発表年:2001年
ez的ジャンル:レジェンド系ソウル/R&B
気分は... :老兵は死なず、消えもしない!
今回はThe Isley Brothers『Eternal』(2001年)です。
これまで当ブログで紹介したIsleys作品は以下の14枚(発表年順)。
『The Brothers Isley』(1969年)
『Givin' It Back』(1971年)
『Brother, Brother, Brother』(1972年)
『The Isleys Live』(1973年)
『3+3』(1973年)
『Live It Up』(1974年)
『The Heat Is On』(1975年)
『Harvest For The World』(1976年)
『Go For Your Guns』(1977年)
『Showdown』(1978年)
『Winner Takes All』(1979年)
『Grand Slam』(1981年)
『Between The Sheets』(1983年)
『Baby Makin' Music』(2006年)
前作『Mission to Please』(1996年)の後に、 Marvin Isleyが闘病のため抜けてしまい、Ronald Isley、Ernie Isleyの二人体制になってしまったIsleys。その第一弾としてDreamWorksからリリースされたアルバムが本作『Eternal』(2001年)です。
アルバムはUSチャート第3位、同R&Bチャート第1位の大ヒットとなり、見事な復活を印象づけました。
Ronald Isley、Ronaldの当時の奥方Angela Winbushをはじめ、Raphael Saadiq、Jake & The Phatman、R. Kelly、Steve 'Stone' Huff、Jam & Lewis(Jimmy Jam/Terry Lewis)、James "Big Jim" Wright、Dre & Vida(Andre Harris/Vidal Davis)がプロデュースを手掛けています。
当時期待の新星であったJill Scottがフィーチャリングされ、Avant、女性R&BデュオJSとしてDreamWorksからデビュー・アルバム『Ice Cream』(2003年)をリリースするJohnson Sisters(Kim Johnson、Kandy Johnson)もバック・コーラスで参加しています。
ソウル界のレジェンドIsleysと当時の売れっ子プロデューサー陣のケミストリーが本作に商業的な成功をもたらしたのだと思います。
Ronald Isleyと同じ系統のR. Kellyは次作『Body Kiss』(2003年)では大半のプロデュースを任され、本作でもシングルとなった「Contagious」をプロデュースしています。
しかし、個人的にはJam & Lewis、Raphael Saadiq、Steve 'Stone' Huffプロデュース曲の方が聴くべき所は多いと思います。
Jam & Lewisプロデュースであれば、タイトル曲「Eternal」をはじめ、Ronaldらしい語り口を活かしつつ、あくまでクールに仕上げているのがいいですね。
Raphael Saadiqプロデュースであれば、名曲「That Lady」のエッセンスを散りばめた「Move Your Body」やRaphaelのヴィンテージ感を活かした「You Didn't See Me」にグッときます。
そして、地味ですがいい仕事をしているのがSteve 'Stone' Huffプロデュースの「Secret Lover」。また、Ronaldと奥方Angela Winbushのプロデュースによる「Warm Summer Night」はChicファンがニンマリの1曲だと思います。
老兵は死なず、消えもしない!Isleysの存在感を楽しみましょう。
全曲紹介しときやす。
「Move Your Body」
Raphael Saadiq/Jake & The Phatmanプロデュース。いきなり「That Lady」を思わせるErnieのギター・ソロに思わずニンマリしてしまうオープニング。Johnson Sisters、Raphael Saadiqをコーラスに従えたヴォーカルワークでも「That Lady」の引用があります。終盤にはMarvin Gaye「After the Dance」の引用で楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=2gR1Xo9eMyg
「Contagious」
R. Kellyプロデュース。シングルにもなり、USチャート第19位、同R&Bチャート第3位となっています。正直、仰々しくて僕の好みではありませんが・・・。アルバム未収録ですが、シングル・ヴァージョンにはR. KellyとChante Mooreがフィーチャリングされ、Ronaldを含めた三者で浮気がバレる愛憎劇を演じるPVが(嫌味で)なかななか笑えて楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=-qnSz6Lh5pY ※シングル・ヴァージョン
「Warm Summer Night」
Angela Winbush/Ronald Isleyプロデュース。Chic「A Warm Summer Night」をモロ使いしたサンプリングというよりリメイクに近い仕上がり。このトラックでNile Rodgersのギターではなく、Ernieのギターが唸りを上げるのが面白いですね。終盤にはR. Kelly「Your Body's Callin'」、Jodeci「Cry for You」のフレーズが引用されています。
