2021年04月20日

Isaac Hayes『Hot Buttered Soul』

初のUS R&Bアルバム・チャートNo.1作品☆Isaac Hayes『Hot Buttered Soul』

発表年:1969年
ez的ジャンル:ムーディー&官能系シンフォニック・ソウル
気分は... :すべてが"ニュー"ソウル!

70年代前半に絶大な人気を誇った男性R&Bシンガー/キーボード奏者Isaac Hayesの代表作の1枚、『Hot Buttered Soul』(1969年)です。

Isaac Hayes(1942-2008年)の紹介は、『...To Be Continued』(1970年)に続き2回目となります。

久々のIsaac Hayesです。前回『...To Be Continued』を紹介したのが、まだ彼が存命中の2007年であり、約14年ぶりのIsaac Hayes作品のエントリーです。

David Porterと組んで、60年代Staxを代表するデュオ・グループSam & Dave「Soul Man」のソングライティングで注目されるようになったIsaac Hayesが、ソロ活動を開始したのはアルバム『Presenting Isaac Hayes』(1968年)からですが、同作は泥酔した状態でレコーディングされたものであり、必ずしも彼の才能がきちんと発揮された作品ではありませんでした。

その意味で、2ndアルバムとなる本作『Hot Buttered Soul』(1969年)こそがIsaac Hayesのソロ・アーティストとしての才能をh初めて知らしめたアルバムといえます。

『Hot Buttered Soul』(1969年)は見事にUS R&Bアルバム・チャート第1位に輝き、それ以降も『The Isaac Hayes Movement』(1970年)、『...To Be Continued』(1970年)、『Shaft (motion picture soundtrack) 』(1971年)、『Black Moses』(1971年)と5作連続でUS R&Bアルバム・チャート第1位を獲得することになります。

プロデュースはAl BellMarvell ThomasAllen Jones

レコーディングにはIsaac Hayes(vo、key)以下、Marvell Thomas(key)、Harold Beane(g)、さらにはWillie Hall(ds)、James Alexander(b)、Michael Toles(g)というThe Bar-Kaysメンバー3名が参加しています。

全4曲という収録曲の少なさですが、この曲数の少なさこそがIsaac Hayesらしいですね。その独自サウンドも含めて既成のアルバムの常識を簡単に覆してしまう大胆さが本作の魅力かもしれません。こういうアルバムがヒットしたこと自体に時代の変わり目だったのかもしれませんね。

Hal David/Burt Bacharachの名曲「Walk On By」Isaac Hayesワールドに変貌させ、「Hyperbolicsyllabicsesquedalymistic」ではサイケデリックなファンク・ロックで妖しいムードを醸し出したかと思えば、Al Greenのカヴァー「One Woman」はオーセンティックなソウルで魅せ、Glen Campbellのヒットで知られるJimmy Webb作品のカヴァー「By the Time I Get to Phoenix」は壮大なスケールで締め括ってくれます。

快進撃の口火を切ったヒット・アルバムを満喫しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Walk On By」
Hal David/Burt Bacharach作。1964年、Dionne Warwickの大ヒットでお馴染みの名曲をカヴァー。この12分超の長尺カヴァーにIsaac Hayesの美学が凝縮されているかもしれませんね。荘厳なストリングスに歪んだギター、女性コーラスを従えた官能的な低音ヴォーカルが織り成す甘く危険な前半、一気にギア・チェンジしてサイケにファンク・ロックする後半という二部構成は聴き応え十分です。シングルとして、USチャート第30位、US R&Bチャート第13位となっています。
https://www.youtube.com/watch?v=iqR4CZj0mJQ

