2021年05月17日

Common『Electric Circus』

豪華ゲストを迎えた異色作☆Common『Electric Circus』

発表年:2002年
ez的ジャンル:Soulquarians系コンシャスHip-Hop
気分は... :異物はイノベーションの源泉!

シカゴ出身の人気ラッパーCommon『Electric Circus』(2002年)です。

これまで当ブログで紹介してきたCommon作品は以下の8枚(発売順)。

 『Resurrection』(1994年)
 『One Day It'll All Make Sense』(1997年)
 『Like Water For Chocolate』(2000年)
 『Be』(2005年)
 『Finding Forever』(2007年)
 『Universal Mind Control』(2008年)
 『The Dreamer, The Believer』(2011年)
 『Black America Again』(2016年)

リアルタイムでの僕の本作『Electric Circus』に対する印象はあまり良いものではありませんでした。

今でも僕にとってのCommonのフェイヴァリットは『Like Water For Chocolate』(2000年)と『Be』(2005年)の2枚です。

しかしながら、その2枚は直線で繋がっていません。その間には『Electric Circus』(2002年)という異物があったからです。タイトルの通り、エレクトリックな要素を強調した本作に『Like Water For Chocolate』(2000年)とのギャップを感じたファンも多かったのではないかと思います。僕もそんな一人でした。

それだけに次作『Be』(2005年)がリリースされたときには、これぞCommonワールドと歓喜したものです。

そのため、当時は『Electric Circus』という作品は回り道のように感じ、敬遠していました。しかしながら、今聴き直すと、きっと『Be』という傑作が生まれるためには、『Electric Circus』という実験が必要ではなかったのではないかと思えてきました。

今は豪華ゲストとエレクトリック・アプローチを楽しみながら本作を聴けるようになりました。

メイン・プロデュースは?uestloveThe Roots)、J DillaJames PoyserPino PalladinoというSoulquariansの面々。

それ以外にThe Neptunes(Chad Hugo/Pharrell Williams)、Karriem RigginsJeff Lee Johnsonがプロデュースを手掛けています。

Marie DaulneZap Mama)、Native TonguesメンバーのVinia MojicaBilalSonny SandovalP.O.D.)、OmarDart ChillzMary J. BligeLaetitia SadierStereolab)、PrincePharrell WilliamsCee-LoJill ScottErykah BaduLonnie "Pops" Lynn(Commonの父)という豪華な面々がフィーチャリングされています。

A Tribe Called Quest『Midnight Marauders』(1993年)、The Beatles『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』(1967年)の影響を感じるジャケにも注目です。

A Tribe Called Quest『Midnight Marauders』(1993年)
ミッドナイト・マローダーズ(紙ジャケット仕様)
The Beatles『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』(1967年)


豪華な参加メンバーの顔を見つけるのも楽しいのでは?ちなみにPrince殿下が一番上の左端に写っています。

他のCommon作品とは切り離して聴くべきだと思いますが、本作でしか聴けないアナザーCommonワールドを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Ferris Wheel」
Marie Daulne(Zap Mama)、Native TonguesメンバーのVinia Mojicaをフィーチャー。?uestlove/James Poyserプロデュース。アルバムの雰囲気を決定づけるエレクトリックなオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=fS9aByTRHN8

「Soul Power」
J Dilla/?uestlove/James Poyserプロデュース。Commonらしいフロウながらも本作ならではのビート感覚を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=GT2cHCI0szM

「Aquarius」
Soulquariansの盟友Bilalをフィーチャー。J Dilla/?uestlove/James Poyser/Pino Palladinoプロデュース。?uestloveらしいビートとミステリアスで少しサイケな上モノの組み合わせがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=e8wq6LkAwNw

「Electric Wire Hustler Flower」
サンディエゴ出身のハード・ロック/メタル・バンドSonny Sandoval(P.O.D.)をフィーチャー。J Dilla/James Poyserプロデュース。メタル×エレクトリックな組み合わせに当時は拒否反応もありましたが(笑)、今はチャレンジの1つとして楽しむようにしています。
https://www.youtube.com/watch?v=3eXCP4_fsnI

