn1vzOM4
アルバム未収録ですが、Pete Rockのリミックスあたりもチェックしてみては?
「Hip Hop Hooray (Pete Rock Remix)」
https://www.youtube.com/watch?v=fvnghuRobZU
また、50トラック以上のサンプリング・ソースとなっています。
「Ready For Dem」
Heavy Dをフィーチャー。突進力のあるトラックですが、この時代らしくラガ・マフィンのエッセンスも取り入れています。Sly & The Family Stone「Sing a Simple Song」、Melvin Bliss「Synthetic Substitution」、James Brown「Funky Drummer」Orange Krush「Action」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=1mnEijnZhos
「Take It To Ya Face」
Malcolm McLaren「World's Famous」をサンプリングしたトラックでKay Geeのセンスを楽しみましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=HcBEeDigWz4
「Daddy Was A Street Corner」
ストリートらしさを感じる1曲。Ice Cube「Steady Mobbin'」、Big Daddy Kane「Ain't No Half-Steppin'」等のヴォーカル・ネタが使われています。
https://www.youtube.com/watch?v=lFZjBpDH8tM
「The Hood Comes First」
不穏な雰囲気のトラックですが、Johnny Pate「Shaft in Africa (Addis)」をサンプリングし・ネタがいいアクセントになっているのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=Rz6AYrqobMc
「The Only Ones」
S.I.D. Reynoldsプロデュース。Nu Shooz「I Can't Wait」、Ohio Players「Funky Worm」、James Taylor and The Flying Machine「Knocking 'Round the Zoo (1971 Version)」、Melvin Bliss「Synthetic Substitution」をサンプリングしたアッパー・トラックの疾走感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=_qmzHjTskRw
「It's On」
S.I.D. Reynoldsプロデュース。アルバムからの2ndシングル。途中まではストリートなドラマの1シーンといった雰囲気です。Donald Byrd「French Spice」をはじめ、Lafayette Afro Rock Band「Hihache」、Grover Washington Jr.「A Secret Place」、Michael Jackson「Smooth Criminal」をサンプリング。A Tribe Called Quest feat. Leaders Of The New School and Kid Hood「Scenario (Remix)」やApache「Gangsta Bitch」ネタの引用も印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=4irRTSNyPSE
アルバム未収録ですが、The BeatnutsによるPete Rock & C.L. Smooth「On and On」ネタのリミックスもチェックを!
「It's On (Beatnuts Remix)」
https://www.youtube.com/watch?v=7J0oL6cK_3k
「Cruddy Clique」
Buddy Miles Express「Train」、Bob James「Nautilus」をサンプリング。激しいビートに乗せて、叩きつけるようなフロウでリアルなストリートの姿を訴えます。
https://www.youtube.com/watch?v=d2hH1zP-_68
「Knock Em Out Da Box」
Rottin Razkalsをフィーチャー。Isaac Hayes「Ike's Mood I」、Skull Snaps「It's a New Day」をサンプリングした哀愁トラックが印象的です。Slick Rick「Children's Story」 の声ネタも使われています。90年代前半ならではのブラック・パワーが漲った仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=xhoemq-d-mw
「Hot Potato」
Freddie Foxxxをフィーチャー。畳み掛けるようなフロウながらもリズミックなのがいいですね。Bob James「Take Me to the Mardi Gras」をサンプリング。The Honey Drippers「Impeach the President」、James Brown「Funky Drummer」のドラム・ネタも使われています。
https://www.youtube.com/watch?v=aZeCwyF358s
「Sleepin' On Jersey」
Queen Latifahをフィーチャー。Earth, Wind & Fire「Sunshine」のベースラインをサンプリング。また、Public Enemy「Bring the Noise」、Syl Johnson「Different Strokes」、さらに自らの「Uptown Anthem (Video Mix)」のヴォーカル・ネタが使われています。彼らのTommy Boyとの契約を後押ししてくれたQueen Latifahとの相性は抜群です。Tommy Boyらしい雰囲気に溢れた好トラックだと思います。大好き!
https://www.youtube.com/watch?v=RQBvSjqxi0k
「Written On Ya Kitten」
アルバムからの3rdシングル。Quincy Jonesの息子QD IIIもプロデュースに加わっています。Galt MacDermot「Stockyard」をサンプリング。テンポを落としたユルいトラックがいい感じです。僕好みの1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=h6Ax87PC0Yw
アルバム未収録ですが、The Isley Brothers「Between The Sheets」をサンプリングしたリミックスもあります。
「Written On Ya Kitten (Shandi's Smooth Radio Edit)」
https://www.youtube.com/watch?v=buOwTPqLqiA
「Sleepwalkin' II」
次の「Shout Outs」と2曲で1トラックのような表記のリソースもありますが、僕の保有CDでは別トラックになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=8BzT2pEumtU
「Shout Outs」
次作『Poverty's Paradise』にもGordon Chambersをフィーチャーした「Shout Out」というトラックが収録されており、ややこしいです。「Shout Out」の方が大好きなトラックなのですが、この「Shout Outs」とは雰囲気が異なります。
https://www.youtube.com/watch?v=J2CkPrbiDg4
CDにはボーナス・トラックとして、「Hip Hop Hooray (Entended Mix)」、「The Hood Comes First (Instrumental)」の2曲が追加収録されています。
Naughty By Natureの他作品もチェックを!
『Naughty by Nature』(1991年)
『Poverty's Paradise』(1995年)
『Nineteen Naughty Nine: Nature's Fury』(1999年)
『IIcons』(2002年)
『Anthem Inc.』(2011年)