当ブログで紹介したQueen Latifah「Wrath Of My Madness (Soulshock Remix)」Faith Evans「No Other Love」Alicia Keys「If I Was Your Woman/Walk on By」をはじめ、Beyonce feat. The Weeknd「6 Inch」、The Notorious B.I.G.「Warning」、2Pac feat. Dramacydal「Me Against the World」、MF DOOM「Dead Bent」、Pete Rock「Walk on By」、Cypress Hill「Whatta You Know」等110トラック以上ののサンプリング・ソースとなっています。
Queen Latifah「Wrath Of My Madness (Soulshock Remix)」
 https://www.youtube.com/watch?v=D9cqfDiR20E
Faith Evans「No Other Love」
 https://www.youtube.com/watch?v=2va9uemtU18
Alicia Keys「If I Was Your Woman/Walk on By」
 https://www.youtube.com/watch?v=hKcpZ1_GB8A
Beyonce feat. The Weeknd「6 Inch」
 https://www.youtube.com/watch?v=tiNINsfr768
The Notorious B.I.G.「Warning」
 https://www.youtube.com/watch?v=TbSm6HsX_ek
2Pac feat. Dramacydal「Me Against the World」
 https://www.youtube.com/watch?v=QlPYub-gTjE
MF DOOM「Dead Bent」
 https://www.youtube.com/watch?v=1lOqpnKdRLQ
Pete Rock「Walk on By」
 https://www.youtube.com/watch?v=gUfZUJgixlY
Cypress Hill「Whatta You Know」
 https://www.youtube.com/watch?v=BdBwYLpdOVw

「Hyperbolicsyllabicsesquedalymistic」
Isaac Hayes/Alvertis Isbell(Al Bell)作。サイケデリックなファンク・ロックは僕の一番のお気に入り。サイケなギター、ダークなピアノ、ヘヴィーなリズム隊が醸し出す退廃的ムードがたまりせん。僕の一番のお気に入り。
https://www.youtube.com/watch?v=FCzElCx_LK8

Public Enemy「Black Steel in the Hour of Chaos」、DJ Quik「Born and Raised in Compton」、Super Lover Cee & Casanova Rud「All You MC's」、N.W.A「Kamurshol」、Ice Cube「I Gotta Say What Up!!!」、House of Pain「Legend」、The Game「Remedy」等70トラック以上ののサンプリング・ソースとなっています。
Public Enemy「Black Steel in the Hour of Chaos」
 https://www.youtube.com/watch?v=ZM5_6js19eM
DJ Quik「Born and Raised in Compton」
 https://www.youtube.com/watch?v=2pc8lpWVGEA
Super Lover Cee & Casanova Rud「All You MC's」
 https://www.youtube.com/watch?v=M9Po9SbBYt4
N.W.A「Kamurshol」
 https://www.youtube.com/watch?v=dS4iCLsMpYQ
Ice Cube「I Gotta Say What Up!!!」
 https://www.youtube.com/watch?v=4bx0GOXvqqg
House of Pain「Legend」
 https://www.youtube.com/watch?v=VuApGzULTu0
The Game「Remedy」
 https://www.youtube.com/watch?v=yw2VRfs2Fu4

「One Woman」
Al Greenのカヴァー(Charles Chalmers/Sandra Rhodes作)。オリジナルはアルバム『Green Is Blues』(1969年収録)。本作の中では一番オーセンティックなソウル・バラード。Hayesの魅惑の低音ヴォーカルを存分に満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=jzliSxRMXLg

Hip-HopクラシックGroup Home「Supa Star」等のサンプリング・ソースとなっています。
Group Home「Supa Star」
 https://www.youtube.com/watch?v=MZCNnDSKJsM

「By the Time I Get to Phoenix」
Glen Campbellのヒットで知られるJimmy Webb作品をカヴァー(オリジナルはJohnny Rivers)。18分半超の長尺です。前半はオルガンとシンバルのみのバッキングに、ポエトリーリーディングのようなヴォーカルが淡々と続きます。中盤からストリングスやホーン、ようやく本格的に歌い始め、さらには他の楽器が徐々に加わっていき、クライマックスへと向かっていきます。
https://www.youtube.com/watch?v=9bbdJSW3pvM

One Deep「Crime Stories」、Chinatown「Sin Propaganda」等ののサンプリング・ソースとなっています。
One Deep「Crime Stories」
 https://www.youtube.com/watch?v=LtvZt7VnRuA
Chinatown「Sin Propaganda」
 https://www.youtube.com/watch?v=g1zlvFyNRT4

Isaac Hayesの他の初期作品もチェックを!

『The Isaac Hayes Movement』(1970年)


『...To Be Continued』(1970年)


『Shaft (motion picture soundtrack) 』(1971年)


『Black Moses』(1971年)


『Joy』(1973年)


『Chocolate Chip』(1975年)
posted by ez at 01:58| Comment(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]