2021年07月01日

Al Kooper『I Stand Alone』

初ソロ・アルバム☆Al Kooper『I Stand Alone』

発表年:1969年
ez的ジャンル:ミュージシャンズ・ミュージシャン系ロック
気分は... :自由の女神は何処に!

今回はAl Kooperの初ソロ・アルバム『I Stand Alone』(1969年)です。

1944年N.Y.生まれのミュージシャンAl Kooperについて、これまで当ブログで紹介したのは以下の3枚。

 『Super Session』(1969年)
 ※Mike Bloomfield, Al Kooper & Steve Stills名義
 『New York City (You're A Woman)』(1971年)
 『Naked Songs』(1972年)

自由の女神をコラージュしたジャケットも有名な本作『I Stand Alone』(1969年)。Mike BloomfieldStephen Stillsを招いたセッション・アルバム『Super Session』(1969年)に続きリリースされた本作がAl Kooper名義での初ソロ・アルバムとなります。

プロデュースはAl Kooper自身。

レコーディングにはAl Kooper(vo、p、org、g、orchestrations)以下、Wayne Moss(g)、Jerry Kennedy(g)、"Big" Charlie Daniels(g)、Charlie McCoy(b、orchestrations)、Ken Buttrey(ds)、The Blossoms(back vo)、Charlie Calello(orchestrations)、Don Ellis(orchestrations)、Jimmy Wisner(orchestrations)等が参加しています。

セッション・アルバム『Super Session』とは異なるスタジオ作ならではの緻密なサウンド作りを楽しめます。

また、ロック/ブルース色の強かった『Super Session』と比較すると、ソウル色やサイケ色が印象的です。

「One」(Harry Nilsson、Three Dog Night)、「Coloured Rain」Traffic)、「Blue Moon of Kentucky」(Elvis Presley)、「Toe Hold」(Johnnie Taylor)、「Hey, Western Union Man」Jerry Butler)という5曲のカヴァー・セレクトにも本作の方向性が反映されていますね。

個人的には「I Stand Alone」「Toe Hold」「Hey, Western Union Man」といったThe Blossomsのバック・コーラスを配したブルーアイド・ソウル調のトラック、「Camille」「Coloured Rain」といったサイケ・ポップや、「One」「I Can Love a Woman」といったシンガー・ソングライターらしい雰囲気のトラックが好みです。

大きくカテゴリーで括るならば、ロック・アルバムということになると思いますが、ロックに収まらないソウルで、サイケで、SSW的なAl Kooperを楽しめる1枚です。

Al Kooperという才能を存分に楽しめる初ソロ・アルバムだと思います。

全曲紹介しときやす。

「Overture」
Al Kooper作。男女の笑い声、叫び声、デモでスローガンを叫ぶ声に続き、オーケストレーションが展開されるコンセプト・アルバム的なオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=q7lr3ZOllqI

「I Stand Alone」
Al Kooper作。ブルーアイド・ソウル的な魅力を持ったタイトル曲。The Blossomsのバック・コーラスやホーン・セクションらによるファンキーなアクセントもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=kNbtYM2OCOE

「Camille」
Al Kooper/Tony Powers作。後期The Beatlesの影響を感じるサイケ・ポップ。こういうをやりたかったからセッション・アルバムではなくスタジオ・アルバムでのソロをレコーディングしたのかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=NrGz_c5pSCc

「One」
Three Dog Nightのカヴァー・ヒットでも知られる、Harry Nilssonのシングル曲をカヴァー。オリジナルは『Aerial Ballet』(1968年)収録。Three Dog Nightヴァージョンは『Three Dog Night』(1968年)収録。美しいオーケストレーションと共に、この曲の持つ切ない魅力を受け継ぐカヴァーに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=O23TZDgK1MY

Harry Nilsson「One」
 https://www.youtube.com/watch?v=DYzY7-V5vxY
Three Dog Night「One」
 https://www.youtube.com/watch?v=BvA5xFuDb0o