https://www.youtube.com/watch?v=u1Ckug-OZhU
「You Deserve Better」
Steve 'Stone' Huffプロデュース。Ronaldにしては濃すぎないサラッとした歌いっぷりのミディアムですが、逆にそれが功を奏しています。
https://www.youtube.com/watch?v=-j0phUOOHcg
「Just Like This」
Steve 'Stone' Huffプロデュース。Ronaldの粘着力のあるエロ・ヴォーカルと2000年代らしいアップデートされたサウンドがフィットしたミディアム・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=4h7FSaJStfk
「Secret Lover」
Steve 'Stone' Huffプロデュース。Ronaldのヴォーカル、Ernieのギター共にIsleyらしさを感じつつも、2000年代モードのアーバンなR&Bに仕上がっています。Avantがバック・コーラスで参加し、レジェンドを好サポートしています。
https://www.youtube.com/watch?v=cR8366Bvelc
「You're All I Need」
Jam & Lewisプロデュース。Jam & LewisとIsleysとのコラボ一発目はRonaldらしいヴォーカルの語り口を活かしつつ、決して暑くなりすぎないクールなミディアム・バラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=qLpFU4E1PQ8
「Settle Down」
Jam & Lewis/ James "Big Jim" Wrightプロデュース。全盛期のIsleysを少しクールダウンさせた温度感が絶妙なバラード。
https://www.youtube.com/watch?v=jPt-xESoi1s
「Eternal」
Jam & Lewis/ James "Big Jim" Wrightプロデュース。タイトル曲はJam & Lewis色とIsleys色のバランスが絶妙な素敵なバラードに仕上がっています。個人的にはJam & LewisとIsleysとのコラボ4曲の中で一番のお気に入り。
https://www.youtube.com/watch?v=unQCebQXLBw
「If You Leave Me Now」
Jam & Lewisプロデュース。はChicago、1976年のUSチャートNo.1シングルをカヴァー(オリジナルは『Chicago X』収録)。やろうと思えば、Ronald色に染まった「If You Leave Me Now」もできたのでしょうが、あえてそこを抑えてオリジナルの持つも魅力を残しつつ、IsleysらしさをバランスさせたところがJam & Lewisの手腕かもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=ic4YKablpAE
「Said Enough」
Dre & Vidalプロデュース。Jill Scottをフィーチャー。ネオフィリー×Isleysな色合いがよく出ていて面白いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=2mzNjRgjxqQ
「You Didn't See Me」
Raphael Saadiq/Jake & The Phatmanプロデュース。Ernieのギターがリードするミディアム・バラード。Raphael Saadiq得意のヴィンテージ・ソウル感とIsleysの個性が素敵なケミストリーを起こしています。
https://www.youtube.com/watch?v=HJgLMIhpV7k
「Ernie's Jam」
Raphael Saadiq/Jake & The Phatmanプロデュース。タイトルの通り、Ernieのギターを主役に据えたトラック。Ernieのワン&オンリーなギターの魅力を堪能しましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=Mzo16qzxfSc
「Think」
Jam & Lewis/ James "Big Jim" Wrightプロデュース。ラストはCurtis Mayfieldのカヴァー(オリジナルは『Superfly』収録)。オリジナルはインストでしたが、ここではRonaldが作詞した歌詞を加えたヴィンテージ・ソウル調のヴォーカル・ヴァージョンで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=vollL579ojc
Isleysの過去記事もご参照下さい。
『The Brothers Isley』(1969年)
『Givin' It Back』(1971年)
『Brother, Brother, Brother』(1972年)
『The Isleys Live』(1973年)
『3+3』(1973年)
『Live It Up』(1974年)
『The Heat Is On』(1975年)
『Harvest For The World』(1976年)
『Go For Your Guns』(1977年)
『Showdown』(1978年)
『Winner Takes All』(1979年)
『Grand Slam』(1981年)
『Between The Sheets』(1983年)
『Baby Makin' Music』(2006年)