発表年:1978年
ez的ジャンル:社会派サルサ
気分は... :聞かせて、踊れる!
台風のせいで散々な連休ですね。
僕もその影響で予定変更があったりして、かなりバタバタ状態です。
全然連休気分じゃあないなぁ...
こんな時にはラテンのリズムで陽気に乗り切ろう!
ということで久々にサルサです!
今回はサルサ史上最も売れたと言われるアルバムWillie Colon & Ruben Blades『Siembra』(1978年)をセレクト。
実際に本作が最も売れたかサルサ作品かどうかは僕も調べていません。
でも、多くの雑誌やサイトでそういった説明がなされているのでそうなのでしょう。間違っていたならばゴメンナサイ。
Willie Colonはデビュー作『El Malo』、Ruben Bladesはちょっとマニアックなアルバム『Agua de Luna』を本ブログで紹介済みです。
Willie Colon(NYブロンクス出身)は、言わずもがなのサルサ界最大のスターと呼べるトロンボーン奏者ですね。一方のRuben Blades(パナマ出身)は、後に政治家としてパナマの大統領選挙にも出馬した社会派シンガーです。
Willie ColonとRuben Bladesの初共演は1970年代半ばでしたが、本格コラボは前作『Metiendo Mano』(1977年)からからでシタ。既にサルサ界のスーパースターとなっていたWillie Colonが、新進のパナマ人シンガーRuben Bladesを迎えたという図式だったようですね。Rubenはこのコラボをきっかけにスター街道を昇っていったカンジですからね。
二人のコラボは、単に踊るためだけの音楽というイメージが強かったサルサに、メッセージという要素を持ち込み、聞かせて、踊れるサルサをクリエイトしたという点で画期的でした。そんな二人のコラボが生んだ傑作が本作『Siembra』となります。
メッセージ性が強調されると、純粋に音楽として楽しめないのでは?なんて思う方もいるかもしれませんが、サウンドもしっかり踊れるゴキゲンなものに仕上がっています。
Rubenが歌い上げるラテン・コミュニティに向けたメッセージを、スーパースターWillie Colonのカッチョ良いサウンドに支えるといったカンジでしょうか。このアルバムを聴いていると、トロンボーンという楽器のカッチョ良さをはっきり認識することができますよ。
サルサ史に残る画期的な作品として、メッセージも含めて聴くも良し!
サルサ史上最も売れたとアルバムとして、そのキャッチーさを楽しむも良し!
単純にWillie & Rubenのカッチョ良さを堪能するも良し!
いろんな人が楽しめるサルサ・アルバムだと思いマス。
特に普段サルサを聴かない人へオススメです。
全曲紹介しときやす。
「Plastico」
いきなりチョッパーベースでスタートするディスコ調のイントロがなんとも印象的な人気曲。その後一転して正統派のサルサ・グルーヴへと変身。当時流行のディスコ・サウンドと正統派サルサを対比させているのがミソです。そして、ラティーノとして自らのアイデンティティを失うな!とRubenが哀愁のハイトーン・ボーカルで訴えマス。最後には当時のニカラグアのソモサ政権の打倒まで叫ぶヤバイ歌です。
「Buscando Guayaba」
リラックス・ムードのラテン・グルーヴ。よく思うんですが、Rubenのハイトーンな声質ってラテンの巻き舌が実にマッチする気がしますね。
「Pedro Navaja」
「Plastico」と並ぶハイライト。シングルとしてもヒットしたみたいですね。冒頭のWillieのカッチョ良いトロンボーンとパトカーのサイレンの効果音を聴いただけでゾクッとしますね。
中身はナイフを持った男Pedro Navajaに気をつけろ!というハード・ボイルド・サルサです。と言いつつ、サウンドは超ゴキゲンなグルーヴに仕上がっているので、そんなに危ない歌に聴こえないのですが(笑)途中でミュージカル『West Side Story』の「America」が引用されていたりするのも楽しいですね。
「Maria Lionza」
神秘的なムードで始まる1曲。中盤以降は哀愁メロウな展開でいいカンジです。
「Ojos」
個人的にはかなりお気に入りのサルサ・グルーヴ。WillieとRubenのそれぞれのソロ作を聴いてから、この曲を聴くと、二つの強烈な個性がうまく共存することがわかりますね。
「Dime」
この曲は後のRubenのソロの雰囲気に近いですね。無理矢理踊らせるのではない、ナチュラルなノリがとても好きですね。
「Siembra」
タイトル曲は“種を植えよう!”というメッセージ・ソング。そのメッセージこそがジャケに写る四人の赤ん坊なのでしょうね。
きっと、僕はRubenのボーカルの声質や(言語は理解できないけど)歌い回しのリズムとかが好きなんだと思います。
この間、たまたまTVでRubenが出演している映画『プレデター2』を観まシタ。マルチな才能を持っている人だけど、できればもっと本業の音楽に専念して欲しかった気もしますねぇ。