2020年12月16日

Linda Ronstadt『Don't Cry Now』

ブレイク直前ならではの魅力☆Linda Ronstadt『Don't Cry Now』

発表年:1973年
ez的ジャンル:歌姫系ウエスト・コースト・カントリー・ロック
気分は... :過渡期ならではの味わい!

“ウエスト・コーストの歌姫”として人気を博した女性シンガーLinda Ronstadtの4thアルバム『Don't Cry Now』(1973年)です。

Linda Ronstadt(1946年生まれ)の紹介は、『Simple Dreams』(1977年)以来2回目となります。

今年は「前回のエントリーから●年ぶり」というかたちで10年以上間隔が空いてしまったアーティストを取り上げる機会が多くなりましたが、Linda Ronstadtのエントリーも2007年5月以来13年ぶりとなります。

また、僕の思い込みで『Heart Like a Wheel』(1974年)、『Living in the U.S.A.』(1978年)あたりはエントリーしたつもりでいたのですが、まだ『Simple Dreams』(1977年)しか紹介していませんでした・・・

『Don't Cry Now』(1973年)はAsylum移籍第一弾アルバムとなります。USアルバム・チャートの最高位は45位ですが、長くチャート・インし、ゴールド・ディスクに輝いています。

Peter Asherプロデュースの次作『Heart Like a Wheel』(1974年)(契約の関係上Capitolからリリース)がUSアルバム・チャート第1位となり、ブレイクを果たすことになりますが、本作『Don't Cry Now』(1973年)はその試金石となりました。

メイン・プロデューサーはJ. D. Souther。さらに前作を全面プロデュースしたJohn Boylan、次作以降の大成功を主導したPeter Asherもプロデュースしています。

レコーディングには、J. D. Souther(g、b、back vo)、John Boylan(el-p)、Spooner Oldham(p)、Chris Ethridge(b)、Glenn Frey(g)、Larry Carlton(g)、The Flying Burrito BrothersSneaky Pete Kleinow(steel g)とRick Roberts(g)、Craig Doerge(p)、Russ Kunkel(ds)、Leland Sklar(b)、Richard Bowden(g)、Mike Bowden(b)、Herb Pederson(g、back vo)、Jerry McGee(g)、Andy Johnson(g)、Ed Black(g)、Buddy Emmons(pedal steel g)、Dennis St. John(ds)、Mickey McGee(ds)、Jimmie Fadden(harmonica)、Gib Guilbeau(fiddle)、Jim Gordon(sax)、Nino Tempo(sax)、Jim Ed Norman(horn & strings arr)、Ginger Holladay(back vo)、Mary Holliday(back vo)、Clydie King(back vo)、Sherlie Matthews(back vo)、Marti McCall(back vo)、Wendy Waldman(back vo)等のミュージシャンが参加しています。

アルバム全体としては、ウエスト・コーストらしいカントリー・ロックを楽しめる1枚です。

9月に『For Everyman』(1973年)をエントリーしましたが、ここ半年ほどの僕はJackson Browneを欲して聴く機会が多くなっています。

その意味で本作の持つ空気は、Jackson Browneを欲する気分と符合するものがあります。

シングル曲は「Love Has No Pride」「Silver Threads and Golden Needles」「Colorado」の3曲。

中でもEric Kaz/Libby Titus作の「Love Has No Pride」は、名曲の呼び声高い本作のハイライトですね。The Flying Burrito Brothersのカヴァー「Colorado」の味わいもかなり好きです。

それ以外であれば、ウエスト・コーストらしい叙情感の「I Can Almost See It」Eaglesの名曲カヴァー「Desperado」Larry Carltonのギター・ソロも聴ける「Don't Cry Now」、感動的なNeil Young & Crazy Horseのカヴァー「I Believe in You」あたりが僕のおススメです。

ジャケに写るLindaの姿そのままにブレイク前の飾り気のないピュアな魅力を満喫できます。

過渡期ならではの味わいが吉と出た1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「I Can Almost See It」
J. D. Souther作&プロデュース。このオープニングがアルバム全体の雰囲気を物語っています。ウエスト・コーストならではの叙情感がいいですね。Lindaのしみじみとした歌声とSneaky Peteのスティール・ギターとJimmie Faddenのハーモニカの味わいがたまらない。
https://www.youtube.com/watch?v=bCLS4hocJdY