「Coloured Rain」
Trafficのカヴァー(Steve Winwood/Jim Capaldi/Chris Wood作)。オリジナルは『Mr. Fantasy』(1967年)収録。サイケ・ポップとしてもブルーアイド・ソウルとしても楽しめる感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=IqSMnfmJN8Y

Traffic「Coloured Rain」
 https://www.youtube.com/watch?v=YJmQrfc6jGc

「Soft Landing on the Moon」
Al Kooper作。邦題「月面軟着陸」。アポロ11号による人類史上初の月面着陸にインスパイアされたタイトルですね。前曲の雰囲気を受け継ぐサイケでアヴァンギャルドなインスト。
https://www.youtube.com/watch?v=QtJdcHzFidk

「I Can Love a Woman」
Al Kooper作。彼のソングライターとしての才を感じるシンガー・ソングライターらしい雰囲気の1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=zPTUkb6Rr4Q

「Blue Moon of Kentucky」
Bill Monroe作のブルーグラス名曲をカヴァー。Elvis Presleyもカヴァーしていますね。本ヴァージョンもElvisヴァージョンを意識したロカビリー調の仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=elq66iQXnLo

Elvis Presley「Blue Moon of Kentucky」
 https://www.youtube.com/watch?v=QLb99I86pE4

「Toe Hold」
Isaac Hayes/David Porter作。オリジナルは1966年のJohnnie Taylorヴァージョン。Wilson Pickett等もカヴァーしています。当ブログではフリーソウル・クラシックとして人気のEllen McIlwaineのカヴァー・ヴァージョンを紹介済みです。個人的にはこの曲といえば、Ellen McIlwaineヴァージョンがダントツで好きなのですが、本ヴァージョンはオリジナルやWilson Pickettヴァージョンの雰囲気を受け継ぐ仕上がりです。The Blossomsのバック・コーラスを従えたポップ・ソウルといった雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=_-J8x_kM3a0

Johnnie Taylor「Toe Hold」
 https://www.youtube.com/watch?v=qFw3l-QceIg
Wilson Pickett「Toe Hold」
 https://www.youtube.com/watch?v=AyHWGgvSzQY
Ellen McIlwaine「Toe Hold」
 https://www.youtube.com/watch?v=cgx5nIr0V4A

「Right Now for You」
Al Kooper作。銃撃音とともに始まる哀愁フォーキー。直接的に歌詞に出てきませんが、ベトナム戦争への反戦メッセージも込められている1曲なのでは?

「Hey, Western Union Man」
1968年にUS R&BチャートNo.1となったJerry Butlerのヒット・シングルをカヴァー(Jerry Butler/Kenny Gamble/Leon Huff作)。開放的なホーン・サウンドと共に始まるブルーアイド・ソウルに仕上がっています。ここでもThe Blossomsのバック・コーラスが盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=wBvI7WLKzjo

Jerry Butler「Hey, Western Union Man」
 https://www.youtube.com/watch?v=rRCciAVtP3s

「Song and Dance for the Unborn, Frightened Child」
Al Kooper作。ラストはストリングスを配したドラマティックなポップ・チューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=-KU8cMrkwbg

Al Kooperの他作品もチェックを!

Mike Bloomfield, Al Kooper & Steve Stills『Super Session』(1968年)


Mike Bloomfield & Al Kooper『The Live Adventures of Mike Bloomfield and Al Kooper』(1969年)


『You Never Know Who Your Friends Are』(1969年)


『Easy Does It』(1970年)


Al Kooper & Shuggie Otis『Kooper Session』(1970年)


『New York City (You're A Woman)』(1971年)
紐育市(お前は女さ)

『Naked Songs』(1972年)


『A Possible Projection of the Future/Childhood's End』(1972年)


『Act Like Nothing's Wrong』(1976年)


『Championship Wrestling』(1982年)
posted by ez at 01:10| Comment(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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