2021年03月06日

The Pretty Things『S. F. Sorrow』

ロック・オペラのプロトタイプ☆The Pretty Things『S. F. Sorrow』

発表年:1968年
ez的ジャンル:UKサイケデリック・ロック
気分は... :サイケの迷宮・・・

今回はUKロック・バンドThe Pretty Thingsによる元祖ロック・オペラ作品『S. F. Sorrow』(1968年)です。

ロック・オペラを世間に知らしめたThe Whoの名作『Tommy』(1969年)に影響を与えた作品として再評価の高い1枚ですね。

The Pretty Thingsは、ロンドンのアート・スクールで知り合ったPhil May(vo)、Dick Taylor(g)を中心に1962年結成されたロック・バンド。

二人はThe Rolling Stones結成前のMick JaggerKeith Richardsと友人であり、特にDick TaylorはMickとKeithらとバンドを組んでいました。

そんなThe Rolling Stonesと同じR&Bテイストのロック・グループとして登場したThe Pretty Thingsは、1964年にシングル「Rosalyn」でデビューし、2ndシングル「Don't Bring Me Down」はUKチャート第10位のヒットとなりました。

1965年には1stアルバム『The Pretty Things』(1965年)をFontanaからリリース。さらにFontanaから2枚のアルバムをリリースしています。

しかし、時代の流れの中で音楽性を変化させ、レーベルを移籍してサイケデリック・ロックに取り組んだのが、Columbiaからリリースした4thアルバムとなる本作『S. F. Sorrow』(1968年)です。

本作のメンバーはPhil May(vo)、Dick Taylor(g、vo)、Wally Waller(b、g、p、vo)、Jon Povey(org、sitar、mellotron、per、vo)、そして新加入の元TomorrowTwink(ds、vo)という6名。前メンバーのSkip Alan(ds)も何曲で参加しているようです。

プロデュースはNorman Smith

前述のように、The Who『Tommy』(1969年)に先立つ元祖ロック・オペラ作品として再評価の高い1枚です。

アルバムはSebastian F. Sorrowという男の人生を描いたロック・オペラのプロトタイプ的な1枚に仕上がっています。

個人的にはロック・オペラ云々以上に、スウィンギン・ロンドンにおけるサイケデリック・ロック作品としての魅力を感じる1枚です。

The Beatles『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』(1967年)の影響を強く感じますが、よりサイケを徹底しているのが本作の魅力だと思います。

物語仕立てのサイケ・ワールドを満喫しましょう。

全曲紹介しときやす。

「S.F. Sorrow Is Born」
シタールが怪しげに響く僕好みサイケなオープニング。サイケなドライヴ感は今聴いてもなかなか格好良いと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=f5_jpgPxIFc

Big Audio Dynamite「The Green Lady」のサンプリング・ソースとなっています。
Big Audio Dynamite「The Green Lady」
 https://www.youtube.com/watch?v=WKS_CoQAp-8

「Bracelets」
『Sgt. Pepper's 〜』の影響が色濃い仕上がり。「Lucy In The Sky With Diamonds」にシタールによるアクセントを強調したような雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=phkeWcsWPHY

「She Says Good Morning」
こちらはThe Beatles「I Am The Walrus」あたりを想起させます。ファズ・ギターが格好良いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=VGYfrTF6nzo

「Private Sorrow」
フォーキーな味わいの中にもサイケ・ムードを漂わせます。終盤の展開がロック・オペラ
https://www.youtube.com/watch?v=byKvF_1Ab5I

「Balloon Burning」
UKビート・バンドらしい躍動感とサイケな怪しさを融合させた1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=hheLZ8vYr6s

「Death」
ロック・オペラ的な繋ぎの1曲といった雰囲気です。インド音楽のテイストを物語にうまく取り込んでいるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Si554hC2Xq0

「Baron Saturday」
トリップ・モードのダークなポップ・ロックは後期BeatlesJohn Lennonがやりそうな雰囲気ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=kAgXbnZZ4PQ

「The Journey」
僕好みのサイケ・フォーキー・グルーヴ。終盤には混沌としたサイケな迷宮に入り込んでしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=tfpFnS8y0nY

「I See You」
ドラマティックな哀愁サイケ。荘厳で幻想的なロック・オペラが展開されます。
https://www.youtube.com/watch?v=7exhDAskajc

「Well Of Destiny」
前衛的なインスト。この時代はThe Beatles「A Day In The Life」に触発されて、こういう曲やりたかったんでしょうね。
https://www.youtube.com/watch?v=NWmCDsFLlZ8

「Trust」
メロディアスなサイケ・ポップ。この曲のコーラスワークを聴いていると、その流れでThe Who『Tommy』が聴きたくなりますね。
https://www.youtube.com/watch?v=-MUSPn7depg

「Old Man Going」
前曲「Trust」からの流れでいえば、この曲を聴いていると、そのまま『Tommy』「Pinball Wizard」を聴きたくなりますね。「Pinball Wizard」には本曲のようなサイケ・フィーリングはありませんが・・・
https://www.youtube.com/watch?v=7qgsbAGN-WA

「Loneliest Person」
物語のラストは寂しげなフォーキー・チューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=XDtg9bniDVA

ここからはCDボーナス・トラック4曲。

「Defecting Grey」
サイケ・モード全開のロック・チューン。ワルツや前衛的要素のアクセントもあり、1曲の中に詰め込めるだけ詰め込んだ感じが好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=lZLoZz-PZaI

「Mr. Evasion」
キャッチーなサイケ・ロック。思い切り弾けてながらも幻想的な音世界を展開している感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=xR9iVuad7js

「Talkin' About The Good Times」
サイケな迷宮に入り込んでいくようなトリップ感が魅力です。
https://www.youtube.com/watch?v=Zqdz2GhVndQ

「Walking Through My Dreams」
UKビートロックにサイケ・フィーリングを加味したわかりやすい1曲ですが、なかなかキャッチーです。
https://www.youtube.com/watch?v=KrcMjmHF74A

The Pretty Thingsの他作品もチェックを!

『The Pretty Things』(1965年)


『Get the Picture?』(1965年)


『Emotions』(1967年)


『Parachute』(1970年)


『Freeway Madness』(1973年)


『Silk Torpedo』(1974年)


『Savage Eye』(1975年)
posted by ez at 00:53| Comment(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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