「Love Has No Pride」
John Boylanプロデュース。Eric Kaz/Libby Titus作。Libby Titusヴァージョンは『Libby Titus』(1977年)収録。
シングルにもなった本ヴァージョンはBonnie Raittヴァージョン(1972年)と並び、この曲の評価を高めました。やはり、本作のハイライトはコレですね。聴くたびに胸に込み上げてくるものがあります。Lindaの素晴らしい歌唱がこの曲を名曲にしたのだと思います。この時期のLindaだからこそ聴けるタイプの1曲ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=2R0aNLEKgIs

「Silver Threads and Golden Needles」
J. D. Souther/John Boylanプロデュース。Dick Reynolds/Jack Rhodes作の名曲「銀の糸と金の針」をカヴァー。オリジナルは1956年の Wanda Jacksonヴァージョン。Dusty SpringfieldがメンバーであったThe Springfieldsが1962年にヒットさせています。デビュー・アルバム『Hand Sown...Home Grown』(1969年)でも取り上げており、Lindaの思い入れのある楽曲なのでしょうね。本ヴァージョンはシングルにもなりました。典型的なカントリー・ロックで必ずしも僕の得意なタイプの曲ではないのですが、Lindaが歌うと許容できちゃいます(笑)Herb Pedersonのハーモニーがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=eO_x62UaOD8

「Desperado」
J. D. Southerプロデュース。Eaglesの名曲「ならず者」をカヴァー(Don Henley/Glenn Frey作)。オリジナルはアルバム『Desperado』(1973年)収録。説明不要の名曲ですが、オリジナルの雰囲気をそのまま受け継いだLindaヴァージョンもなかなかいいですよ。
https://www.youtube.com/watch?v=5vYhzf96_YA

「Don't Cry Now」
J. D. Souther作&プロデュース。Spooner Oldhamの味のあるピアノがLindaをナビゲートします。Lindaにはこういう少し切ない楽曲が良く似合いますね。そして、ギター・ソロは何とLarry Carlton!ここも聴き逃がせません。
https://www.youtube.com/watch?v=xjaiTSZm4Uw

「Sail Away」
J. D. Souther/Peter Asherプロデュース。Randy Newmanの名曲をカヴァー。オリジナルはアルバム『Sail Away』(1972年)収録。少しクセのある楽曲のはずですが、Lindaが自分らしいスタイルでこの曲をモノにしています。
https://www.youtube.com/watch?v=O7iuAetjN_0

「Colorado」
John Boylanプロデュース。The Flying Burrito Brothersのカヴァー(Rick Roberts作)。オリジナルはアルバム『The Flying Burrito Brothers』(1971年)収録。シングルにもなりました。作者Rick Roberts、さらにはSneaky Pete KleinowというThe Flying Burrito Brothersのメンバーがバックを務めます。この曲も初期Lindaならではのピュアな魅力がありますね。しみじみと聴き入ってしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=fYsDFnIfpNg

「The Fast One」
J. D. Souther作&プロデュース。オリジナルはJ. D. のデビュー・アルバム『John David Souther』(1972年)収録。Glenn Freyがギターで参加。軽快なカントリー・ロックです。
https://www.youtube.com/watch?v=bgD02IbY71A

「Everybody Loves a Winner」
J. D. Souther/John Boylanプロデュース。William Bellのカヴァー(Bill Williams/Booker T. Jones/William Bell作)。R&Bカヴァーをしっとりと歌い上げます。R&Bなホーン隊とカントリー・ロック・サウンドの組み合わせがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=dLCmwF2P6Xk

「I Believe in You」
J. D. Souther/Peter Asherプロデュース。Neil Young & Crazy Horseのカヴァー(Neil Young作)。オリジナルはアルバム『After the Gold Rush』(1970年)収録。オリジナルの雰囲気も好きですが、美しいストリングスを配した感動的な本ヴァージョンの味わいも格別です。
https://www.youtube.com/watch?v=yZDSb9kDMNE

Linda Ronstadtの70年代全盛期の他作品もチェックを!

『Heart Like a Wheel』(1974年)


『Prisoner in Disguise』(1975年)


『Hasten Down the Wind』(1976年)


『Simple Dreams』(1977年)


『Living in the U.S.A.』(1978年)
posted by ez at 04:35| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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