発表年:1970年
ez的ジャンル:Invictus系女性SSW
気分は... :異種格闘技?
今回はUK出身の女性シンガー・ソングライターRuth Copelandのデビュー・アルバム『Self Portrait』(1970年)です。
Ruth Copelandは1946年イギリス生まれの白人女性シンガー・ソングライター。
60年代半ばにUSに渡り、70年代初めにHolland-Dozier-HollandのInvictusから『Self Portrait』(1970年)、『I Am What I Am』(1971年)という2枚のアルバムをリリースしています。
この2枚のアルバムは、白人女性SSWがInvictusからリリースしたことに加え、George Clinton率いる初期Funkadelicがバックを務めたことで再評価が高まっています。
白人女性SSWとFunkadelicという異種格闘技の仕掛け人がMotown RecordsのプロデューサーであったJeffrey Bowen。
George ClintonにInvictusからParliament名義でのアルバムを勧めると同時に、恋人であったRuth CopelandをInvictusからデビューさせようと画策していました。
結果として、Parliamentのデビュー・アルバム『Osmium』(1970年)とRuth Copelandのデビュー・アルバム『Self Portrait』(1970年)が同時並行でレコーディングされることになりました。Ruthは『Osmium』にヴォーカルとして参加するのみならず、3曲の楽曲提供でも貢献しています。
ということで、Ruth Copelandのデビュー・アルバム『Self Portrait』(1970年)です。
実際のプロデューサーはJeffrey Bowenですが、契約上の問題で名前を出すことができず、名目上はRuth Copelandのセルフ・プロデュースということになっています。
レコーディングにはRuth Copeland(vo、g)、George Clinton、Eddie Hazel(g)、Dennis Coffey(g)、Ray Monette(g)、Tawl Ross(g)、Billy Bass Nelson(b)、Bob Babbitt(b)、Bernie Worrell(key)、Tiki Fulwood(ds)、Andrew Smith(ds)等のミュージシャンが参加しています。
正直、Funkadelicとのタッグという面からの完成度は次作『I Am What I Am』(1971年)の方が高いのでしょうが、異種格闘技的な面白さがこの1stにはあります。
クセのあるアルバムですが、そのクセを楽しみましょう。
全曲紹介しときやす。
「Prologue: Child of the North」
Ruth Copeland作。オープニングは白人女性SSWらしいフォーキー・チューン。ここでのRuthは歌わずに語っています。
https://www.youtube.com/watch?v=oOSKXu92iGc
「Thanks for the Birthday Card」
Ruth Copeland作。Ruthの女性SSWらしさを尊重しつつ、Funkadelicらしさもチラリを顔を覗かせる面白さがある演奏です。70代初めのラブ&ピース感もありますね。
https://www.youtube.com/watch?v=AQroT1iHS2g
「Your Love Been So Good To Me」
Ruth Copeland/Tawl Ross/George Clinton作。これはFunkadelic色を打ち出したサイケなファンク・ロック。ここでのRuthはJanis Joplinばりにシャウトします。
https://www.youtube.com/watch?v=BMS6aVO_TRE
「The Music Box」
Ruth Copeland/Ron Dunbar/Edythe Wayne作。子供コーラスをフィーチャーしたポップ・ロック。ピースフルな感じがこの時代らしいですね。楽しげな楽曲なのに終盤にRuthが泣き出します???
https://www.youtube.com/watch?v=ChiCuFp7tJo
「The Silent Boatman」
Ruth Copeland作。Parliament『Osmium』にも別ヴァージョンが収録されています。ゴスペル・フィーリングのバラードですが、サイケな雰囲気もあっていい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=hw_NZGrTaww
「To William in the Night」
Ruth Copeland/Gwendolyn Alexander/Edythe Wayne/Ron Dunbar作。ミュージカル/オペラ風の曲調にFunkadelicな隠し味が効いています。
https://www.youtube.com/watch?v=DUhg75IQKTY
「No Commitment」
Ruth Copeland作。ストリングス入りの感動的なフォーキー・バラード。女性SSWとしてのRuthの魅力を満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=2y1TixQN2EU
「I Got a Thing For You Daddy」
Ruth Copeland/Eddie Hazel/George Clinton作。Funkadelic色の強いファンク・ロック。格好良さでいえばアルバムで一番。Ruthのパワフルなヴォーカルもサイコー!
https://www.youtube.com/watch?v=5itbQSi-K20
「A Gift of Me」
Ruth Copeland/Edythe Wayne/Ron Dunbar作。アルバム・ヴァージョンはア・カペラです。
https://www.youtube.com/watch?v=Tq09ebTnJf0
「Un Bel Di (One Fine Day)」
プッチーニのオペラ『蝶々夫人』の有名なアリア「ある晴れた日に」をカヴァー。前半はRuthがオペラ調のヴォーカルを披露し、中盤からはロック・ミュージカル調の展開となります。
https://www.youtube.com/watch?v=GGgL737KNJ0
ここから3曲はCDボーナス・トラック。
「The Music Box (Single Version)」
「The Music Box」のシングル・ヴァージョン。謎の号泣パートが短い分、こっちの方が好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=nDS2KZ4F82k
「A Gift of Me (Single Version)」
「A Gift of Me」のシングル・ヴァージョン。ア・カペラであったアルバム・ヴァージョンに対して、こちらはストリングス入りのバッキングありです。
https://www.youtube.com/watch?v=IGHKE0dnoI8
「No Commitment (Single Version)」
「No Commitment」のシングル・ヴァージョン。アルバム・ヴァージョンのエディットです。
https://www.youtube.com/watch?v=Y-0io3J7TeU
もう1枚の『I Am What I Am』(1971年)もチェックを!
『I Am What I Am』(1971年)