発表年:1976年
ez的ジャンル:クロスオーヴァー系N.Y.ラテン
気分は... :別の仮面・・・
今回はクロスオーヴァーなN.Y.ラテン、Fania All-Stars『Delicate & Jumpy』(1976年)です。
N.Y.のラテン専門レーベルFniaのオールスター・グループFania All-Starsについて、当ブログでこれまで紹介したのは以下の3枚。
『Live At The Cheetah Vol.1/Vol.2』(1972年)
『Latin-Soul-Rock』(1974年)
『Rhythm Machine』(1977年)
『Live At The Cheetah Vol.1/Vol.2』(1972年)に続いて紹介するには、1977年リリースの『Rhythm Machine』(1977年)です。
N.Y.サルサの熱狂ぶりを収めた伝説のライブ・アルバム『Live At The Cheetah Vol.1/Vol.2』(1972年)のイメージが強いFania All-Starsですが、70年代後半にColumbiaよりリリースした『Delicate and Jumpy』(1976年)、『Rhythm Machine』(1977年)、『Spanish Fever』(1978年)、『Cross Over』(1979年)という4枚は、ラテン/サルサをベースとしつつも、フュージョン、ディスコ、ソウル、ロックの要素を取り入れたクロスオーヴァー色の強い作品に仕上がっています。
そのクロスオーヴァー路線の第一弾となるのが本作『Delicate and Jumpy』(1976年)です。
プロデュースはGene Page、Billy Page、Jerry Masucci。
レコーディングにはJohnny Pacheco(fl、per)、Bobby Valentin(b)、Ray Barretto(congas)、Nicky Marrero(timbales)、Roberto Roena(bongos)、Papo Lucca(p)が参加し、さらにはスペシャル・ゲストとしてUKの人気ロック・ミュージシャンSteve Winwood(g)も参加しています。
正直、『Live At The Cheetah Vol.1/Vol.2』(1972年)あたりのFania All-Starsとは別物として聴かないと、かなりのギャップを感じるはずです。
したがって、本格的なN.Y.ラテン/サルサを期待される方にはおススメしません。あくまでN.Y.ラテンのエッセンスを取り込んだクロスオーヴァー・ラテンであることを前提にお楽しみください。
一般的にはクロスオーヴァー路線らしいアーバン・ラテン・ダンサー「I'll See You Again」、Tito Puente作品のカヴァー「Picadillo」、サンプリング・ソースとして人気の「Fania All Stars' Cha Cha Cha」あたりが人気なのでは?
個人的にはRay Parker, Jr.作のアーバン・ラテン・ディスコ・ファンク「Sabrosa」、The Righteous Brothersの大ヒット曲カヴァー「You've Lost That Lovin' Feeling」、開放的なジャズ・ファンク「Foofer Soofer」もおススメです。
Fania All-Starsという名前に惑わされず、クロスオーヴァーなラテン作品としてお聴きください。
全曲を紹介しときやす。
「Desafio (Challenge)」
Gene Page作。Gene Pageらしいアレンジを満喫できる哀愁メロウなラテン・グルーヴがオープニング。Johnny Pachecoのフルートの響きも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=L8V0gPOqMU0
「I'll See You Again」
Noel Coward作のポピュラー・スタンダードをカヴァー。クロスオーヴァー路線らしいアーバン・ラテン・ダンサーに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=SDILa3Ld4bo
「El Himno De Amor (Anthem Of Love)」
Gene Page作。Steve Winwoodのメロウ・ギターを楽しめるミッドテンポのラテン・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=cQG6VGRO0qw
「You've Lost That Lovin' Feeling」
「ふられた気持」の邦題でお馴染み、The Righteous Brothers、1964年の大ヒット曲をカヴァー(Barry Mann/Cynthia Weil作)。お馴染みの名曲をクロスオーヴァーなアーバン・ラテンへと変貌させています。
https://www.youtube.com/watch?v=7jbLI5J-jeU
「Picadillo」
Tito Puente作品をカヴァー。本作ではN.Y.ラテンらしさ最も感じるラテン・ファンクに仕上がっています。N.Y.ラテンらしいピアノ、トロンボーン、コンガ、ティンバレスがいいですね。Steve Winwoodのギター・ソロもたっぷり聴くことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=kWXNrFwJGgI
「Fania All Stars' Cha Cha Cha」
Billy Page作。ムーディーな哀愁ラテンですが、サンプリング・ソースとしての人気も手伝って本作の注目曲の1つとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=e8NfQseVQxI
Keyshia Cole「(I Just Want It) to Be Over」、Kool G Rap「My Life」、Tayyib Ali「Keystone State of Mind」、Blackalicious「Making Progress」、Fly Union「Checking for You」、MC Shy D feat. DJ Smurf「Hit the Skunk」、Afrob feat. Ferris MC「Reimemonster」、KRS-One「Just Like That」、Da Beatminerz feat. Naughty by Nature「Thug Love」等のサンプリング・ソースとなっています。
Keyshia Cole「(I Just Want It) to Be Over」
https://www.youtube.com/watch?v=XdsDqkony7M
Kool G Rap「My Life」
https://www.youtube.com/watch?v=lF3gwrpy8p4
Tayyib Ali「Keystone State of Mind」
https://www.youtube.com/watch?v=DC7IvocbuT4
Blackalicious「Making Progress」
https://www.youtube.com/watch?v=dR_Z58jqIDc
Fly Union「Checking for You」
https://www.youtube.com/watch?v=_GKQpoI5HYI
MC Shy D feat. DJ Smurf「Hit the Skunk」
https://www.youtube.com/watch?v=lzktSEbha90
Afrob feat. Ferris MC「Reimemonster」
https://www.youtube.com/watch?v=v-Jxe_cEx_w
KRS-One「Just Like That」
https://www.youtube.com/watch?v=9kUzIZc1w24
Da Beatminerz feat. Naughty by Nature「Thug Love」
https://www.youtube.com/watch?v=rP4TwbRI1BU
「Foofer Soofer」
M. Ragen作。開放的なホーン・アンサンブルが印象的なジャズ・ファンク。あまりラテンを気にせずともジャズ・ファンク好きならば楽しめるはず!
https://www.youtube.com/watch?v=teSZ18o8Bf0
「Lullaby From Rosemary's Baby」
Roman Polanski監督の映画『Rosemary's Baby(邦題:ローズマリーの赤ちゃん)』挿入曲をカヴァー(Krzysztof Komeda作)。美しいインスト・バラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=EqP35eDryXc
「Sabrosa」
Ray Parker, Jr.作。格好良いギター・カッティングが先導するアーバンなラテン・ディスコ・ファンク。個人的には一番のお気に入り。
https://www.youtube.com/watch?v=U36giGITKWY
Fania All-Starsの他作品もチェックを!
『Live at the Red Garter Vol.1』(1968年)
『Live at the Red Garter Vol.2』(1969年)
『Live At The Cheetah Vol.1』(1972年)
『Live At The Cheetah Vol.2』(1972年)
『Latin-Soul-Rock』(1974年)
『Live at Yankee Stadium Vol.1』(1976年)
『Live at Yankee Stadium Vol.2』(1976年)
『Live in Japan 76』(1976年)
『Rhythm Machine』(1977年)
『Spanish Fever』(1978年)
『Cross Over』(1979年)
『Commitment』(1980年)
『California Jam』(1980年)