「The Hustle」
Common作品ではお馴染みのKarriem Rigginsのプロデュース。UKソウルの人気男性シンガーOmarとDart Chillzをフィーチャー。今ではジャズ・ドラマー/Hip-Hopプロデューサーとしての認知度も高いKarriem Rigginsですが、当時の僕の認知度は低く、彼の名を目にしても特に気にも留めていませんでした。当時の記憶は定かではありませんが、今聴くとKarriemのHip-Hopビートとエレクトリックな上モノに組み合わせが実にいい感じです。何よりOmarらしいUKソウル・ワールドをうまく取り込んでいるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=tuBN2oGEkyU

「Come Close」
シングルにもなった曲。当時人気プロデュース・チームとして勢いをつけつつあったThe Neptunesのプロデュース。R&BクイーンMary J. Bligeをフィーチャー。フューチャリスティックなエレクトリック色を出しつつも、メロウな仕上がりになっているのがいいですね。MJBのヴォーカルで華やかな雰囲気になっているのもいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=QSCVT_vMrkQ

「New Wave」
Laetitia Sadier(Stereolab)をフィーチャー。J Dilla/?uestlove/James Poyserプロデュース。Laetitia Sadierの参加はかなり意外ですね。少しダークなHip-Hopに突如としてLaetitiaのStereolab調ヴォーカルが現れる予想外の展開はかなり楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=lv7ft9NKh7g

「Star *69 (PS With Love)」
Prince殿下とBilalをフィーチャー。J Dilla/?uestlove/James Poyserプロデュース。正直、キーボード&ギターで参加のPrinceの存在感はあまり感じられませんが、実験的なサウンド自体は昔のPrinceを彷彿させる部分があります。
https://www.youtube.com/watch?v=XoIA6hWXh2w

「I Got A Right Ta」
The Neptunesプロデュース。Pharrell Williamsをフィーチャー。The Neptunesとのタッグ2曲目。エレクトリック&ロッキンな攻撃的トラックは本作ならではですね。当時このトラックは受け入れがたいものがありましたが(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=7AoO-zRu8rE

「Between Me, You & Liberation」
当時Goodie Mobの活動に加えて、ソロ活動を開始したCee-Loをフィーチャー。J Dilla/?uestlove/James Poyser/Pino Palladinoプロデュース。Bobbi Humphrey(fl)やLarry Gold(strings)も参加しています。エレクトリック色を出しつつ、CommonやSoulquariansらしい雰囲気を楽しめるトラックに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=FUOUL80PQZU

「I Am Music」
当時ネオ・フィリー期待の歌姫であったJill Scottをフィーチャー。J Dilla/?uestlove/James Poyser/Pino Palladino/Jef Lee Johnsonプロデュース。Jill Scottのヴォーカルを活かした軽快なジャズ・フィーチャリングの仕上がりが印象的です。Nicholas Payton(tp)、Vincent Gardner(tb)、Greg Tardy(cornet)も参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=VjEVW0kRPkc

「Jimi Was A Rock Star」
SoulquariansのクイーンErykah Baduをフィーチャー。J Dilla/?uestlove/James Poyser/Pino Palladino/Jef Lee Johnsonプロデュース。エレクトリック×トライバルな仕上がりですが、Erykah Baduもその後近未来的ハイパー・サウンドにもアプローチしたので、それを予感させるトラックですね。
https://www.youtube.com/watch?v=pN4TtgiO51M

「Heaven Somewhere」
Commonの父Lonnie "Pops" Lynnをはじめ、Cee-LoJill ScottMary J. BligeOmarをフィーチャー。?uestlove/James Poyser/Pino Palladinoプロデュース。豪華ゲストが天国への思いを歌い上げる10分半以上の大作です。最後は父Lonnie "Pops" Lynnの言葉で締め括られます。
https://www.youtube.com/watch?v=MiIVOh7Umrw

Common作品の過去記事もご参照下さい。

『Resurrection』(1994年)
レザレクション(紙ジャケット仕様)

『One Day It'll All Make Sense』(1997年)
ワン・デイ・イトゥル・オール・メイク・センス

『Like Water For Chocolate』(2000年)


『Be』(2005年)


『Finding Forever』(2007年)
ファインディング・フォーエヴァー

『Universal Mind Control』(2008年)
Universal Mind Control

『The Dreamer, The Believer』(2011年)
Dreamer the Believer

『Black America Again』(2016年)
Black America Again
posted by ez at 02:41| Comment(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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