発表年:2021年
ez的ジャンル:UK新世代ジャズ
気分は... :コンヴィヴィアリティなジャズ?
今回はUK新世代ジャズ、期待の女性アーティストEmma-Jean Thackrayのデビュー・アルバム『Yellow』(2021年)です。
Emma-Jean Thackrayは、ヨークシャー出身、現在はロンドン拠点で活動をするマルチ奏者/プロデューサー/ヴォーカリスト。
これまで5枚のEPをリリースしていますが、本作『Yellow』(2021年)がデビュー・アルバムとなります。
これまで当ブログで紹介した作品でいえば、UK新世代ジャズ・プロジェクト作品Neue Grafik Ensemble『Foulden Road』(2019年)、UK新世代ジャズ・アーティスト等がBlue Noteに残されたジャズ名曲をカヴァーした企画作品『Blue Note Re:Imagined』(2020年)の2枚にEmma-Jean Thackrayが参加しています。
特に『Blue Note Re:Imagined』(2020年)でのWayne Shorterの名曲カヴァー「Speak No Evil(Night Dreamer)」は印象的でした。
Emma-Jean Thackray「Speak No Evil(Night Dreamer)」
https://www.youtube.com/watch?v=-9WjBVuykF0
本作『Yellow』(2021年)は、彼女の持つ多様な音楽性が1枚に凝縮された玉手箱のようなUK新世代ジャズ作品に仕上がっています。
主要なレコーディング・メンバーはEmma-Jean Thackray(vo、tp、syn、b、g、org、vibe、per)、Lyle Barton(el-p)、Dougal Taylor(ds)、Ben Kelly(sousaphone)、Elliot Galvin(syn)。
UK新世代ジャズ的でありながら、UKクラブジャズ/クロスオーヴァー好きの人も気に入りそうなトラックも多数あるのがいいですね。
かなり僕好みの1枚です。これはハマりそう!
全曲紹介しときやす。
「Mercury」
コズミック/スピリチュアルなオープニング。コズミックなジャズ・ワールドの中をEmma-Jeanのトランペットが駆け抜けていきます。
「Say Something」
彼女の持つポップな側面を象徴するトラック。ヴォーカル・ワークを凝らしたポップなジャズ・ダンシングはジャズ好き以外の人も楽しめるピースフルな魅力があります。
https://www.youtube.com/watch?v=kvh2OSrghEA
「About That」
ドラム以外はすべてEmma-Jeanの演奏という一人ジャズ・セッション的な演奏です。
「Venus」
UK新世代ジャズらしいヴォーカル入りのトライバルなクロスオーヴァー・ジャズ。クラブジャズ好きの人も楽しめる演奏だと思います。
「Green Funk」
ホーン・アンサンブルを凝らしたEmma-Jean流ジャズ・ファンクを楽しめます。
「Third Eye」
UKクロスオーヴァー・ソウル的な仕上がり。UK新世代ジャズ好きより、UKクラブジャズ好きの人にフィットしそうな1曲ですね。
「May There Be Peace」
殆どヴォーカルのみのスピリチュアルな小曲。
「Sun」
UK新世代ジャズらしいジャズ・ファンク・グルーヴ。キャッチーな躍動感がいいですね。
「Golden Green」
ドリーミーなメロウ・ソウルといった雰囲気です。マルチ奏者としての彼女のプレイも存分に楽しめます。
「Spectre」
UK新世代ジャズらしい雰囲気の哀愁メロウ・グルーヴ。荘厳なストリングスがEmma-Jeanのジャズ・ワールドを深めてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=L2AFBRzvlZQ
「Rahu & Ketu」
70年代クロスオーヴァー・ジャズを2021年UK新世代ジャズ仕様にアップデートさせたような格好良い演奏です。
「Yellow」
オルガンとパーカッションのみの演奏にヴォーカル・ワークを凝らしたゴスペル調の仕上がり。
「Our People」
僕の一番のお気に入り。ダイナミックでリズミックでトライバルなUK新世代ジャズらしいジャズ・ダンシング。Emma-Jeanのソウルフル・ヴォーカルやDougal Taylorのドラミングもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=0qWCfwc1tms
「Mercury (In Retrograde)」
オープニングの「Mercury」のリプライズでコズミックな余韻に浸りながら本編は幕を閉じます。
「Road Trip To Saturn」
国内盤ボーナス・トラック。本編にはないスウィンギーなヴォーカル・チューンで楽しませてくれます。
Various『Blue Note Re:Imagined』(2020年)