2021年08月01日

Cande Y Paulo『Cande Y Paulo』

アルゼンチン異色デュオのデビュー・アルバム☆Cande Y Paulo『Cande Y Paulo』

発表年:2021年
ez的ジャンル:アルゼンチン異色デュオ
気分は... :修羅の花!

昨日は新型コロナの1回目のワクチン接種を受けてきました。

地元住民向けの接種会場での接種でしたが、全く待つことなく、受付、問診、接種、今後の説明、会場待機と実にシステマティックにスムーズに進みました。時間に少し余裕を持って会場に着きましたが、会場での15分待機も含めて本来の接種時間前にすべて完了。あとは副反応が出ないことを願うばかりです。

キーボード奏者/コンポーザーでありサン・ファン国立大学教授・研究家のPaulo Carrizoと、女性コントラバス奏者/シンガーのCande Buassoというアルゼンチン人アーティスト二人のデュオ。

2017年に初共演した、詩人であり、アルゼンチン・ロック・アーティストのLuis Alberto Spinettaの名曲カヴァー「Barro Tal Vez」をYouTubeに公開したところ、1,200万再生を超えるなど世界中で話題となり、2020年に名門Deccaとの契約に成功します。こうして制作されたデビュー・アルバムが本作『Cande Y Paulo』です。

プロデュースは音楽ファンにはお馴染みの偉大なプロデューサーLarry Klein

レコーディングにはPaulo Carrizo(p、key、celesta、prog)、Cande Buasso(vo、double b)以外に、Larry Klein(b、key、)、Victor Indrizzo(ds、per)、Anthony Wilson(g)が参加しています。

すべてがカヴァー作品であり、ポピュラー・スタンダード、北米SSW作品、アルゼンチン/ブラジルのアーティストの作品など幅広いジャンルからのカヴァー・セレクトが本作の魅力かもしれません。

大きく括れば、ワールド・ジャズ的な作品かもしれませんが、ジャズ好きに限定しない間口の広いアルバムです。むしろ、本作の持つメロウ&センチメンタルな魅力は、ジャズ好きリスナーよりもSSW的作品がお好きな人にフィットすると思います。

異色デュオが生み出すセンチメンタル・ワールドを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Treaty」
Leonard Cohen作品をカヴァー。オリジナルはアルバム『You Want It Darker』(2016年)に収録されています。Candeの美しくも少し儚いヴォーカルにグッとくるビューティフル・ジャズに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Y08Y4LnYVWM

「Summertime」
George Gershwin/Ira Gershwin作のスタンダードをカヴァー。Candeのヴォーカルとダブルベース、Pauloのピアノが織り成す少しレイジーでスリリングな演奏を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=GJicVi7iixo

名曲「Summertime」に関して、当ブログではJohn ColtraneBig Brother & The Holding CompanyGabor SzaboDinah WashingtonEssra MohawkLambert, Hendricks & RossSheila Landis/Rick MatleFred JohnsonRosinha De ValencaStefania RavaThe Afro Blues Quintet Plus OneAntonio Nevesのカヴァーを紹介済みです。ご興味がある方はそちらの記事もご参照下さい。

「Limite En Tu Amor」
カナダの女性シンガーソングライターFeist「Limit To Your Love」のスペイン語カヴァー(Jason Beck/Leslie Feist作)。Candeの哀愁ヴォーカルがたまりません。打ち水のようなヒンヤリ感があります。
https://www.youtube.com/watch?v=O7o3-XfUzgc

「Deja Atras」
Burt Bacharach/Hal David作の名曲「Walk On By」のスペイン語カヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介したDionne Warwickヴァージョン。少し前に本曲のカヴァーを集めた記事を投稿したばかりですが、スパニッシュ・ヴァージョンは僕も初めて聴きました。その意味で本ヴァージョンは実に新鮮です。Anthony Wilsonのギターがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=DInTc9tDQms

名曲「Walk On By」に関して、当ブログではDionne Warwickヴァージョン以外に、Cal TjaderAverage White BandGloria GaynorThe Four King CousinsThe CarnivalPucho & The Latin Soul BrothersGimmicksChristopher ScottRobin McKelle & The FlytonesEnoch LightGabor SzaboThe Afro Blues Quintet Plus OneStanley TurrentineIsaac Hayesのカヴァーを紹介済みです。ご興味のある方はそれらの記事もご参照下さい。

「I Fall In Love Too Easily」
Frank Sinatra等でお馴染みのSammy Cahn/Jule Styne作のスタンダードをカヴァー。彼らはChet Bakerヴァージョンを意識してカヴァーしています。当ブログではAnita O'DayGregory Porterのカヴァーも紹介済みです。ここではフォーキー・ボッサ・ジャズとでも称したくなる僕好みの演奏で楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=EHQYXKLH5yk

「Tuyo」
ブラジル人アーティストRodrigo Amaranteの作品をカヴァー。郷愁感の漂う哀愁チューンをCandeがしっとりと歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=m9_mH2SMnNQ

「Esperandote」
The Velvet Underground & Nico「I'm Waiting for the Man」をスペイン語カヴァー(Lou Reed作)。Candeのヴォーカルのコケティッシュな魅力に触れることができるアコースティック・メロウに仕上がっています。「Walk On By」同様に、スパニッシュ・ヴァージョンで聴く「I'm Waiting for the Man」が新鮮です。
https://www.youtube.com/watch?v=3RdW8p18rcA

「Sugar Mountain」
Neil Young作品をカヴァー。ピュアな魅力に溢れたビューティフル・フォーキーに仕上がっています。Candeの声を聴いているだけで癒されます。
https://www.youtube.com/watch?v=CU-yA5ruZ_0

「The Thrill Is Gone」
Lew Brown/Ray Henderson作のスタンダードをカヴァー。当ブログではLincoln Brineyのカヴァーを紹介済みです。ここではCandeがレイジーな雰囲気で歌い上げる哀愁バラードで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=sXBXkvHKI0U

「Barro Tal Vez」
詩人であり、アルゼンチン・ロック・アーティストのLuis Alberto Spinettaの名曲をカヴァー。前述のように、彼らが注目されるきっかけをつくったトラックです。勝手な僕の感覚ですが、実にアルゼンチンらしい雰囲気の哀愁バラードに仕上がっており、YouTubeで再生回数が増えたのも頷けます。
https://www.youtube.com/watch?v=s_-1C82J0Io

「Preguntan De Donde Soy」
アルゼンチンの偉大な音楽家Atahualpa Yupanquiの作品をカヴァー。このトラックもアルゼンチン人アーティストらしい雰囲気が伝わってくる感動バラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=fE3Vuxgptu0

「En Blanco Estas」
Cat Stevens「Into White」をスペイン語カヴァー。オリジナルはアルバム『Tea For The Tillerman』(1970年)に収録されています。
https://www.youtube.com/watch?v=PA7tp7u-DZc

僕が保有するのは輸入盤ですが、国内盤にはボーナス・トラックとして「Shura No Hana(修羅の花) feat. 梶芽衣子」が追加収録されています。日本人には興味深いカヴァー・セレクトですね。

「Shura No Hana(修羅の花) feat. 梶芽衣子」
https://www.youtube.com/watch?v=6XKOw88M1HU
ちなみに梶芽衣子のオリジナルはこんな感じです。
梶芽衣子「修羅の花」
 https://www.youtube.com/watch?v=6MhvHosiy4M
posted by ez at 03:52| Comment(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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