2020年12月03日

Greenwood『Lost In Paradise』

山下達郎「Sparkle」をカヴァー☆Greenwood『Lost In Paradise』

発表年:2014年
ez的ジャンル:ハワイ日系バンドAOR/レア・グルーヴ/フリーソウル
気分は... :季節外れのサマー・ブリージン!

山下達郎「Sparkle」のカヴァーで話題となったハワイの日系バンドGreenwood『Lost In Paradise』(2014年)です。
※リリースは2014年ですが、80年代にレコーディングした音源も含まれるので80年代カテゴリーに分類しておきます。

Greenwoodは日系人のRobin Kimura中心としたハワイのバンド。バンド・メンバーの多くが日系人です。

1972年に結成されたバンドですが、リリースとしては1985年に自主制作のシングル「Cheerleader Strut」1枚を残したのみです。

「Cheerleader Strut」は和製Earth, Wind & Fire(EW&F)と呼ばれた日本のバンド、スペクトラム「ミーチャン Going to the Hoikuen」のカヴァーです。

そして、そのシングルのB面に山下達郎「Sparkle」のカヴァーが収録されていました。

その後バンドは解散してしまいますが、2007年頃から活動を再開します。時を同じくしてMURO氏『Hawaiian Breaks』(2009年)に「Sparkle」が収録されたことでGreenwoodへの再評価が一気に高まります。

そんな流れで、制作されたアルバムが本作『Lost In Paradise』(2014年)です。「Sparkle」「Cheerleader Strut」をはじめ80年代にレコーディングした音源も含まれています。

本作におけるメンバーはCurtis Takahama(vo、as、per)、Michael Chock(vo、tb)、Owen Kajiwara(g)、Dwayne Higa(key)、Robin Kimura(b)、Bradley Choi(ds)、Miles Ichida(tp)、Mark Silva(tp、tb、flh、vo、per)、Steven Matsumoto(tp、vo)、Randall Hoo(ts、as、fl、per)、Wayne Nakamura(bs、ts、as、per)、Steven Lee(vo、per)。

アルバムは全曲カヴァー。特に目を引くのは「Sparkle」「Cheerleader Strut」というJ-POPカヴァー2曲(実際にはJ-POPカヴァーは3曲)ですが、それ以外のカヴァー・センスも素晴らしいです。

個人的にはMalo「Suavecito」Boz Scaggs「We Were Always Sweethearts」という当ブログでも絶賛していた2曲のカヴァーに歓喜してしまいました。

本来は夏向けのアルバムですが、コロナの第三波が本格化し、鬱積した思いが募る中、季節外れのサマー・ブリージンで心を浄化させるのもいいかな・・・と思い取り上げてみました。

「Sparkle」カヴァーだけでは終わらない魅力を持った1枚です。
失われたパラダイスを取り戻そう!

曲単位のYoutube音源が少ないのでフルアルバムの音源を挙げておきます。
Greenwood『Lost In Paradise』
https://www.youtube.com/watch?v=9VupywC2hF8

全曲紹介しときやす。

「Sparkle」
山下達郎の名曲カヴァー(作詞:吉田美奈子/作曲:山下達郎)。オリジナルは『FOR YOU』(1982年)収録。オリジナル同様に爽快ギター・カッティングが心地好いですね。あとはヴォーカルの声質が達郎氏とは異なるので、そのあたりの違いがハワイアンAORテイストになっていると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=eL0WxH8KAHc

「Get Ready」
The Temptationsのカヴァー(Smokey Robinson作)。オリジナルは『Gettin' Ready』(1966年)収録。ノーザン・ソウルなオリジナルのイメージを残しつつ、ホーン隊を活かしたダイナミックなロック・チューンに仕上がっています。

「Pretty Lady」
カナダのロック・バンドLighthouseのカヴァー(Skip Prokop作)。オリジナルは『Can You Feel It』(1973年)収録。オリジナルのメロウネスをさらに高めたようなハワイアンAOR/フリーソウル的な仕上がりがいいですね。

「If That’s the Way You Want It」
ソウル/ディスコ・グループTavaresのカヴァー(Dennis Lambert & Brian Potter作)。オリジナルは『Check It Out』(1973年)収録。メロウ・ソウルなオリジナルからテンポを少し落としたメロウ・ミディアムで聴かせてくれます。

「Summer Sun」
シカゴのローカル・バンドJamestown Massacre、1972年のシングルをカヴァー(Tom Powers作)。この隠れたサマー・アンセムをカヴァー・セレクトした時点でGreenwoodの勝ちですね。オリジナルをさらに爽快メロウにした素敵なサマー・ブリージンで魅せてくれます。
Jamestown Massacre「Summer Sun」
 https://www.youtube.com/watch?v=UM9Ry95c3yc

「Suavecito」
ラテン・ロック・バンドMaloのカヴァー(Abel Zarate/Pablo Tellez/Richard Bean作)。オリジナルは『Malo』(1972年)収録。僕が何度となく絶賛してきた名曲を、オリジナルの雰囲気を受け継ぎつつ、ハワイのサンセット・モードにフィットするハワイアンAORとして聴かせてくれます。
Malo「Suavecito」
 https://www.youtube.com/watch?v=l91yWg_5xM0

「Prelude」
次曲へのプレリュードとなるインスト小曲。

「We Were Always Sweethearts」
Boz Scaggsの隠れた名曲をカヴァー(Boz Scaggs作)。オリジナルは『Moments』(1971年)収録。以前にブログでも書きました僕が一番好きなBoz Scaggsソングです。正直、オリジナルの方が断然いいですが、お気に入り曲をカヴァーしてくれた時点で感謝感激です。オリジナルもホーン・サウンドが目立つので、その意味でホーン・サウンドを重視するGreenwoodがこの曲をセレクトするのは納得ですね。
Boz Scaggs「We Were Always Sweethearts」
 https://www.youtube.com/watch?v=wEAEdVLUs_4

「Them Changes」
Jimi HendrixBand Of Gypsysで演奏していたBuddy Miles作品をカヴァー。オリジナルは『Them Changes』(1970年)収録。オリジナル同様にファンキー・ホーン隊を従えたファンク・ロックなGreenwoodを楽しめます。
Buddy Miles「Them Changes」
 https://www.youtube.com/watch?v=_DDbjm_fId8

「Never Can Say Goodbye」
スペクトラムのカヴァー1曲目(作詞:篠塚満由美/作曲:渡辺直樹)。オリジナルは『スペクトラム4 SECOND NAVIGATION』(1981年)収録。感動的なラブ・バラードをハワイアンAORテイストで聴かせてくれます。
スペクトラム「Never Can Say Goodbye」
 https://www.youtube.com/watch?v=EqwF1E8hO0w

「Cheerleader Strut」
スペクトラムのカヴァー2曲目(スペクトラム作)。オリジナルは「ミーチャン Going to the Hoikuen」のタイトルで『スペクトラム2 OPTICAL』(1980年)に収録。オリジナルのリラックスしたメロウ・ファンクをよりアーバン・テイストで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=za-yDao6zqA
スペクトラム「ミーチャン Going to the Hoikuen」
 https://www.youtube.com/watch?v=DJGPUek02WA

ご興味がある方は本作でカヴァーされたオリジナルが収録されたアルバムの過去記事もご参照ください。

Buddy Miles『Them Changes』(1970年)


Boz Scaggs『Moments』(1971年)


Malo『Malo』(1972年)
マロ MALO
posted by ez at 05:14| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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